てのひら温度

投稿日:2010/07/21 18:39:03 | 文字数:1,846文字 | 閲覧数:217 | カテゴリ:小説 | 全2バージョン

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久々なテトさん、ホント久々だ(-∀-;)


泣けないマスターとのお話。

感動とか悲しいとかで泣いた経験がないので、個人的な訴えも混じってたり(汗)
周りにはよく「血も涙もない」「素直じゃない」「冷めてる」とか言われたりして「血は流れてるわ!」とか笑って返しますが、泣きたい時に泣けないって結構辛いんですよ?

泣きたい時に泣ける人が、ちょっと羨ましい(・ω・`)


前バージョンでおまけあり。

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TEXT
 

ある休日の昼下がり、天気は曇り。

近頃は初夏の暑さが感じられるが今日は風が冷たい分、普段よりは過ごしやすい一日ではあるだろう。

私は洗い物を片し終えて濡れた手を拭き、マスターのいる部屋へと向かった。

入るとマスターはベッドの上で寝転がっており、何をするでもなく天井を見ていた。


「何を悩んでるんですか?」


そう言って、私はベッドに居るマスターの横に座った。


「…別に、何も」


マスターぽつりと呟き、体をこちらに向け視線をやる。


「嘘つかないで下さい。マスターがそうやってる時は、大抵何か悩んでるじゃないですか」


私は溜め息を吐いて、そう言った。


「別に嘘はついてないよ…」


向けていた視線を外し、マスターは言葉を続ける。


「ただ…、ちょっと考えてた」


屁理屈だなぁと思いながら、私はマスターに言葉をかけた。


「で、何を考えてたんですか?」


暫し沈黙が流れ、マスターはゆっくりと口を開いた。

「どうやったら、泣けるのかなって…」


再び沈黙が流れ、次に口を開いたのは私だった。


「悲しければ、泣けるんじゃないんですか」


こんなやり取りは、愚問で愚直だと思った。

マスターが欲しい答えはそういう事ではないと、分かっていたから。


「まあ…確かにそうなんだけど」


そう言って、マスターは深く溜め息を吐いた。

マスターはいつ頃からか、泣いた事がないらしい。

もちろん子供の時は怪我をしたり喧嘩したりして、泣いた事もあっただろう。

ただ今まで生きてきた中でドラマや映画、本やアニメを見て泣いた事は一度もないと言っていた。

そして人が亡くなった時も、一度として泣く事は出来なかったとも。


「どれだけ感動しても、どれだけ悲しくても、涙がちっとも出やしない」


ただただ、呟くようにマスターは言葉を吐き出す。

それはまるで、自分を自虐するようで。


「何だか、自分が人としてけっ…べふっ!?」


私は手元にあった枕を、マスターに思い切り投げつけて言葉を遮った。


「…テトさん、痛いよ」

「マスターが聞くに耐えない事を言うからです」


そうやって、自分を下卑するような事は言って欲しく無かったから。

暫く黙っていたマスターが、左手を私に差し出してきた。


「…なんですか?」

「手、握ってみて」


私は訳が分からなかったが、マスターが笑顔でそう言うものだから、大人しく従って出された手を握る。

その手からは温もりが私に伝わってきて、何だかとても心地よかった。


「マスターの手、温かいですね」


ほんの僅かであるが、マスターの鼓動が脈打ってるのが分かる。

ちゃんと血の通った、人の手である証拠だ。


「テトさん、知ってる?」

口を閉ざしていたマスターは、私の手を握ったまま言った。


「手の平の温度が高い人間は、心の温度が低いんだって」


マスターは微笑みながら、言葉を続ける。


「泣けないのは多分冷めてるんだろうね、心が…まあ自覚はあるけど。だけど―」


さっきとは違って、今のマスターの言葉は明るさが感じられた。


「この手で誰かを…少なくともこうやってテトさんを温められるなら、それで良いかなって思う」


そう言って満足した顔を浮かべたが、私はどこか納得出来なかった。


「…辛くないですか?泣けない事が」


泣く事で消化できるもの、泣く事でしか解消できないものもある筈だから。

マスターは少し考えるような素振りをし、また笑顔を浮かべて言った。


「泣けない分テトさんが代わりに泣いてるから、釣り合いは取れてるんじゃないかな」


それを聞いた私は、軽く溜め息を吐いて言った。


「私は代わりに泣いてる訳じゃないですよ。マスターの涙は、マスターにしか流せませんしね」


誰かが誰かの代わりなんて出来るはずがない。

自分は自分であり、それ以上でもそれ以下でもないのだから。

ましてやUTAUである私に、人間のマスターの代わりなど。


「でも、代わりは出来なくても―」


私は握っていた手を離し、その手をマスターの頬に当て語りかける。


「アナタの為に、涙を流す事は出来ますよ」


だからその分
アナタに笑っていて欲しい

「…うん、ありがとう」


そう言ってマスターは、私に微笑んだ。










(アナタの為に泣き、キミの為に笑おう)

文をメインに、色々と創作中。
基本テトさんと鏡音が大好きです^^*(もちろんボカロ全般好きです)

よく色々な作品を巡り歩きしてます。一行詩に出没しているので気軽に絡んでくれると嬉しいです♪

最近は絵師さんのイラストから文を書いてみたいと思っていたり…。
また、僕の書いた文からイラストを書いて頂けたら嬉しいなと思ってます←


ツイッター始めて見ましたが、使い方がよく分からないww
よければお立ち寄りください♪
http://twitter.com/Defectiveprodu

pixivでも作品を投稿し始めました、良ければご覧ください^^
http://www.pixiv.net/member.php?id=2245288

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