君の、その思いに。









<<気づかない>>









当たり前の日常。




「というわけで、神威君の知恵を借りたい」
「人の家に来て第一声がそれって…あと、どういうわけだよ」

ごめんと言いつつも、ルカの顔は完全に笑っている。
どうやら反省する気はないらしい。

「長くなる?」
「うん。上がってもいい?」
「っていうか、もう靴脱いでるじゃんか」
「勝手に上がるからね。ほら、早く」

ルカはそう言って、俺の腕を引っ張った。
俺に拒否権は無いらしい。
っていうか痛い。引きずるのはやめて。マジで。






「一応話は聞くけど…ご用件は?」

俺は、コーヒーを(勝手に)飲んでいるルカに言う。

「あぁ、そうだった…」
「おいおい、忘れてどうする…」
「冗談よ。実は、この間の企画のことなんだけど…」

ルカは鞄から書類を取り出し、俺に差し出す。
俺は書類に軽く目を通す。

「…なかなか良くできてるじゃないか。どこが困ってるんだ?」
「うん、それね……実は、採用、されました☆」
「君はわざわざ自慢をしに来たのかい?」
「そうよ」

何が知恵を借りたい、だよ。
なんでわざわざ自慢しにくるんだよ。

「あっそ。用がないならなんで来た」
「用ぐらいあるわよ」
「じゃあそれを早く言ってよ」

なんていうか、彼女は俺をからかうのが好きのようだ。



「……そろそろ、ハッキリしてほしい」
「…何を」
「分かってるでしょ?」

ルカは、真っ直ぐに俺の目を見た。
その表情は、さっきとは打って変わって真剣だった。

「…あの時の返事。七年前からずっと待ってたのに、あなたは返してくれない」
「……」
「そろそろ教えて。もう、待つのは辛い、から…」


七年前。
ルカは、俺に告白をした。
その時の俺は、ルカの気持ちなんて、考えていなかった。
そして…俺の、ルカへの気持ちも。


「毎日が怖いの…。あなたの気持ちを知らないから、私が嫌われているのかもわからなくて……」

ルカは泣きそうになっていた。
その理由は、俺がハッキリさせないから…


――何故、俺は彼女を泣かせているのだろう
何故、俺は彼女のことを考えようとしなかったのだろう

今まで、気づかないフリをしてただけ?
いや…彼女が、もう俺を好きじゃないってことを、恐れてた。


「…ごめん、ごめんね…何言ってるんだろ、私。……それじゃ…帰るね…」

ルカが席を立ち、玄関へ向かおうとした。

――瞬間、俺は彼女の腕を掴んでいた。


どうして君は気づかないんだろう。
俺は――君が、ルカが好きなのだと――…


「俺はまだ、返事をしていない」
「…え……?」
「気づけよ……俺だって、ずっと君を…」


その先は言わない。
その代わり、…ルカを、抱きしめた。


「……気づいていなかったのは、私のほうだったんだね」


彼女は涙を拭い、俺に笑顔を向けた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【がくルカ】気づかない

5月23日に投稿できないので。
まあ、それらしいものを書こうとしました。
無理でした。
しかもgdgd過ぎるのにも程がある。
夜中のテンションって怖い…←


お知らせ。
5月中は、もう投稿しないかもしれません。
最近何かと忙しいので…

次の投稿は、
「僕と彼女の不思議な日常」あとがき
「memory 8」
「人生リセットボタン」
から一つ。

閲覧数:1,593

投稿日:2012/05/18 00:56:42

文字数:1,222文字

カテゴリ:小説

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