「ねぇ,リン」
「なぁにぃ?」
今日は日曜日
今は午後一時を少し回ったところ
僕とリンは,それぞれの趣味が大いに詰まったこの部屋でゴロゴロしているとことだ
「あのさぁ,僕がもしこの格好で
『彼のこと好きになっちゃったんだ』とか言い出したらリンはどうする?」
僕は一回転
スカートがふわっと舞う
白と黒のそれには,ヒラヒラがたくさんついていて
『お帰りなさいませ ご主人様っ』という台詞を言わざるを得ないオーラを放っていた
「ぐんぬぁぁぁぁぁるくがぁぁ!!??
マジで!!!???」
「……いや,例え話だし
奇声,怖いし」
「えぇ?
ま,まぁ,良いんじゃないのぉ?」
なんとも暢気なリンの声
実際そうなったらどうなんだか
「いきなり,どうしたのー?」
「いや,あのね……」
「あ,ちょい待ち
さっきの話だけど,もし相手が女だったら許さないよ?」
「……男だったら良い訳?」
「まぁ,良くないけど……最悪目を瞑る」
「何故っ!?」
そっちの方が,よろしくないだろ……
「で?
どうしたわけー?」
「いや,あのね……」
「あ,ちょい待ちぃ!
当てたい」
「え……
ま,まぁ,じゃあ頑張って」
「色恋沙汰ではなさそうだしー
レンが普段考えてることといったら,ゲームとバナナと……」
さすがは姉というべきだろうか
僕の頭は,今上げられた二つで半分ほどが埋め尽くされている
「あ
あと,愛して愛してやまない,姉」
ちょっと,おかしな言葉が聞こえた気がする
「分っかんないなー
レン,答えは?」
ギブアップ早っ
「ゲームとかバナナ以外にもあるでしょ?」
「分かんないから聞いてるんでしょー
答えぇ! こたえぇぇぇ!!」
「依頼だよ」
「……へ?」
リンの頭の上に大きなクエスチョンマークが出現する
「いや,だから,依頼だって」
「あぁ,依頼……」
このことは全く頭に無かったようだ
「で?
誰から?」
「学園の一つ先輩の人からなんだけど……」
「レンに,破廉恥なことをしろ……と」
「違うよ!?」
「はぁ……
我が弟ともあろう輩が……
我は,我は胸が痛いですぞ!
相談してくれれば,力添えはいくらでも致しましたのに……」
「ち,違うって!!」
「まぁ,良いでしょう
それが,唯一の弟の趣味……というものなのですね」
「だぁかぁらぁ……」
「しかしですね!
我は,その……
偏見などというものは一切行わないつもりでおりますので……」
「リーンー?
この,漫画,昨日買ってきたばっかのやつだよねぇ?
ビリビリに破いたら,とっても楽しそうだなぁ」
「で?
何だっけ?
依頼?
内容聞かせてよ」
もぅ
お姉さんは,相手の話を聞くまでに時間がかかっちゃうんだからぁ
メ,だよ?
「えーっとねぇ」
ゲームソフトの下に埋まっているはずの依頼の手紙を探す
「あぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「どったの?」
「…………このソフト,限定版買ってない……」
「なんだぁ
そんなことかぁ」
「『そんなこと』って何だよ!!
何で,通常版買ってるんだよ!!
いや,もちろん?
通常版も買いますとも
パッケージ違いますから
えぇ,買いますけども!!
だけど!
だけど,ボーナスディスク付いてるやつでしょ,コレ?
何より,重みがない!!
幸せの重みが半減してしまう!!!
もう!
僕の馬鹿!!
ばかばかばかばかばかばかばかばかぁ……」
「……だ,大丈夫だって
今から,ゲーム屋行ったらきっと残ってるって」
「……駄目だよ
発売日に買わなきゃ……」
「そ,そんなこと気にしてたら生きていけないよ?」
「じゃあリンは!
リンは,自分の大好きな漫画の新刊が
『初回特典として,小冊子が付きます』っていう言葉と共に売られていたとして,通常版買う?」
「馬鹿じゃん」
「でしょ!!??
それと,一緒なんだよぉぉぉぉぉおおぉぉぉお!!!!」
何故だ!?
僕が,そんなヘマをするはずがない
誰だ!?
僕をこんなにまで貶めたのは誰だ!?
「『可笑しな可笑しなお菓子の家 ~ヘンゼルワールド~』」
リンが,パッケージの題名を読み上げる
「あ,これ買ったのわたしだ」
「…………………………は?」
「いや,前ね
レンに頼まれたお使いリストの中にコレが入っててさぁ」
「…………………………」
「でも,そしてらさ,ミスったのはレンじゃないでしょ?
