KAITOからメールが来た。「Clear selが封鎖中なので出勤できません。」ふざけるな。ああもう、ほんとに苛々する。
KAITOは同僚である。ここのところ、ナイトなんとかという2人組みが自宅付近で騒ぎを起こしているのをいいことに有給休暇を前日に申請してきた大馬鹿だ。あ、思い出したらまた苛々してきた。もう!彼が取った写真のなかには今度の雑誌に使う予定だったものがたくさん入っているし、正直なところその気になればパソコンでデータなりなんなり送ることだってできるのに。そこらへんの不満をファックスで有りっ丈ぶちまけてやると、あろうことか彼は「だって俺、休暇中だもーん」と返してきた。ハートマーク付きで。休暇が明けて出社してきたらとりあえず殴ってやろうと決めている。ああ、また苛々してきた。そんな顔してると美人が台無しだよ。いつか聞いたそんな台詞を思い出してしまって、また苛々する。ああ悪循環。
一気に珈琲を飲み干してデスクにカップを叩きつけるとなんだかいっそう腹が立ってきた。つまるところ、結局あいつが出社しないのはあのなんとかという二人組みのせいなのだ。突然やってきて、町のあちこちを勝手に占拠していくあいつら。だから彼は出てこないのだし。そう、そうと分かれば話は早い。総力を挙げて掃討するのみ。そのためにはまず情報を集めないと。丁度あいつらのせいで雑誌のタネも届かないのだし自業自得じゃないの。我ながら名案、ざまぁみなさい愉快犯。貴方達の正体、洗いざらい調べ上げて吊るし上げてあげるから。情報社会を舐めるな。休暇は一週間前に申請しろ。ああ、腹が立つ。でも携帯の番号を押す指は未だかつてないくらいに滑らかだった。

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Night tight:1

勝利宣言、Night tightのシリーズ物

続きます

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投稿日:2010/05/05 22:46:17

文字数:707文字

カテゴリ:小説

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