私の名前はイヴ
え,苗字?
えーっとねぇ,確か,むーんりっと?
だったかなぁ?

あんまり、覚えてないの
必要ないことだから




私はね
この森の奥の方にあるお家に二人で住んでるの
とっても優しい私のおっとさん
私がお家に帰るといっつも
「おかえり」
って笑顔で微笑んでくれるの
本当にとってもとっても優しいの
私はあの人がだいすき






今,私,ちょっとお家から離れすぎちゃったみたい
迷子じゃないけど,離れすぎちゃったみたい

怖くなんかないわよ?
だって,この森は私のお家のとーっても広いお庭
空を飛んでるまっくろな鴉だって私のお友達
皆,私にとっても優しいの
だから私は皆がだいすき
だいすきだいすきだいすき!



だから,私は笑ってるのよ?
皆がだいすきだから笑ってるのよ?
なぁに?
あなたの目に私はどんな風に映っているの?

怖い?
なーんで?
どぉして怖いの?
私が怖いの?
どぉして?
怖いことなんて一つもないじゃない!
此処はしあわせに満ちた場所よ?
皆のだいすきが詰まった場所

だから,笑ってない人は入れないの
泣いている人も入れないの

だってそれはしあわせを逃がしちゃうから

……ってあの人が言ってた






今いるのはこのくらーくて楽しい森の片隅
はしっこの方
私が今見つけたのはまっかなまっかな果実
まっかでまっかで,おかしくなっちゃいそう

へへ
綺麗な赤
私のだいすきな赤!
赤はねぇ、水にもなるし、ご飯にもなるの
お空にもなるし,お洋服にもなる
赤は何にでもなるの


でもね
この果実は特別
水でもないしご飯でもない
お空でもないしお洋服でもない
なんていうのかなぁ……

きぼう?
ううん
そんなんじゃない
ううん……
何だろぉ?
分かんないや



でもね
コレは,神様がくれたすてきな素敵なぷれぜんと

やった
ぷれぜんと貰っちゃった
ぷれぜんとって,特別なときにしかもらえないんだよ
あの人が言ってたからそうに決まってるよ

つまりぃ
今は私にとって特別なとき!

何でかなぁ?
私,何かしたっけ?
まぁ,いっか
さぷらいずってやつだよね

×××






持って帰ったら,あの人は喜ぶかなぁ?
うん
喜ぶはず!
嬉しすぎて泣いちゃうんじゃないのかな?

嬉しすぎて泣くのはいいのかな?
悲しくて泣くのはだめだけど,嬉しくて泣くのはどうなのかな?
私じゃ分かんないや
あとで,あの人に聞こぉっと









今日はお月さまがっとても綺麗

!
あ……
早くお家に帰らないと!!!





こんなくらい夜には
こわーい熊がでるんだよ

……あの人は言ってた




どうしよう
私,怖いもの嫌いなのに……
怖いものはみんなの敵
みんなを怖がらして楽しんでる悪いやつ
でも,私にはそれを倒す力がないから,せめて,一緒にいないようにしてる


怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い




このよでいちばんこわいものってなーんだ!

わるいものぉ!
《自分自身の心の闇》




怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い









せっかく神様からもらったんだから
絶対にあんな悪いやつになんか返すもんですか!
ようやく見つけた私の   なんだから……
悪いやつじゃなくてもそうよ
絶対に絶対にぜーったいに誰にも渡したりしないんだから!!











私は今,くろがいっぱいのお花畑を楽しく走ってるの
動かない虫さんや,おじぎしたまんま起き上がらない黒のお花
どうしてみんな,いつもみたいに話しかけてきてくれないの?
いつもなら「こんばんは」って笑顔であいさつしてきてくれるじゃない




わかった
あの熊が悪いんだね?
あの熊がいるからみんな怖いんだね?
私だって怖いよ?
だからさ,みんなおうえんしてよ!
私,独りじゃ怖いよ……





熊さん
私のお友達を怖がらせたのね
……絶対に赦さないから





赤の果実は私の腕のなかで,ゆったりと笑顔
そうね
あなたたちは、もうすぐ私の……
ううん
[私達]のお友達いじょうのものになるんだもんね
しあわせだよね
うんうん
私もしあわせだよ?




