「14」です。これは本当に見た夢を基にした話です。
パラレルでオリキャラが少し出ております。
若干描写がグロテスクかもしれませんので、苦手な方はご注意ください。
パラレル、オリキャラ、グロ、全て大丈夫な方はスクロールでお読みくださいませ。
>>14
全身がルカの冷ややかな視線に震え出す。明らかな殺気が俺の体の中心から全てを揺さぶって、鳥肌が立って体中の機能が一瞬制止したような・・・そんな気がした。
「あは、アハはははハハッ・・・ふふ、アハハハははっ!」
何がおかしいのか、ルカは笑い続けていた。雨粒が同じように大きな音楽を奏で続けている。
血に染まった細い指で同じく血に濡れた唇を撫で・・・その血を舐めて恍惚とした表情を浮かべるルカ。身の毛がよだつのと同時に、自分の表情から笑みが消えるのがわかった。
あいつとは戦うなと誰かが俺に囁いている。勝ち目はないって、誰かが言っていた。
でも、そんなことは、最初からわかっている。俺がルカに勝てるわけがなく、かといってここから逃げ出すわけにもいかない。全身から汗が噴き出していることに気付いていながらも、それを拭うほどの余裕もない。ただ、ルカの笑い声を聞きながら、その原因が俺にあるということを強く噛み締めていた。
だからといって、悔やんでいるだけでは何も変わらない。いや、立ち向かっても変わるかどうか・・・おそらく、この世界にたった一人残されてしまった俺も、ルカの手で死を迎えるのだろう。そして自由になったルカは、この世界から出て向こう側を無にするのだ。それが俺の目から見えることはないだろうが、俺の目が映していたはずの世界は俺が死ぬことによって消え去る。
・・・その後、残された彼女はどうなるだろう?完全なる兵器と化した彼女は・・・何もない世界で生きていけるだろうか?答えはおそらく、否――命令がなければ、彼女は死んだも同然。それとも、製作者はその後も彼女に命令を与え続けるのか・・・?この冷たい雨の中で?
「・・・それでいいはずがないよな」
小さく呟き、気合を入れるために震えている両足を叩いた。その時、ガチャンという音と共に腰の辺りで何かが体にあたる。自然とそれに視線が止まった。
ガンスミスのおっさんが持っていけと言ったデザートイーグル。
おっさんが言ってた言葉の本当の意味は、このことだったんじゃないかと思えてくる。ルカを護ってやれって言葉も、この銃を使う時が来なきゃいいなって言葉も・・・全部この時が来るのを知っていて言ったのではないかと、そんな気がした。
随分使っていなかった気がするデザートイーグルを引き抜く。ずっしりと重みを伝えるデザートイーグルを持つ手は、妙に震えていた。怖い、のかもしれない。そう思うと自分がとても弱い者のように思えて苦笑が零れた。
いつもの順序でゴーグルをかけ、確かめるようにグリップを握りなおし、セーフティを外す。
ルカがこっちを見て感情のない目を向けてきた。
「最後のお楽しみにと思っていましたのに」
「そりゃ光栄だね」
はは、と普通に笑ったつもりが、妙に乾いた声で緊張しているのが自分でもわかった。
無表情が売りで、俺にはあんまり笑顔を向けてくれなかったルカ。彼女が俺に向かって笑みを浮かべているのに・・・ちょっとした喜びも、感動もない。
俺の手はただ、銃を構える。カタカタと震える手は、なかなか言うことを聞かない。心の中の迷いが行動にまで影響しているらしかった。
「最初で最後の対戦・・・本当に楽しみにしておりましたのよ」
その言葉が、彼女の本当の気持ちから出たものでないことぐらいわかっている。だからこそ何も言わずに一つ深い息を吐き出す。
ゲームだと理解していても、実際に彼女にあたれば・・・彼女の命はなくなるのだ。そう知っているからこそ、トリガーにかけた指が震えている。この指に刻まれる、今までとは違う確実な「人を殺した」というその感覚が怖い。何よりも・・・相手がルカだということが怖かった。それでも俺がやらなきゃ他にやる奴はいないわけで・・・。だから俺はしっかりルカを見据えて、強い口調で言い放つ。
「終わりにしよう」
ルカは、何も応えなかった。聞こえなかったのかもしれないし、応えるまでもないと判断されたのかもしれない。
雨音だけが暫く続いた。
何か合図があったわけでもなかったが、戦闘が始まる。二人の間に合図なんて必要なかった。風が吹き抜けた次の瞬間には、彼女の手に銃が握られていて・・・その後、シンクロしたような二人の呼吸に合わせて互いに銃のトリガーを引く。
ほぼ同時に、大きな銃声が二つ。
「っ・・・」
