「08」です。これは本当に見た夢を基にした話です。
パラレルでオリキャラが少し出ております。
若干描写がグロテスクかもしれませんので、苦手な方はご注意ください。
パラレル、オリキャラ、グロ、全て大丈夫な方はスクロールで本編へどうぞ。













>>08



 進むにつれて、プレイヤーたちの死体が多くなってきていた。目が抉り出されているものや、四肢をもがれたもの、切り刻まれてほとんど血溜まりと同化しているもの、内臓が引き出されているものに、何かに食べられたようなもの・・・どれも気分の悪くなるものばかり。
 でも何となく・・・今までのモンスターの仕業とは思えなかった。モンスターとは異質のもの・・・もしくは、新しいモンスターがやったような・・・奇妙な感じ。上手く表現できないが、それはまるで人間同士が争ったような、そんな妙な感覚。死体には、急所はどこかとか、死体をどれだけ凄惨に見せるかとか・・・そういう人間のように発達した脳を持った者の歪んだ思考が垣間見える気がして。
 全部計算した上で殺し、考えた上で死体をそこに残したというような・・・そんな感じだった。
 これまでのモンスターが強くなるにつれて小さくなっていったのが、それを証明しているように感じられてならない。でかい獣が、徐々に進化して人間みたいな形を持つ。でもそれは人間のようなひ弱なものではなく、モンスターのように強固な外皮と強靭な肉体と、それに見合う戦闘力を兼ね備えた・・・最強の敵キャラクター。
 そんなもんとどうやって戦えって言うんだ。
 息を吐き出すと、リンレンと一緒に周りを観察していたハルが振り返った。ひょこひょこと歩いてくると、真剣な目を俺の方へ向けてくる。いつになく真剣なその表情に、少し気圧されそうになった。
「・・・なぁシュン、お前もしかして無理してるか?」
 そう言われて、リンとレンがモンスターの死体を棒で突っついていることを確認し、振り返ってルカが少し自分から離れていることを確認する。この距離なら、三人とも俺の声は聞こえないだろう。
 今更かっこつけてどうすんだって話だが、あからさまに弱いところを晒すわけにもいかなかった。俺なりのちっぽけなプライドってやつかもしれない。
 俺はようやく肩の力を抜いて、ハルの肩に腕を乗せて体重を少し預ける。
「お前・・・変なとこだけ鋭いんだよな・・・」
「俺のことは放っといて弱音ぐらい吐けよなー・・・何のためのダチだよ」
 「うるせぇ」と悪態吐きながら頭突きをすると、痛くもないくせにハルは大袈裟に「いってぇぇ!」と声を上げた。
 どれだけ俺がハルの存在に助けられてんのか、こういう時に思い知らされる。大人ぶってみてもかっこつけてみても、結局根っこのとこまで隠せるわけがない。ハルは根っこの部分が強いから・・・絶望的な時もすぐに立ち直れるんだよな。
「マスター、何か変な音が聞こえるっス」
 パタパタと駆け寄ってきたリンが、空を見上げながらそんなことを言った。一緒に駆け寄ってきたレンも、「さっきより大きくなってるんですよ」と空を見上げた。気にかかってルカに視線をやると、ルカも空を見上げている。
 ハルと顔を見合わせてから空を見上げてみるが、別に何も聞こえてこない。何が聞こえるのだろうか。
 ルカに視線を向けると、彼女は「何か声のようですけれど・・・わかりませんわ」と言いながら首を横に振る。
「何だ、さっきから聞こえてたのか?」
「結構前から聞こえてたっス。でも・・・」
「気にするほどでもないので黙ってました」
 リンとレンは口々にそう言いながら、また空を見上げた。
 二人の口調が軽いことから考えれば、それほど気にすることじゃないんだろう。今考えるべきは、これから先に待っている敵にどう立ち向かうかってことで・・・と言っても向こうがどんなやつかわからないわけだし、準備も何もないわけだが。
 考えれば考えるほど頭が痛くなってくる。結局足掻けば足掻くほど深みにはまるだけで、解決策は見えてこない。
 ハルは一つ息を長く吐き出した後で、リンとレンの背中を叩いた。
「とりあえず、前に進もうぜ。このメンバーならどんな敵が出てきても大丈夫だろ」
 全く・・・ハルが言ったら何となくそういう気分になってくるのがすごいところだ。俺がそれだけハルに入れ込んでるってことなのかもしれないが。
 リンとレンは嬉しそうに笑ってハルの腕にまとわりついている。ルカに視線を合わせると、彼女は何か決意を秘めたような目をしていた。
 俺を支えるように真っ直ぐに歩き出したルカ・・・それに後押しされるように歩き出す。
 モンスターの死体とプレイヤーの死体が混在する中を歩いても、俺たちはもう平気だった。それが良いことか悪いことなのかは・・・わからないが。