でもね,今はそれいじょうに後ろの熊が怖いの
私を追ってくるの
お顔もとっても怖いの



ねぇ,どうして私を追ってくるの?
私,何か悪いことした?
ねぇ
言ってくれれば分かるかもしれないじゃない
どうして,怖い顔ばかりしているの?



分かったわよ
何でかは分からないけど,謝ればいいんでしょ?

【おねがいゆるしてください】

どぉう?
きちんと謝ったでしょ?

だから,もう,ついてこないで!!
私,あなたのことだいっきらい!!!!







《この果実でしょ?
 分かってない訳ないじゃない
 でもね,欲しいモノは欲しいのよ
 それが例え貴方の宝物であっても,
私は奪うわよ
 それが私の欲するモノだから》












私は走らなきゃいけない
ただただ,ひたすら走らなきゃいけない
何でかって?
そりゃあ,後ろから怖い熊がやってくるから
でもね,私は怖がったお顔をしちゃいけないの
だって,私が怖がってたら周りのお友達まで怖くなってきちゃうでしょ?
お友達はたいせつなもの
だから,めいわくかけちゃいけないの




《本当?
 本当に?
 それが理由なの?》

あなた,だぁれ?

《本当にそれが理由なら,
どうして貴方はソレを離さないの?》

なにいってるの?
よくわかんないよ?

《馬鹿》













私がどれだけ走っても熊はあとから後からついてくる
何か言いたいことでもある?
しろい貝がらのいやりんぐでも渡してくれるの?
私,何かおとしものしたっけ?
ううん
そんなものない


怖いお顔の熊はきれいなお月さまにてらされて,とーっても大きくうつってる
おっきなくろーい影が私をつかまえようとしてくる
私があっちいけってやっても壊れることはない
うぅ


もう,はしって走ってしてたら,道がわかんなくなちゃった
あ,うそ
わかんなくなったんじゃなくて,いつもと別の道にきちゃった

わからなくなることはないの
だって
この森は私のお家のお庭だから!
お庭で迷子になることはないでしょ?



あれ?
何でかな?
おめめから水が……
この,水はあかくない
とうめいなきれいな水
だけど,なんだかしょっぱい水

熊もね,同じとうめいな水をおめめから流してた
でもね,私の水と熊の水
全然違うの
熊の水は何かね

きたない


色はいっしょ
形なんてもともとない
でも,何かがちがうの
熊のはきたないの


赤い果実もね,同じ水を流してた
この水はねぇ……

きれい










あぁ
やっと
やっとよ
やっとここに来れた
もう,この中に入っちゃえば熊なんか入ってこれない
だってこの中には……




【ただいま】
まず,お家に入ったら言うことば
あの人がね,言いなさいって言ってたの
それが,じょうしきなんだって

あぁ,私のだいすきなあの人
いつもみたいにさ
おかえり,って言ってよ
それがふつうなんでしょ?


うん
私はいま帰ってきたよ
いつもどおりのあの人の笑顔
私にとってのしあわせ
それを見ているだけで私のこころはもういっぱい
だけどね,その逆もあるの
あの人の悲しいお顔は見たくないの


だから,今,私はふこう
だってね,今,彼はとっても悲しいお顔をしてるの
どうして?


あぁ
この果実?
ほら見てよ!
私とあなたがずっと探してたわすれものだよ?
わすれものって見つかったらうれしいんだよね?
それが,しあわせなんでしょ?


どうして?
なんで,そんな悲しいお顔を私に見せるの?
私,そんなのいやだよ
私はあなたの笑顔がみたいの
ねぇ
ねぇ!







