また…この季節がやってくる…


【ハルコイウタ】


初めてあなたに会ったのもこんな桜の咲いている時だった。

「入学式の受付ってこっちでいいの?」

そんな些細な、他愛もない一言だけだったけど、恋に堕ちるには十分だった。

「はいっ」というたった一言さえも口にするのが難しくて。
それだけの愛想のない返事をしたにも拘わらず、
満面の笑みを返してくれたあなたのことが忘れられない。

見ているだけしかできなくて。
何度も気持ちを伝えようか迷ったけど。
ろくに会話もしていない、ただの同級生からすらも進展しないのに
言えるわけなかった…

そうこうしているうちに、あなたの隣で笑う人が現れて。
後悔したけど、泣いたけど、それでもやっぱり伝えられなくて。

部活を頑張ってる姿や授業を聞いている姿、恋人の隣で笑っている姿さえも…
苦しくて、でも愛おしくて。
けれどもこの気持ちを伝える勇気もなくて。
見ているだけでよかったの。

例えそれが私の隣じゃなくても…


秋になって、叶わないと思っていてもやっぱりあなただけを追いかけていた。
憧れでも羨望でもなく、ただ狂おしいぐらいに愛おしい。

我ながら「ちょっとストーカーみたい」と自嘲して笑ってみたけど…

季節は巡り。
舞い降る雪の季節に、もう1度気持ちを伝える決意をした。
彼女からあなたを奪うつもりなんかなくて。
ただこのまま後悔するのは嫌だと思ったから。


でも

結局

無理だった。


何度も言い聞かせたのに、やっぱり私じゃない誰かの隣で
幸せそうに笑うあなたを見るのは

辛い


正直、別れてしまえば…と何度も思ったけど
実際に冬の間に別れてしまったのを見たときは素直に喜べなかった。
お互いのことを想って別れたから、やっぱりあなたの中には彼女がいるのね。

そこから1年の間、あなたの隣には「誰か」なんていなかったけど、
「別れてしまえば気持ちを伝えられる」と思っていた
浅はかな自分を笑ってあげる。
それは言い訳で、今こうしてまた思いを伝えられない自分がいるんだから。


でも、もういいよね?
またやってきた桜散るこの季節に。  


届けたい


桜舞うこの歌を 今度こそ貴方に届けよう
後悔はいっぱいしたから 今私は一歩踏み出す


ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

fatmanP「ハルコイウタ」イメージ小説

この作品はfatmanPさまの「ハルコイウタ(歌詞募集中)
」を聞いて、私がもったイメージの小説です。
fatmanPさまに許可を頂いての投稿となっております。

ルカ曲の予定ということで、ルカをイメージさせていただきました。
よければ音楽を聴きつつ読んでいただけると幸いです。

fatmanP ハルコイウタ(歌詞募集中)
http://piapro.jp/content/9osw7imu0mnfrqv1

閲覧数:128

投稿日:2009/03/19 22:21:02

文字数:957文字

カテゴリ:小説

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  • 魚圭

    魚圭

    ご意見・ご感想

    >fatmanPさま
    こちらこそ素敵な作品と巡り合えて感謝ですよ~
    いい歌詞がついて、もっともっと想像が膨らむようになったらいいなと思います☆
    妄想力は自信がありますので(笑)

    ありふれたネタかもしれないのですが、恋する切ない気持や愛おしい気持ちとかが伝わればとw
    私が曲から受けた印象がまさにそうなので(ノ´∀`*)

    改めて本当にありがとうございました!!

    2009/03/20 20:52:08

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