 何故か、歌うリンとレンとルカに任せて、俺は銃を抜かなくなった。いや、抜きたくなくなったというのが正しいのかもしれない。戦闘時は、プレイヤーの死体から拝借した装備品で、ある程度体術だけで応戦した。それで十分だったし、もう銃を使いたいとは思えなかった。
 あのおっさんが使う時が来なければいいなって言った理由が、今頃体にしみてくる。撃てば撃つほど銃が重くなる。俺を拒絶してんじゃないかと思うほど重くなって、もう触りたくもなかった。
 俺の心がわかるルカは当然としても、ハルとリンレンまで俺が銃を使わない理由がわかっているようで・・・誰もその話題に触れることはなく、ただ立ち塞がるモンスターを撃破していく。
 疲労がないわけじゃない。それでも、俺を気遣ったようにハルたちが元気な声で喋ってくれるのを見ていたら、しっかりしなくちゃいけないと勇気付けられた。
「はぁ・・・はぁ・・・」
 正直、体力も限界に近い。動き回っているせいか、指示を出しているだけのハルよりも疲労の色が濃いみたいだ。しかも、遠距離攻撃をしなくなったせいか、俺の体は黒い血で染まっていた。
 それに対して汚いとか、気持ち悪いとか、そういう感覚はもうない。人間らしいその感情は、抜け落ちた・・・いや、捨ててきたのか。捨てざるを得なかったのか。誰もがそのことを知っているから、何で銃を使わないんだとか・・・そういうことは何も言えないのかもしれない。
「周り・・・酷くなってきたな」
「・・・そうですわね」
 静かな声色でハルが呟く。その声に、珍しくルカが返答した。
 街は、半壊状態。死体はどれも無残な姿で山積みにされ、小さな虫がたかっている。腐っているというわけではなさそうだが、随分時間が経っていると見て間違いなさそうだ。体感温度が上がっているのもその原因の一つではありそうだが。
 ルカやリンレンは熱には強いようで、至って普通の表情をしているが、俺とハルは違う。少し歩くだけでも汗が伝ってくる。戦闘中なんて汗だくだ。
 暑さと疲労で、俺とハルの口数も自然と少なくなり、会話が途切れている時間の方が多くなっている。だが、静まり返っていると悪い方に考えがいってしまうから、俺もハルも会話を繋ぐことに必死になっていた。話していた方が気もまぎれるってもんだ。
「もう残ってるやつ、ほとんどいねぇのかな・・・」
「どうだろうな・・・さっきまでは他のプレイヤーもちらほらいたみたいだけど・・・」
 随分、プレイヤーとは会ってない。命を落としたプレイヤーならそこらにごろごろ転がっているが。
 ハルは自分で言った言葉に肩を落としながら、俺の返答に更に肩を落とす。
 ルカの話では誰か一人でもクリアすればいいって話だから、俺たち以外のプレイヤーがクリアしてくれることを望んでいるんだが・・・生きているプレイヤーがほとんど見られなくなったということは、その可能性は随分低くなってきたってことだ。もしかしたら後数十人・・・いや、もっと少ないかもしれない。
「・・・・・・決め台詞でも決めとかねぇ?」
 とうとうハルが妙なことを言い出した。そのうち変なこと言い出すだろうとは思っていたが・・・まぁ、今はそれがありがたい。これでテンションが少しでも保てるなら、喜ばしいことだ。
「ラスボス倒した時にさー、勝利の決めポーズとか台詞とか・・・」
 「あったらかっこよくね?」と言うハルに、「お前な」と呆れたように笑う。
 そこで会話を終わらせるわけにもいかず、呆れながら小さく唸ってみる。
 まずこいつが思ってる決め台詞とか決めポーズってのはどういうやつのことをいうのか。日曜の朝からやってる戦隊ものとかそういう子供向け番組のやつか。
「つまんねぇ御託はあの世で言え、とかどうよ?」
「・・・・・・どっからの引用だ、そりゃ」
 どこぞのゲームか小説か何かのキャラクターが普通に言ってそうだな。そう言うと、ハルは「バッカ、オリジナルだよ!」と言ってたが、かぶってそうで怖い。もし俺が言うなら・・・・・・。
 あれ・・・ちょっと待て。こういう話に一番のってきそうな二人が何も言ってこない。いや、それ以前に随分前から声を聞いてないような気がする。ルカは元から無口だから一言二言何か言った後は黙っていてもおかしくない。でもあの二人が黙っているのはおかしくないか。ただでさえこっちが黙れと思うぐらいうるさかったのに。ハルの隣にはリンとレンがいる・・・にはいるのだが、喋ろうとする気配はない。疲れたのだろうか。
「・・・っつーか・・・リンとレン・・・さっきから口数少なくないか?」
「あれ? そういえば・・・」
 ハルが言いかけた刹那・・・ひゅっと空を何かが走り、びしゃりと鮮血が空を舞う。
 そして、目の前で弾け飛ぶ何か。
 ぴしゃっと、自分の顔に飛んでくる何か。
 生暖かいその感覚、視界の中心で吹き出す液体。
 訳もわからずにただ一部始終を目で追う。
 飛んだ物体は前方にあった黒い血の池に落ちて黒い血飛沫を上げた。
 ぱっくりと割れた綺麗な切断面。
 なくなってしまった・・・そこに繋がっていたもの。
 「シュン様、見てはいけませんわっ!」というルカの声がやけに遠くで聞こえている。
 何だ、これ・・・。