足を掠める熱さと痛み。バランスを保ちながらもう一発撃つと、彼女の笑みが少し歪んだ気がした。弾ける赤。彼女の左腕を掠めた銃弾はビシッと音を立てて壁に埋まる。
どうやら彼女は銃を使うのが苦手らしく、その手に持っていた銃を地面に投げ捨て、今度はどこからともなく剣を取り出して走ってくる。
おおよそ2メートルはあろうかという細い剣が空を切って俺の左腹部を狙う。とっさにデザートイーグルを差し出すと、ガキィンと金属音の後に俺の体は弾き飛ばされて地面に叩きつけられた。呻き声を上げながら引き摺られるように地面を転がる。体が止まったところで痛みに表情を歪めながらゆっくり立ち上がると、転がってきた場所には転々と血が落ちていた。血が雨でその色を薄めていく。ジクジクと足に負った傷が痛んだ。心臓が傷口で動いているみたいに。
ルカのうっとりとした表情を見ると、体が竦んだ。
「はぁ・・・はぁ・・・」
荒い息を繰り返しながら、少し傷がついた愛銃を構える。痛みのせいか、その痺れのせいか、はたまた恐怖のせいなのか・・・照準が定まらないまま発砲。追尾可能とはいえ、精度はそこまで高くない・・・その銃弾は、ルカの顔の真横を通り過ぎた。
銃弾が装填される。ルカがトントンと軽くブーツで地面を叩き、駆け出す。俺はルカの攻撃範囲にできるだけ入らないようにと足を引き摺りながら移動していく。だからといって、普通の人間である上に傷を負った俺と戦闘するために生まれた疲れ知らずな彼女では、最初から距離は縮まるばかり。
最初から勝負なんてわかりきってるのに、何でお前はこんなに必死になってるんだ?なんて・・・誰かが心の奥の方で不満を吐き出している。
そんなもん・・・・・・俺しかいないからに決まってる。
「さぁ、もっと必死にお逃げなさいなっ!」
「!」
気付いた時には上空から声と共に振り下ろされる剣。どうにかこうにかそれを横っ飛びで避けると、速い斬撃が地面を捉えた。
それを好機とばかりに右手のみでルカの横頭に銃口を向けて撃つ。
ところがルカは「甘いですわ」と笑いながら、地面に突き刺さった剣の柄に手を乗せて空へ舞い上がった。ああ、何で俺はこんなことしてるんだろう。そう考えてしまうほど優雅に。
「・・・って、おわ・・・ッ!?」
バッカ、考えてる場合じゃねぇっての!
余裕かます暇なんてないのに思考が現実逃避しようとしているのか、すぐに脱線する。俺は今、どこかでルカと踊っている気分にでもなってるんだろうか。だとしたら筋金入りの馬鹿だ。最初からわかってたことだが、ヒーローなんてやっぱり柄じゃない。
銃を構えて発砲、発砲、発砲。ルカはそれを涼しい顔でひらりひらりと避けながら突っ込んでくる。
まずい・・・!
「お間抜けさん」
耳元で聞こえた声と視界から消えたその姿に、ごくりと喉を鳴らす。その瞬間、ゴッという鈍い音と共に俺は後ろへと飛ばされた。
ドッ!
「ぐっ・・・」
廃墟と化した壁に突っ込んだ俺の体は、ガクンと力を失って全身を痛みが支配する。
痛いどころじゃない。もう既にそれが痛いのか何なのかよくわからなくなってきた。それぐらい慢性的なものに変わっていた。全体的に重く気だるい感覚が俺の体を支配している。
そうなってまで俺が護ろうとしてるものはなんなのか。誰かが心の中で問いかけている。
ぐっと力を入れて立ち上がると、ぱらぱらと壁からその欠片が落ちた。
「ああ・・・俺が一番聞きてぇよ・・・」
自分の中の問いかけに答えながら銃を握る手に力を入れる。手は汗ばんでいて、グリップは酷く熱く感じられた。そのせいか、体を濡らす冷たい雨がとても気持ち良い。
「何ですの?気でも狂いました?」
くすくす笑っているルカを前に、そう言ってるお前が狂ってるんだ、という言葉は出てこなかった。いや、言ったとしてもどのみち彼女にはわかりっこないだろう。今ルカを支配しているのは狂気とあの男の命令だけで、俺の声など本当の意味で届きはしないのだから。
「勝手に言ってろ・・・」
憎まれ口ですらほとんど力がない。息は切れていて、何ていうか・・・しんどかった。
手首に巻いた水を吸ったハルの服を見つめて、こういう時あいつならどう思うんだろうと考えてみる。だが、俺はあいつじゃないから考えるだけ無駄だと首を振った。
ハルは多分、俺よりも上手くやるだろう。俺には上手いやり方なんて思いつかないから・・・真っ向からルカにぶつかっていくしかないんだ。
「もっと楽しませてくださいな」
そうやって笑うルカはやっぱり別人で、俺は何回目かわからない息をついた。
