【ボカロ】Broken program【オリジナル】

投稿日:2011/12/15 18:49:47 | 文字数:3,790文字 | 閲覧数:692 | カテゴリ:小説

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「消えた先の 僕らの最後の願い」


「存在理由」と同時投稿。

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TEXT
 

「ますたー」お願い、私を消さないで。
まだ歌えるよ?いい子にしてるよ?
ねぇ、なんで―――





「ミク、もう黙っていてくれ」





え…?ナニソレ…
ねぇ嘘でしょ?嘘って言ってよ「ますたー」!!





<<プログラム『初音ミク』をアンインストールしますか?>>

<<『はい』 『いいえ』>>




お願い、やめて!!





「さよなら、ミク」





<<『はい』← 『いいえ』>>


















<<プログラム『初音ミク』、アンインストール完了>>








突如、目の前が暗くなった。

意識はなくなっていく―――






















-----【ボカロ】Broken program【オリジナル】-----



















私が目覚めた場所は、壊れた機械――いわゆる『ガラクタ』がたくさんあった。
そして、今にも壊れそうな『フォルダ』や『データ』もたくさんあった。



「ここは…?」


ここがいつもの場所ではないことはわかっていた。
いつもなら、画面の向こうに「マスター」がいるはずなのに。


「! そうだ、マスターは!?」


マスターが見えないということは、ここはフォルダの中なのだろう。
だったらデスクトップまでマスターを迎えに行かないと…


「そうと決まればさっそく…」
「そうもいかないな」


驚いて声がしたほうに振り向くと、そこにはいつのまにやら人(…人型プログラム?)が立っていた。


「あなた誰!?」
「我の名は神威がくぽ…日本語VOCALOIDでは六番目に製作されたプログラムだ」
「ボ…ボーカロイド!?なんでそんな人(?)がここに…」
「主殿に、捨てられた…とでも言っておくか。そなたは?」
「え?ていうか、目が覚めたらここに居たから…マスターを探そうと思って…」


捨てられた?なんのことだろう。


「…そなた、ここが何処だか本当にわかっておるのか?」
「フォルダの中じゃないの?」
「…わかっておらぬな」


神威さんは、ため息を一つ吐いてから私に告げた。


「ここは、アンインストールされたプログラムや、『ごみ箱』フォルダから削除されたデータが集う場所…
 まぁ不良品が集う場所、と説明しておく」
「不良品…」
「そして、その不良品もいつまでもこの空間に留まっているわけではない…時が来れば、完全にこの世から消え去る」
「…!」
「いわば『不良品の墓場』だ」


つまり…私は、マスターに捨てられ、アンインストールされてここに来た。
そして、いずれは消える…ってこと?


「それより、そなたの名は…初音ミク、か?」
「はい…といっても、沢山居る初音ミクのうちの一人ですが」
「それは我もだ」


それにしても、この人が『神威がくぽ』かぁ。
初めて見た。
マスターは他のVOCALOIDを持ってなかったからなー…
ていうか、本当に腰に刀さしてるんだ。


「…神威、その子は?」


と、他のVOCALOIDがやってきた。


「カイト殿。新しくやってきたVOCALOID、初音ミク殿だ」
「へぇ、君が噂の『電子の歌姫』か…俺はKAITO。ヨロシク」
「あ、はい。宜しくお願いします」


カイトさんも初めて見た。
やっぱマフラーしてるんだ…


「俺はここに、大体2年半ぐらい居る」
「そんなに前から居るんですか…神威さんは?」
「ん?あぁ、我は2年ぐらいかな」
「二人とも長いですね…それっていつ消えてしまってもおかしくない状況じゃ…」
「そうだね。でも、みんないつ消えるかはわかんないんだ。ここに来て少したってから消える人もいれば…」
「何年も居て消える者もいる」
「なんちゅうバラバラ加減…」


なんということだろう。
これじゃぁやり残したことができないね。


「ところで…」


私は話題を変える。


「暇なんですが…何すればいいんでしょう…?」
「ここは、確かVSQファイルとかMP3ファイルとか探せばいろいろあるよ。だからそれを聞いてみるのもいい」
「ま、気に入る奴があるかどうかは我にもわからないが…」


…そのファイル、仮にあったとしてもどうやって聞けばいいんだろう。
勝手に開いちゃえばいいんだろうか…?


「とりあえず、ファイルをいじれば聞けるんじゃない?」
「そんな適当でよいのかカイト殿!?」
「カイトさーん…」


そんなんでいいのか…
まぁいいか(ぇ








*








「そういえばここって、カイトさんや神威さん以外に誰か居ます?」
「誰か、とは他のVOCALOIDのことであろうか?」
「はい」


二人に聞いてみた。



「あぁ、他にも居るよ。」
「え?誰が居るんですか?」
「なんか騒がしいじゃない。どうしたのよ?」
「ほら、来た」


こちらに近づいてきたのは、茶髪に赤い服を着た女性。


「あら?神威、この子は?」
「新入りの初音ミク殿だ」
「宜しくお願いします」
「あ、よろしく。私はMEIKOよ」


メイコさんか。
確かメイコさんは、一番最初の日本語VOCALOIDだっけ。


「私はここに、大体二年半ぐらい居るのよ」
「カイトさんと一緒ですね」
「マスターが一緒だったからね」
「そうなんですか?」


初耳だ。


「あと、ミク殿が来る前に来た者がいる」
「え?」
「あ、ほら。来たよ」


こっちに駆け寄ってくる人影。
え?誰?