良かったじゃーん」
笑顔のリン
魂の抜けた僕
何故だ
何故僕は,自らの足でゲーム屋様に出向こうとしなかったんだ!?
自分でその場に行き,
自分で商品を手に取り,
自分で『どれがいいかなぁ?』と悩み,
自分で決断し,
自分でその幸せを抱えてレジへ行き……
それが,ゲームの『購入』の時点での楽しみじゃなかったのか!?
僕は何処まで堕ちてしまっていたんだ……
「でさ
依頼って?」
「……ごめんよ,リン」
「?」
「……僕は,今それどころじゃないんだ」
「えー
頑張ってよー」
「……僕はもう,頑張れない」
「駄目だってー」
「……僕なんか,もう,廃棄処分されるような存在だよぉぉ!!!」
「レン!!」
僕は部屋を飛び出し,廊下を走った
走って走って,自室に飛び込んだ
僕の部屋は二階
扉とは反対方向に窓が一つ
「ふふ
ここから,飛び降りたらきっと壊れれるよ……」
「さらば!
この世!!」
黒いコンクリートに向かって大きくDIVE!!
『キャーーーー!!』
そんな声が聞こえた気がするけど,僕は目を開くことが出来なかった
あぁ
さようなら,この世
結構,楽しかったよ
一つ心残りなのは,もっとゲームをしたかったってこt……
(前のバージョンに続きます)
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ブクマつながり
もっと見る「リン! リン!」
リンをたたき起こす僕
大変なことになってしまった
「……んー?」
ゴロゴロとベッドの上を転がるリン
何で,そんなに暢気なんだ!!
それは,浅い意識の中
遠い意識の中で,ジリリリリとうるさい音がしていたのは知っていた
でも,何か気分がのらなかった
その音に反応したくなかった...こちら鏡音探偵所×とある姉妹
アリサ
僕の名前はサテリアジス・ヴェノマニア
今は,七つの大罪のうちの一つ,色欲に取り付かれているんだ
だが,大丈夫
僕は,それによって快楽を得ているのだからな!
わーはっはっはっはっはっはぁ!!
僕は,刺されてしまった
青い髪の,男に
どうせ殺されるのだったら,女に殺されたかった
よりによって,男なんてい...負けるな ヴェノマニアくん!×青の彼
アリサ
私の名前はガレリアン・マーロン
まず,簡単に自己紹介でもするとしようか
私は,USE(Union State of Evillious) 暗星庁の裁判長だ
誰も私には逆らえない
そして私は,己の立場を利用し,被告人の貴族や王族から金を頂いている
人呼んで,悪徳のジャッジメント
最近は『コレ,結構格好...槌を振るえ マーロンさん!×やはり,カイトはどうなってもカイトである
アリサ
『君はどこかで笑ってて』
彼は行ってしまった。
そう―――
いもけんぴアイス作りの旅に。
彼と私は双子で、一国の主と召使だった。
どうやら私は大罪の悪魔というやつに乗っ取られていたようで、毎日おやつにブリオッシュを激しく推していたらしい。
ええ、好きですよ。ブリオッシュ。あのもふもふとした食感とか...後悔と、いもけんぴと。
姉音香凛
?「……」
?『頭が痛い……
何が起こったんだ?』
?「ちょっとー
あんた、大丈夫なわけ?」
体を起こすと目の前に女の子が一人
?「君は……」
?「私はリン」
リン「この森の奥に住んでるの
あんたは?」...鏡音RPG×エンディングが見えない! 何故なら、このゲームにエンディングなんてものは存在しないからだ!
アリサ
「げほげほっ…」
開発実験中の薬を飲まされ、先程まで吐いていた友達〈JE4〉‐ジェシカ‐の背中をさする。
「ジェシカ、大丈夫?」
そう聞くと吐き疲れた表情でジェシカは力無く笑い、
「ちょっと寝るね…」
冷たい床に寝転び、眠りについた。
僕はそんなジェシカに部屋に置いてある薄汚い毛布をかける。
朝、別...モルモットと神様‐モルモット1‐
姉音香凛
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ご意見・ご感想
ミト
ご意見・ご感想
読ませていただきました~。
メだよ。
に萌えたのは秘密です。
リンのレン溺愛ぶりが良いw
そして相変わらずの更新速度、素晴らしい。
次回作も期待してます。
2011/04/03 01:36:17
アリサ
感想ありがとうございます!!
『メだよ』
自分で書いておきながら,結構好きなところですww
コレは,昨日半分寝ぼけながら頑張って(かな?)書いたものです!
まぁ,頑張ってこれからも一定のペースで更新していきたいと思います!!
2011/04/03 17:51:53