幽霊、妖、その他にも魑魅魍魎とか言われてるのまで、兎に角この国にはそういう類のモノが多い。
大抵は気の所為とかで済まされるのだろうけど、レンの場合、そういう訳にはいかなかった。ハッキリ言って、視える。色々なモノが。
だから今までのまぁ、それ程長くは無い人生の中、そういう経験を他の人よりも経験してるから、もうそんなに驚く事は無いだろう、と思っていた。
いた、と何故過去形なのかと言うと、そのもう驚く事は無かったであろう場面に彼は遭遇したからである。
今朝、レンは道端で怪我をして蹲っている九尾の銀狐に遭遇した。
「いたたた・・・」
意外と可愛らしい声で銀狐はそう言うと、怪我をしている右後ろ足をペロペロと自分の舌で舐める。見てみると右後ろ足は何処かで転んだ様に擦り切れていた。しかも意外と出血がある様だ。
暫く、レンはその光景をまじまじと見て―もとい、観察していた。狐がこんな所に―住宅街に出るなんて聞いた事がない。まぁ、東京二十三区には狸が出るらしいがそんな蛇足は置いといて。
取りあえず、如何しよう。このまま放っておくか、それとも声をかけるか。しかし後者は後々面倒な事になる。毎度御馴染みの知り合いの陰陽家の人に祓って貰わなければいけなくなってしまう。向こうの人達もそれを生業としている訳だし御代も要らないというからレンにとってはありがたいが、どうもその家の次期当主になるであろう似ていないようで似ている双子が如何も苦手だった。
そんなこんなでウンウン悩んでいるとふと銀狐が此方に気付いた様だ。綺麗な蒼色の瞳をレンに向ける。フワサ、と九尾の尻尾が揺れる。
「助けてやろうか?」
言うつもりは無かったのに、レンの口からはそう言葉が紡ぎ出された。
「ここら辺で良い?」
「うん、大丈夫そう。木も多くて人もいないみたいだし」
九尾の銀狐を抱えたまま、レンは人気の少ない緑が多い所にやってきた。流石にあの道端であのままいたら大騒ぎになる事だろう。抱きかかえている銀狐は意外と軽く、その銀色の毛並みはとても触り心地の良い物だった。
そっと、銀狐を地面に下ろす。その時に少しだけ痛そうに銀狐は顔を顰めたが、何も言わなかった。そして、怪我の手当てをしよう、と言う時になって、レンはある事に気付いた。
「ごめん・・・。俺、動物用の治療道具とかもってねぇや・・・」
「まぁ、持ち歩いてる人がいたらその人は獣医だろうけど、そんな人、そうそういないだろうしねぇ・・・」
大して落胆した様子を見せずに銀狐はそう言った。そして不意に顔を上げ、
「ちょっと聞きたい事があるんだけど、人間用の消毒液とかは持ってるかい?」
そう問うた。
「え? あ、あぁ。一応。包帯もあるけど」
「準備良いな」
「流石に湿布は無いけど」
「何気に作者の近辺ネタいれるなよ。その男子、確かティッシュも持ってたんだっけ?」
「うん、ポケットじゃなくて箱ごと」
作者の下らないネタを貶しつつ、レンは消毒液とガーゼ、包帯を取り出す。
「でもさ、人間用で良いのか? 狐だろ?」
「だから、こうするの」
言って、銀狐はス、と目を閉じ、ユラユラと尻尾を揺らし始めた。薄く、靄がかったモノが銀狐の身体からじわりと湧き出てくる。そしてそれは銀狐を包み込んでいき、そして全身を覆った。刹那、その靄は吹き飛ばされ、その時に起こった風を受けて思わず目を瞑ってしまった後、目を開けると、其処にいたのは、
「う~ん、まだ慣れないなぁ・・・。と言うか・・・化け慣れない? て言うの? これ」
金髪の肩までの短い髪を少女は小首を傾げる事で揺らして見せて、けれど、髪の間から先程まで狐だった名残を思わせる耳と、そして尻尾がユラユラと揺れていた。
「まだそんなに生きてないからなぁ・・・あたし。この姿なるのも三回・・・四回目?」
銀狐―少女は怪我の事やレンの事を忘れたかの様にブツブツと独り言を呟く。
何だかそれが癪に障ったのでレンは傷をツン、と突いてやった。すると案の定少女は文字通り飛び上がり、「いったあぁぁあーーーっっっい!!」と叫んだ。
「何するのさ! 人・・・人? が怪我してるって言うのに!」
「いや、怪我の事も忘れてブツブツ自分の世界に入ってたあんたも悪いと思う」
涙目で訴えられたのを冷静に跳ね返すと少女は「うぅ~」と唸った後、
「それより怪我の治療、頼める?」
と聞いた。
「え? あ、そうだった。ごめん」
此処は素直に謝り、レンは消毒液を傷口に当てる。一瞬、痛そうに少女は顔を顰めたが流石に弱音を吐く事はなかった。
一通りの治療を終え、レンは最後に包帯を止めた。
「良しっ・・・と。終わったよ」
「あぁ、ありがとね」
ふ、と柔らかな笑みを浮べ、少女はそう言った。そして、ス、と目を閉じ銀狐の姿になる。
「痛み、少しは治まってきたよ。それじゃ、此れで」
「え、あ、あぁ」
今までに無い対応をされ、レンは戸惑いつつも頷いた。クスリ、と銀狐は笑った後、
「あ、そう言えば名前、聞いてなかったね。あたしはリン。其方は?」
そう言ったので、
「俺はレン。鏡音レンだよ」
と応えた。
「フフ、一文字違い・・・か。不思議な縁もあったもんだね・・・」
クツクツ、と喉の奥で笑う様な笑い方をした後、銀狐―リンは
「それじゃ、また、縁があったら」
と言って、何処かへ消えていった。
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ゆるりー
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ご意見・ご感想
かりん
ご意見・ご感想
こんばんは!!
おおっ!!
新しいシリーズですか?
うにー楽しみです><
箱ティッシュの人は抱き枕の人とは別ですよね?
同一人物だとしたら印象的すぎる・・・
準備周到ですね~
続きも楽しみにしていますね!!
そういえば、わたしもアンケートとってみたのでもし良かったら答えてくださるとすごく嬉しいだなんて口が裂けても絶対に言えない。
え?
2010/08/29 20:49:32
lunar
こんにちは。
はい!
新しいシリーズです!
続くかなぁ・・・?←
箱ティッシュの男子と抱き枕の男子はノット同一人物です。カラオケ行くとガチムチソング歌ってます←
色んな意味で印象的ですよ・・・
って言うかレンは準備周到すぎる・・・。女子か?←
楽しみにして頂けるなんて・・・! 頑張りますね!
分かりました! では其方に伺わせて頂きますね! それでは♪
2010/08/30 18:05:45