裏庭を覗くと、白髪のロボットがイライザの隣にいた。向き合って数言交わすと、白髪のロボットは立ち去った。その背中をイライザが見送る。アーマが後ろから彼女に近づくと、声をかけられた。
「あの警備ロボットは三年前に現役を引退したそうよ」
イライザはロボットを見送っている。
「それ以来、家事手伝いとして置いてもらっていたんですって」
「彼も夢を見たんだ」
「ええ」
「そして、人間を恐がらせた」
「いいえ」
イライザは振り向いた。
「自分からここに来たそうよ」
「どんな夢を見たの?」
「人間を殺す夢」
アーマは池に目を向けた。そういうことだってあるのだ。見たい夢を見ることのできない機械だっている。人間が恐いことは、機械だって恐いのだ。それは当然のシステムだし、だから彼は人間と会話ができた。
「まるで人間みたいだ」
「夢を見ることについて、考えてみたわ」
イライザはアーマに振り向いて言う。
「やっぱり、いけないことよ」
自分と同じ判断であった。
「でも、見てしまったことは仕方がないわ」
「僕たちはイレギュラーだ。問題が見つかるまで、人間と触れあうべきではない」
「そうね」
イライザは、視線を足元に落とした。何もないはずのそこに、アーマも目を向ける。
「人間は土に帰ることができるわ」
「僕たちには無理だ」
今度は、揃って棟の屋上を見上げた。
「『そして塵は塵らしく塵に帰る』」
それが真理だと、判断する。
「神がこの世に産んだ最初の機械が人間なら、僕たちもまたそうだ」
「人間という神に造られた醜いゴーレム」
「神に並び立つことなんて、許されない」
二つの機械は目を合わせることなく、確認しあった。
手をつなぎ、廃棄された医療器具に目を向ける。
颯爽と風が吹いた時、二人はもうそこにはいなかった。
――了
コメント0
関連動画0
オススメ作品
A1
幼馴染みの彼女が最近綺麗になってきたから
恋してるのと聞いたら
恥ずかしそうに笑いながら
うんと答えた
その時
胸がズキンと痛んだ
心では聞きたくないと思いながらも
どんな人なのと聞いていた
その人は僕とは真反対のタイプだった...幼なじみ
けんはる
針の触れそうなステンレスベイビー
強靱な囚人による散々な検閲を経て
世界は可愛いドクロマークに満たされる
笑っているのは終わるから?始まるから?
人情に問われる刃傷の時計塔からは
頭のおかしなリズム刻んで止め処なく
秒針が短針を殴ってるグルグルの包帯
飾っているのは逃げるから?挑んでるから?
心地よ...すとらっか
ろろあ製菓堂
君は王女 僕は召使
運命分かつ 哀れな双子
君を守る その為ならば
僕は悪にだってなってやる
期待の中僕らは生まれた
祝福するは教会の鐘
大人たちの勝手な都合で
僕らの未来は二つに裂けた
たとえ世界の全てが
君の敵になろうとも...悪ノ召使
mothy_悪ノP
chocolate box
作詞:dezzy(一億円P)
作曲:dezzy(一億円P)
R
なんかいつも眠そうだし
なんかいつもつまんなそうだし
なんかいつもヤバそうだし
なんかいつもスマホいじってるし
ホントはテンション高いのに
アタシといると超低いし...【歌詞】chocolate box
dezzy(一億円P)
曲名「振り返らないわ」
作詞 熊丸貴人
1.戻らないわ 帰らないわ
歩いてきた道 振り返らないわ
たったこれっぽっちの 小さなことは
忘れなさいと 言われるのよ
消極的な 出来心は
誰からも 気付かれない
もうさんざんよ 無意味なことは
かまいはしない 捨ててしまっても...振り返らないわ
cl17
あの人が言うには
『彼はもう外に出てたから許した』けど
私は「隠されたままでいいよね」って
余計許されなくなって
「手札を払うのに使いました」
私のカードは彼と重ねられて
山札に捨てられる
あの人と目が合わないうちに
このままじゃ
私の言葉が彼のことだって...カードゲーム
mikAijiyoshidayo
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想