そして、少し日が開いて、再び安田研究室。
 「ユウ先輩、今日はリンちゃんとレン君のメンテナンスデースね」
 「ええっと…、そうね」
 スケジュール管理ソフトがインストールされたタブレットを見ながら永井が話す。二人のメンテナンスであることはミーティングの時に話題は出ているのだが、永井は念のため、確認していた。
 「そういえばユウ先輩、ルカさんとのことはどうなりマーシたか?」
 「…それはどうすべきか考えている所よ、確かにあの時マイクがいったように、時間はあるけど、なるべく早目に結論は出すつもり」
 「そうデースか」
 二人がそんなことを話していると、リンとレンがやってきた。
 「こんにちは、メンテナンスに来ました」
 「…こんにちは」
 しかし、いつもと様子が違う。なぜか二人は視線を合わせようとしないのだ。その様子に少し怪訝な表情をするマイケル。
 「リンちゃん、レン君、来まシータね、準備はできてマース」
 『…』
 しゃべる言葉もいつもより少ない感じである。そんな二人をマイケルと永井はメンテナンス室に案内する。

 「二人とも、お疲れさま」
 「お疲れさまデース、オレンジジュースありマースよ。飲みマースか?」
 二人をねぎらうため、ジュースをすすめるマイケル。
 「いえ…、良いです」
 「俺も…」
 「二人とも、様子がおかしいデース。何かありマーシたか?」
 『…』
 「ひょっとして喧嘩しまシータか?喧嘩は良くないデス」
 「いや、そういう訳じゃないけど…」
 「二人ともどうしマーシたか?話せば楽になりマースよ」
 二人の間に何かあったと感じたマイケルは、何とか二人の仲を取り持とうとする。
 「…」
 「マイク、リンちゃんもレン君も迷惑がってるじゃない」
 「Oh Sorry…」
 そういって二人を解放するマイケル。二人はやはり視線を合わせようとせずに出て行った。
 「ユウ先輩、リンちゃんとレン君、絶対何かありマース」
 「そうね、喧嘩じゃないみたいだけど、そうすると一体何かしら?」
 そういいながら席に戻る二人。
 「私の見た印象だと、大分二人はよそよそしかったわね」
 「そうデースね。お互いに遠慮している感じがありマーシた。あんな二人、見たこと無いデース」
 「そうね、いつもは騒がしい位な二人とは思えないわね」
 「一体何でショウ?」
 しばらく考える永井。
 「ひょっとして、二人は互いに恋をしているんじゃないかしら?」
 「恋…、デスか?」
 「そうよ、何となくだけど。私はあの二人が恋をして互いの距離感が掴めなくて戸惑っている印象を受けたの」
 「僕はあの二人が恋人になるというイメージは無いデースね」
 意外そうにいうマイケル。
 「まあ、あの二人の関係をどうとらえるかはユーザーに任されているから、マイクの考えも間違ってはいないわ。一般に流通している二人は、セットで買った時に、姉弟、あるいは恋人として意識させることは可能だから、そのあたりはユーザーの好みね。ただ、あの特殊仕様の二人に関していえば、名字が一緒ということ以上の関係はなかったはずよ。だから、どんな関係を想像するか、というのは私たちファンの楽しみでもあるわ。そういう所を楽しめるのも、ボーカロイドの楽しみの一つね。今でも二人の解釈については、色々な意見があるのが現状よ」
 「成程ネ」
 「恋ね…、甘酸っぱくて良いわね」
 「ユウ先輩、もしルカさんに恋人ができたら、どうしマースか?」
 マイケルの意地悪とも取れる質問に、しばらく考える永井。
 「…もしルカお姉様に恋人ができたら、私たちファンは笑顔で送り出すことが必要だと思うわ。恋人の有無はファンには関係ないわ」
 「意外デス、僕はユウ先輩はもう少しルカさんの恋人のことを意識すると思ってマシた」
 「マイク、あなただって、ミクさんのファンになるのに、恋人の安田教授の存在は意識しなかったでしょう?」
 「確かにそうデスね、難しいデス」

ライセンス

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初音ミクとパラダイムシフト4 1章20節

閲覧数:47

投稿日:2017/03/08 22:03:17

文字数:1,652文字

カテゴリ:小説

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