10月31日、ハロウィン。
日本ではあまり馴染みのないイベントだが、俺の住んでるこの街では毎年ジャック・オ・ランタンが輝き、子供達が思い思いの仮装をして街を歩いている。

今月で中学生活も後半分、というところの俺も、今年は特に楽しみにしていた。
何と言ったって...イギリスに留学中のるかが休暇をとって帰ってくるのだ。



「がくぽー!!」
街の中でも一際大きな邸宅から無邪気に走ってきたのは、幼馴染みのるか。
小学生の時はふりふりのスカートを履いていたのに、今日はサテン生地で黒一色の大人っぽいドレス。その上には黒とオレンジのケープを纏って、足元は黒い靴下に高めのヒールを履いてる。
頭の上には小さめのツノが付いてて、如何にも小悪魔って感じで...。
正直、とても綺麗だ。
そんなことを考えていたら、るかが何のためらいもなく抱きついてきた。
「何よう、久しぶりに会えたのに嬉しくないんですの?」
「そ、そうじゃねえって...近い」
「え?......あ、あっちの挨拶は頬にキスするんですの!!それと混ざって...」
るか、覚えておけ。中学男子にその距離は色んな意味で辛いから。


ハロウィン一色の街を、るかと二人で歩く。
久しぶりの故郷が懐かしいのか、それともランタンの光に魅了されているのか、るかはきょろきょろしながら歩いていた。
「転ぶぞ?」
「大丈夫ですわよ」
「そんな高いヒール履いてるのにか?」
「履き慣れてますわ!」
そんなこと言っている割には、足取りがおぼつかないような気がする。
仕方が無いから、手でも握っといてやるか。
「...がくぽ?」
「転ぶとこっちに世話かかるしな、仕方なくだよ」
「そんなことしなくても...あぅ!」
「ほら、だから言ったろ」
「...しょうがないですわね、がくぽがそこまで言うなら握って差し上げますわ」
「こっちのセリフだ馬鹿」


「というか、かぼちゃのランタンを久しぶりに見ますわね」
「イギリスではハロウィン無いのか?」
「ありますけど...あっちは、カブなんですのよね...」
「カブ!?」
聞くと、どうやらイギリスではカブのジャック・オ・ランタンが主流らしい。
しかも、ハロウィンでこうやって練り歩くことは少なく、その後の『ガイ・フォークス・デイ』という花火を上げる祭りや、クリスマスの方が盛り上がるんだとか。
「発祥はイギリスだったよな?確か」
「だから、去年は楽しみだったんですけど....もうクリスマスの用意していて残念だったんです」
「るかはハロウィン大好きだもんな」
「ですわ!!今日もいっぱいお菓子貰いましょうね、がくぽ!!!」
満面の笑みで言ってきたので、俺はつい真っ赤になりそっぽを向いてしまった。


「Trick or Treat!!」「トリックオアトリート!!」
「あら、可愛い悪魔とドラキュラだこと。じゃあクッキーをどうぞ」
「ありがとうございます!」
うーん、流石るか。名家の令嬢はコミュ力も磨かなきゃいけないのか...。
とりあえず俺も、ぼそっとお礼は言った。



俺とるかのバスケットには、これでもかというほどお菓子が詰まっていた。
綺麗な三日月が真上に昇る前には帰らないと流石に怒られるだろう。
いや、俺の家はまあいいが...るかは一応お嬢様だしなぁ。
別に送り届けるのに遠回りするわけじゃないし、というか俺んちの向かいなのに別々に帰る理由が見当たらない...からな。仕方ない。

「そろそろ帰るな」
「あ、ちょっと待って!!」
るかの家に送り、俺も帰ろうとしたところで引き止められた。
なんかこういうのって、正直物語じみてて妙に照れるんだが。
「あのな、俺だってそろそろ怒られ...」
「Trick or Treat!!お菓子くれなきゃ悪戯しますわ!!」
...それが言いたかったのか?
貰ったお菓子はあっても、あげるためのお菓子の持ち合わせはない。
そのことをるかに話したら、小悪魔らしくにやっと笑った。

「わたくしのお菓子を用意しないなんて...そんながくぽにはこうですわ!!」

頬を抓られた。
しかもるかの爪が立ってて...い、痛い...。
「痛いんだが...」
「悪戯ですもの」
るかはしばらくしたら、満足したように手を離した。
「ではがくぽ、またお正月に会いましょう!」
「明日、とかじゃねえのかよ」
「もうすぐに飛び立ちますもの。今日は、久しぶりに会えて...その、嬉しかったですわ」
「...そうか、じゃあな」
「ええ!!」
笑顔で手を振ったるかは、玄関まで小走りで駆けていった。



あ、るかにお菓子もらい忘れた...。
まあいいか。今日二人で過ごせた時間はお菓子みたいに甘かったしな。
それでチャラにしてやるよ...って俺何考えてんだ!?

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Then like of sweet 【ハロウィン】

ハロウィン遅れた...。

なんかやまなしおちなしなただのハロウィンになっちゃいましたね。
だって我が家のがくるか(中学生ver)だもん!!ただの人間だもん(あ

ハロウィンといえば、小学生のころに習い事のイベントに行ったんですが。
かぼちゃの重量当てクイズのかぼちゃと重さ比較用の砂糖(1kg)を抽選で当てたことがありますw
クイズ当てたら図書カードだったのに...なんでかぼちゃなんだ...って思いましたよ当時は。なんせ家族全員かぼちゃ苦手ですからねww

それでは。

閲覧数:131

投稿日:2014/11/03 20:17:23

文字数:1,979文字

カテゴリ:小説

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