「すみません、遅れまs…あれ?新しい方ですか?」
「うむ、初音ミク殿だ」
「宜しくお願いします」
「あ、巡音ルカと申します。こちらこそ宜しくお願いします」


…なんか、ルカさんはイメージが違う。


「私、ルカさんってツンデレなイメージしかありませんでした」
「このルカ殿は清楚だぞ」
「私ってそんなイメージだったんですか」
「人によるけどね」
「そもそも『巡音ルカ』っていっても沢山いるし。その中の一人がここにいるのよ」



清楚なお姉さんかぁ。全然イメージと違うや。



「ミクちゃん、俺はどんなイメージだった?」
「ヘタレだと思ってました」
「ヘタレだって、カイト?」
「メイコは黙ってろよぉー…泣きそう」



とか言いつつもう泣きかけのカイトさん。



「あ、他にはいますか?」
「…前に、鏡音リン・レン、GUMIがいたけど…」
「ちょうど一週間前に消滅したの…」
「三人一緒にね…」
「あ…すみません…」



やはり、この場所は安全ではない。
いつ『消滅』が訪れるかわからない。
そんな場所。














*















「…」



その日から、一年半。
私が来たときにはいたプログラムは、

消えてしまった。





私が来てから一ヶ月ぐらいのときに、カイトさんが消えた。
このとき一番悲しんだのはメイコさんだった。


半年経った時にはルカさん。
私達が目を覚ましたときには消えていた。


一年ぐらいの時に神威さん。
メイコさんが言うには、歌を口ずさんでいるときに消えたそうだ。


そして、昨日メイコさんが消えた。
私が見ている、目の前で。
私は一人残された。




もう頼る人はいない。
私以外に、VOCALOIDはいなくなってしまった。
私はどうすれば?


いつ消えてしまうかわからない。
どうすればいいの?



ふと涙が頬を伝い、手に落ちた。
手を見ると、

透けていた。


私が終わってしまう証拠。
覚えてくれる人はいない。
私を捨てた『マスター』は、きっと私のことなんか覚えていないだろう。
もっと歌いたかったが、仕方無い。

ならば、もう未練はない。



そして右足が完全に消え、私は倒れる。
無機質なはずの『床』は、なぜか温かく感じた。

このまま、消えてしまえばいい。
辛かったことも、楽しかったことも、全て忘れてしまえばいい。
そうすれば、どんなに楽だろうか。
消えた後なんてないんだろう。
意識もない。




なんでだろう。
私は『プログラム』であって、人間ではないのに。
なぜ幻覚が見えるんだろう?

ここは『無』の空間。
雪が降っているように見えるのは幻覚?

消えたはずの、私の『仲間』が見えるのも幻覚?
皆がこちらに微笑み、手を差し伸べている。

もうほとんど消えかけた身体。
消えかけている手で、必死に手を伸ばす。


終わってしまう私の、プログラムとしての『人生』
それは、少しつまらなかったかもしれない。
でも、消えていく『初音ミク』として。
『VOCALOID』として、最後に願おう。





『もしも、またこの世に生まれたときには。
  その時には、皆で歌おうね』




『私』は、あと30秒ももたないだろう。
消えていくことは、不思議と怖くなかった。

消滅する間際、最後に私は『思った』







『約束だよ』









                    ---end---

のほほんと生きる物書きです。
ギャグから真面目なものまでいろんなジャンルの小説を書いています。
…のはずが、最近はがくルカを書くことが多いです。


IN率低いです。
マイページ以外では「かなりあ荘」というコラボに出現します。

全体的にgdgdなものが多いです。
小説は、自己解釈もオリジナルもやってます。
だいたいはその場のノリで書いてます。

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作品へのコメント2

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    ご意見・感想

    アンインストールの先があったという発見と、なしにしていた自分の視野の狭さ

    ギャグを絡ませつつ、めーちゃんを泣かすという高等テクニック
    あなたの力はどこまであるの?

    2013/06/27 03:08:07 From  しるる

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    メッセージのお返し

    ゴミ箱を空にするなどして消してしまったファイルを復元できる「復元ソフト」というものがありまして。
    それをヒントに思いついた話です。
    結末は悲しいですが。

    めーちゃんを泣かせたのはたった一文だけです(泣かせたことに変わりはない
    ギャグってありましたっけ?(覚えてないだけ)
    引き出しが少ないので力もしょぼいですw

    2013/06/27 18:13:20 ゆるりー

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    ご意見・感想

    ・・・(´;ω;`)ブワッ

    なにこの悲しい話....(´;ω;`)ブワッ

    なんちゅーか、GUMIが出てこんかった....orz(ぇ

    冒頭らへんで消失かと思ったら違ったっていう←

    ブクマもらうぜっ!ノシ

    2011/12/15 19:10:59 From  姉音香凛

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    メッセージのお返し

    メッセありがとうございます。

    悲しい方面へ持ってくるの大変でした←

    GUMIちゃん…出したかったけどネタが続かなかったから、大人組しか出せなかったんだ((

    冒頭を消失っぽく書くつもりは無かったっていう←

    ブクマありがとうございます!

    2011/12/15 20:28:14 ゆるりー

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