ハロー、御機嫌いかがかしら?
怖がらないで 私は小鳥
春風に浮かれてここまでやってきた小鳥

ねえ、あなたどうしてそんな顔してるの?
私の楽しい話、聞かせてあげるわ
ちょっとだけ羽を休めさせて

西風(ゼピュロス)に運ばれて訪れたこの庭
何もかもがきれいに整えられた まるでおとぎ話の園
あまりにきれいすぎて落ち着かなかったから
あなたの素朴な枝に足をかけるわ

世界の果ての高原の雲の中に浮かぶ楽園(パラディソス)
だけど何かが欠けているの そう“美”以外はね
旅をしようよ 私は小鳥 大空を自由に舞う小鳥
世界ってここよりもっと広いのよ


そう あなたはこの庭に生えた異端者(イレギュラー)
いくつものハサミや薬が
あなたを作り変えようと毎日待ち構えてる

でも 私たちはやがて心通じ合った
あなたの枝に寄り添い歌を歌った
だって私も一人だったから

故郷を追われてはぐれた一人旅
至高の庭園の片隅で 惹かれあう孤独な二人
寂しい旅語りにあなたは耳を傾けて
「君のように飛べたらいいのに」と笑った

世界を見下ろす高原に生え抜きの“美”たちが集うエデン
だけど空から見てみれば けし粒にも満たない箱庭
旅をしようよ 私は小鳥 自由を至上とする小鳥
いつか二人で世界を見てみたい


世界を夢見る 二人の密かな交わりは続く
いずれ二人で旅できることを 願いながら時を過ごした
地に根を張るあなたを すぐには連れていけない
「きっとなんとかするわ」
私は約束していた、だけど ある日――――

「ウツクシクナイモノナド ココニハヒツヨウナイ」

真冬の夜のある日 あなたは切り倒されて
きらびやかな飾りをまとわされ 明るい部屋の中で据え奉られた
そして歓談のあと あなたは火に焼かれた
紅蓮の炎の中で
作り物の天使が虚ろな笑みを浮かべていたの・・・


「あぁ、どうしましょう」 灰の山になった
あなたの前で嘆く私の耳に 突然に響いた声
「大丈夫、僕はまだ生きているよ、ご覧」
振り向いたそこには小さな切り株が

「こんな姿になったけれども 僕はまだ僕のままだよ」
「根のあるままでは飛べなかった でも今なら飛んでいける」
「僕の枝と種をお取り 君の故郷へ連れておくれ」
それなら今すぐ行きましょう!


世界の片隅の“美しき高原”に別れ告げて サヨナラ
新たな片隅を求めて 私の故郷を目指す
私のくちばしには若枝を 両足には樅の種を
今あなたと共に大空を飛んでゆく

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

春告げ鳥の歌

以前公開した「トピアリック・ガーデン」の続編です。
“僕”のもとにやってきた自由を知る者。二人のイレギュラー。
小鳥と木は無事、美しき“エデン”を脱出できるのでしょうか。

「小鳥を好きになった山」という物語をモチーフに書きました。でも小鳥の女の子のモデルになったのは「スチュアート・リトル2」のマーガロだったりする。

閲覧数:132

投稿日:2013/08/21 14:48:41

文字数:1,034文字

カテゴリ:歌詞

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