とある病院のとある病室、ベットに横たわる少女と隣に座り見守る少女。
「お願い、私の変わりに届けて欲しいの・・・。私にはもう時間が無いから」
そう言って、ベットの少女は見守る少女に渡したメモリーチップ。
「コレが、私の生きた証・・・。ずっとここに居る私が唯一残せるもの」
見守る少女は、そっとメモリーチップを受け取る。
そして、胸元にそれを持って行きゆっくり目を閉じた。
うまく感情を表すことの出来ない見守る少女、それは彼女が人であってそうでない存在だったからだ。
見守る少女、彼女は『初音ミク』歌を歌うことを目的として作られたロボット。
ベットに横たわる少女は物心ついた時から、ずっと病院にいた。それを不憫に思った両親が話し相手と、彼女が好きな音楽を二つ兼ね備えたモノとしてつれてきた。
ベットの少女はそれから作曲を始める、それは誰に聞かせるわけでもなかった。
ただ、ミクの歌声が聞きたかったから・・・そして彼女と心を通じ合わせたかったから・・・。
ベットの少女はミクと出会い、退屈な毎日が一変した。頻繁に笑顔を見せ、看護士達とも良く話すようになった。仕事で忙しく、なかなか会いに来れない両親が会いにきては変わりように驚いていた。
天気のいい日は、ミクに車椅子を押してもらい散歩にも出かけた。
しかし、彼女の体を蝕む病気はゆっくり・・・ゆっくりと彼女の時間を短くしていった。

そして今、彼女はもう動けない、手を動かすのでさえやっとだった。
もう力さえ入らない震える手をゆっくりとミクに向ける。ミクは受け取ったメモリーチップをポケットにしまうと直ぐに彼女の手を取った。
「今までありがとう・・・、あなたと過ごした時間・・・楽しかった・・・」
精一杯の笑顔がミクに向けられる。
「すいません、私は涙が出ません・・・。でも、悲しいという気持ちは解ります・・・」
ミクの顔は精一杯悲しそうな表情をしていた。
「ロボットだから?でも、その気持ちはあなたが握ってくれてる手からちゃんと伝わってるよ・・・」
少女はゆっくり目を閉じる。「ありがとう」彼女はそっと、つぶやくように言った。





ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

奏でる想い歌 プロローグ

何部構成になるかは解りませんが、結構長くなりそうです^^;

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閲覧数:110

投稿日:2009/06/09 15:35:53

文字数:892文字

カテゴリ:小説

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