「・・・・・・・・・・ハル・・・?」













>>09

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

Elysian 08

え、あ、そーいう・・・。
・・・多くは語らずに次回へ続きます。
というかよく完成したな08・・・自分でびっくりです。
この調子で次もサクサク書ければいいなぁ・・・。

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閲覧数:188

投稿日:2009/04/20 23:53:36

文字数:4,209文字

カテゴリ:小説

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  • +KK

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    その他

    ブクマ、少しだけ整理しました。
    E・Bや姫騎士のイラストや歌詞も無断ブクマ・・・挨拶しに行きませんが許してください・・・。
    さて、お返事です~。


    >>ちくろさん
    こんばんは、ちくろさん。お久しぶりです!
    潰れたトマト・・・!だと自分も思い込んでおきます。←
    シュンも大変みたいですが、あんな夢を見てしまう自分の脳の方がある意味心配です。
    ふっふっふ・・・気になるところは何にも言いませんよー!(黙れ

    ・・・・・・何と!!ELYのイラストですとぉぉ!?
    その言葉だけでご飯いくらでもお替りできそうです、ごちそうさまっ!(落ちつけ
    どうぞ自由な解釈でどんどん描いてやってくださいませ。
    その自由な解釈こそ大好物ですので(笑
    両手広げてこっそり待ってることにします。
    では、嬉しいお言葉ありがとうございました!

    2009/04/22 21:36:12

  • こか

    こか

    ご意見・ご感想

    …こりゃ悪夢だ…!
    どうも、ちくろです。いまのはつぶれたとまとですねわかります;;
    シュンの精神状態が心配になりました;;
    何だか鏡音も死亡フラグになりそうな…予感が…

    只今ELYのイラスト考え中です(爆
    今考えているのは、此処で公開できるような血表現の少ないシリアス絵と、
    ハルとシュンの、たぶん実現しないであろう未来的なものです。
    第三者の私の解釈で描いちゃいますので、大目に見ていただけたら…嬉しいです。
    それでは。

    2009/04/22 18:52:08

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    +KK

    その他

    >>紅翼さん
    こんばんは、紅翼さん。メッセージありがとうございます!
    おぉぉ、二人目の悲鳴いただきましたー!←
    急展開すぎてついていけないのがここにもおりますよ。
    まぁ・・・真相は嫌でも次回でわかりますので口にチャックしときます。
    次もできるだけ早くあげるようにしますのでお待ちください。では。

    2009/04/21 20:44:36

  • +KK

    +KK

    その他

    >>C.C.さん
    こんにちは、C.C.さん。それにしてもすごい取り乱し方ですね(笑
    ほんわかのんびりとはいかないってのはまぁ・・・シリアスな空気を見ればわかることですね。
    いやいや、自分はいつでも真剣ですよ。彼らだって真剣ですよ(笑笑
    シュンの中でもいろいろ変化はあるみたいですね。
    最後、どうなったか・・・今日・・・はさすがに無理だと思うので・・・
    ですが、近いうちに書き上げたいと思います。お待ちください。
    それでは、メッセージありがとうございました。

    2009/04/21 11:09:07

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