え?
なに?
なに言ってるの?


「ぼくたちのこども」
?
なんの話?

「このよにはいない」
?
それってなぁに?
食べれる?
おいしいの?

「ほんとうのおかあさん」
?
おかあさんってなぁに?

「かえす」
……?
何が?
何に?


私,知らない
知らないよ
知らない
知らない
知らない
知らない
知らない
知らない
知らない
知らない
知らない
知らない
そんなこと知らない
知っていたこともない





……忘れちゃったよ

















《いつか,この世の真実牙と爪によって
私自身の身も心も引き裂こうとも,
 私にはやらなければならないことがあった

 それが何かって?
 云う価値も無いわね
 自分でもいけないことだって分かっていた
 分かっていない訳がなかった
 でも,
 でも,
 でも,
 でも……》

















私がほしかったもの
それはね,赤い果実
まっかできれいな果実
あったかくって,やさしい果実

だからね,神様がくれたときはすっごくうれしかったの
でもね,それはいけないことだったみたい
何でかは,ぜんぜんわかんないけど


どうしてもほしかったの
ほしいものがあるってだめなことなの?
ううん
誰だってほしいものはあるはず
だから,いいんだよね?
×××




神様,
私っていけない子ですか?
つみびとですか?
これって,つみなんですか?
私は赦されないんですか?






「今なら大丈夫
やり直せるさ,

……ってあの人は言ってた



本当にそうなの?
じゃあ,どうして,私と目を合わせてくれないの?
だめなんでしょ?
わかってるわよ
私はわるい子なんでしょ?





      ,×××」

[きっと]なんて,もう聞き飽きたのよ!!!!!!!!





怒っちゃ駄目
怒っちゃ駄目
怒っちゃ駄め
怒っちゃだ目
怒っちゃダ目
怒っちゃ駄メ
怒っちゃだめ
怒っちゃダメ

おこっちゃだめっ



しあわせがにげてくよ?












お家の窓からそとを見るの
今日も,いつもどおり
お友達もみんなげんき
でもね,今日はなんだかみんなお家にはたずねてこない

何でかなぁ?
あ,わかった
外にいる,あのくまのせいだね
みんな,あれが怖くて近寄れないんだね
わかった,わかった

でもね,大丈夫だよ?
あのくまは赤い水
赤い水がいっぱいだから



あれ?
あれは,くまなのかなぁ?

赤いお洋服かもね
うん
×××お洋服だね!

赤い水に赤いお洋服
赤くない髪の毛にちょっと赤いおてて




ん?
あれは何だろぉ?
ぴかぴか光るあれは……

がらすのこびん?


そうだね
がらすのこびん!
中にはちょっと白い水が入ってる
これ,どうやって使うんだろ?
また,あとであの人に聞いとかないと









ふふ
今日は神様からぷれぜんとをもらった特別な日
何かおいわいをしなくちゃね?





























《夢見る可愛そうな独りの女
 それは,私
 夫に縋れば何でも出来ると思っていた
 お馬鹿さん
 やだ,馬鹿に「お」を付けるだなんて,
 あいつの口がうつったのかしら?

 私は馬鹿だったからねぇ
 もう,赦されないことは分かってる
 でも,償う気にもなれない

 はぁ……
 あの馬鹿をどうしようかしら……?》

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

moonlit bear  ……っぽいもの。夢見る女の子が出てきますw……

読んでくださりありがとうございます!

悪ノP様の曲、代3弾です!
『悪ノ王国』の1曲目に入ってる曲
そして、今日カラオケで歌ってきた曲w

そう!
今回は『moonlit bear』で書かせていただきました

ご意見・感想お待ちしております
文章構成などに関することで指摘していただけると嬉しいです

よろしくお願い致します

閲覧数:971

投稿日:2011/03/27 12:56:13

文字数:4,726文字

カテゴリ:小説

ブクマつながり

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