どこからが正解でどこからが間違いだったかなんてやっぱりわからない。ただ目の前に見えるものは全て真実だから、俺は逃げ出すことすらできなかった。気付いた時にはもう逃げられないところまで来ていたし、こんなルカを前にして、友人の死を見て・・・逃げ出せるわけもなかった。
俺がルカに勝てば、ハルは戻ってきて世界は救われる。それだけが真実で、俺を突き動かす全て。
でも、本当に俺がルカを倒した時、彼女はどうなるのか。その時の俺は、そこまで考えてはいなかった。
>>15
Elysian 14
一つのことに集中してると、他のことを三つも四つも一緒にできるほど器用じゃなくて、目の前にあることを終わらせてでしか次のことを考えられない。それで後悔することは多いのですが、どうにも・・・。
シュン、お前は損な子だよ・・・それも駄目作者のせいです、ごめんなさいorz
でも彼にとって後悔のない結果になるのなら、それでもいいのかもしれません。
というわけで無印編でした。随分変わっててわかりにくいですね;;
余談ですが。
某方のメッセージを拝見して、「その手もあったか!」と思い今回のBGMには例のアレが入っているのですが・・・(どれ?
途中で涙出てきました・・・大音量で聞いていたら耳が潰れるほど大きな悲鳴があって心臓が口から飛び出るかと・・・。
暫くは耳がキィンとして目をぱちくりしていました。すごい衝撃です。
他の方に聞いたボカロ曲もJPOPも入っているのですが、今回のこれは特別衝撃的でした・・・。
いやはや、いろいろと教えていただいた皆様には感謝感謝です!
・・・・・・でも、リピートして何時間も聴くような曲じゃないと思いました・・・頭が逝ってしまう・・・。
コメント5
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ご意見・ご感想
+KK
その他
>>ちくろさんv
いらっしゃいませ、ちくろさん。
戦闘シーンお褒めいただき光栄です!ありがとうございます。
物語は出だしと締めが一番難しい・・・確かにそうかもしれません。
話の最初はすごく気を遣います。
ここに上げているものは毎回同じパターンでやっていますが、これでも出だしは大切にしてるのですよ。
始まってしまえばあとは登場人物の皆に任せてるので、最終話なんかもお任せです(笑
こんな風にやってるから収拾つかなくなることもよくわかっているのですが・・・。
自分は音楽に対して雑食ということもあり何でもいけるので大丈夫ですよ~。
ただ、今回は少しびっくりしただけなのです。
まぁ、長く聴き続ける曲でないというのは確かだと思いますが。精神崩壊曲ですしね。
ご心配おかけしましてすみませんでした。またいらしてくださいませ。
2009/05/06 10:20:18
こか
ご意見・ご感想
こんにちはwちくろです。ルカが怖い…
戦闘シーンは素敵です…ww物語は出だしとしめが一番難しいと思います。←私は出だしが一番下手です(笑
危険な歌や曲は幾つかあります。具合が悪くなったら大変ですので、気をつけてくださいね。
2009/05/06 10:04:17
+KK
その他
>>紅翼さんv
いらっしゃいませ、紅翼さん!
ルカが強いということが何となくでも伝わっていて良かったです。
いやいやいや、自分も文才なんてもの持ってないですよ。描写力もないです。
ルカとシュンの強さも動きも上手く表現しきれなくて泣きたいぐらいなので・・・。
まだまだ勉強不足だなーと書くたびに思い知らされます。
というか語彙の少なさが目立つ・・・というか表現がワンパターンで泣きそう・・・orz
言ってると凹み続けるのでこの辺りで。
お互いに頑張っていきましょうっ!ではでは。
2009/05/05 09:46:16
+KK
その他
おぉぉ・・・眠ぃ・・・・・・!
一応最終話のアナウンスしておきます。
中途半端な数字になるのですが、「17」が最終となると思います~。
いつも通り+αにするのでタイトルで察してください←
そして次回は日常編書かせてください(勝手に書けや
えー・・・メッセージ返信です。
>>C.C.さんv
いらっしゃいませ、C.C.さん!毎回すみません・・・すごく悪い気がしてきましたorz
戦闘シーン長引いてて申し訳ない・・・まだ続きます。
上にも書きましたが、最終話は「17」の予定です。あくまで予定ですが。
普通こういう小説はヒロインを護って後味良く終わりなのですが・・・自分が書くものですしね・・・不安です。とりあえず、続きをお待ちくださいっ!
2009/05/05 08:19:20