『君はどこかで笑ってて』



彼は行ってしまった。


そう―――




















いもけんぴアイス作りの旅に。




<<後悔と、いもけんぴと。>>



彼と私は双子で、一国の主と召使だった。
どうやら私は大罪の悪魔というやつに乗っ取られていたようで、毎日おやつにブリオッシュを激しく推していたらしい。

ええ、好きですよ。ブリオッシュ。あのもふもふとした食感とか、あの形とか。

しかし彼はいもけんぴが大好きだったのである。私にいもけんぴを勧めようと毎日のようにおやつに出してきやがって・・・ました。

それでも私はどうしてもブリオッシュが食べたかった。
そして私は毎日のように出てくるいもけんぴに――いや、彼にキレた。

「私はブリオッシュが食べたいのよ!!いもけんぴには飽きたわ!!」

キレた私を見て彼は硬直していた。家臣は姫様が御乱心じゃあああ、などと騒いでいた。
今思えば怒るだけで済んだのが唯一の助けだったと思う。

けれどこの話には続きがあった。
彼はしばらく硬直した後にこう言ったのだ。

「じゃあ僕はいもけんぴアイスを作れるように旅に出るよ!」

今度は私が硬直する番だった。家臣は姫様が放心なさったぞ、などと騒いでいた。
ああ、あれか。この前テレビで見た『大人気!いもけんぴアイスの実態に迫る』とかいうレポートのやつか。
確かにちょっとおいしそうだなー、とか思ったけど。いもけんぴ好きの彼にはたまらなかったのだろう。


そんなこんなで彼は行ってしまった。もう一年も帰って来ない。
さすがに私も心配になって、テレビでやっていたお願い事なんてことをやってみたりしてみた。

現在地、思い出の砂浜。彼と昔遊びに来ていた記憶が少しだけある。

えーと、最初は羊皮紙に願いを書くんだった。
これでよし。

次はちょうどいいサイズのビン・・・あった。適当に砂浜にあったビンに羊皮紙を入れた。

最後に、海に流す、と。
『あとは待つだけで願いが叶います』って青い髪の人が言ってたし、これで大丈夫だろう。

「えいやっ」

・・・波に流されて返ってきてしまった。もっと遠くに飛ばせばいいのだろうか。

「そおれ」

おお、よく飛んだ。空の向こうまで。



そういえば青い髪の人が『流したあとは踊るといいことがあるかも』って言ってた気がする。
そんな馬鹿な。踊るって儀式かよ。

とか思いつつ体が勝手に舞踏会で聴いた覚えのある曲に合わせて動き出した。
え、なにこれ操られてるの?あのお兄さんまさか魔術師か?

「・・・なにやってんだ私」

自分がしたことに羞恥を覚え、体が止まった。
それから遠くから声が、懐かしい声が、聞こえた。


「――リ―!―リン!」

これは、彼の声だ。
あたたかくて、やさしいしいこえ。

「レン・・・?」
「リン!」

彼が、帰ってきた・・・?いもけんぴアイス作りの旅から?
大好きで、愛しい彼の声が聞こえる。



「おかえり。」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

後悔と、いもけんぴと。

タイトルで察してよね!!

ええ、好きですよ生殺しPさんのPV。

どうも姉音です!
今回は悪ノさんの「リグレットメッセージ」の生殺しPさんのPVの小説を書いてみますたー。
最近小説書いてなかったのでリハビリがてらに・・・←

涙腺崩壊な本家様↓
http://www.nicovideo.jp/watch/sm3440324

笑いが満載の生殺しPさんのPV
http://www.nicovideo.jp/watch/sm3577734

<追記>
1/20:注目の作品入りありがとうございます!こんなギャグくさいのが...いいんですか←

閲覧数:1,154

投稿日:2014/03/19 16:30:42

文字数:1,251文字

カテゴリ:小説

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