8月1×日 Ba By Lon

 円柱型の建物。その真ん中にエレベーターが4台設置されている。部屋はすべて扇形。ボーカロイドの製造担当が割り振られており、階があがるごとに足や腕、重要なハードウェアの構築や人工の臓器、体の一部、実に細かい箇所が彼らに当てはめられ、ボーカロイドとして完成されていく。

 工場の見学の為につれてこられた当時、2つのことを思った。1つは、バビロンの塔がもしも完成したら、この建物と実にそっくりだとなとか。それから、まー所詮おれらを作った神様という名の人間を越えるなんて、ボーカロイドたちにはできないだろうなとか。
 

KAITO「ついに、来たね…」
AKAITO「今年はどうする?」

見学当初から知り合ったKAITOと友達になった。おれと同じような境遇だから仲が良くなったとか、同じ仕事だからというわけではない。訳がわからなくとも友達になった。
あ、ただ単純に、会社にお弁当の注文をしているので、非常階段から事務所までの道のりとタイミングが一緒なせいもあるのかも。

KAITO「あるよ。終わったらうちにくる?」
AKAITO「もちろん。だって今日は…ホラ」

傍目からは訳がわからない会話だろうけど、打ち合わせのようなやりとり。この日は何の日なのか、覚えている。誕生日の次に大事な日。

AKAITO「お盆の日。だからさ」


 工場の見学の為につれてこられた当時、もう一つのことを思った。この建物の最上階よりも高いところには、亡くなったマスターの魂とやらがあるのかな、とか。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

8月1×日 Ba By Lon

ボーカロイドが実体化したら、製造工場は必ずあるだろうと思い、書いてみました。工場成分が足りない!工場萌えがない!というのも十分動機に含まれます。えへ。 しかし、これは小説というよりも脚本です。わかりやすさ重視です。よろしくお願いします。

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投稿日:2010/08/24 14:50:57

文字数:656文字

カテゴリ:小説

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