春の来ない場所を探していた
雪崩が雪を散らし消えてしまうから
誰も知らない見たことがないという
探せども探せども花は咲いていく
遠く遠く地の奥深くは熱を増し
果ての果ての陽の側高くは熱を削ぎ
誰かがそれを伝えれども首を振り
陽に近づくなどあり得ないと訝った
涙が川を潤す間もなく
心が流れに飲まれる間もなく
雪は記憶のどこかに閉ざされた
春はそれらを静かに見ていた
冬の来ない場所を探していた
枯れ葉が山を覆い絶えてしまうから
誰も知らない見たことがないという
探せども探せども花は散っていく
遠く遠く峰先高くは熱を下げ
低き低き根の下深くは熱を持つ
誰かがそれを伝えれども首を振り
雪を被るなどあり得ないと嗤った
涙が空に舞い散る間もなく
心が氷に悴む間もなく
花は記憶のどこかに閉ざされた
冬はそれらを静かに見ていた
誰が祈るか誰が願うか
幸も不幸もその輪郭すらあやふやに
誰が嗤うか誰の涙か
嘘もまこともその感覚すら曖昧に
幾多の風が何を奪ったのか
幾重の岩が水を放ったのか
約束の地にあれど地にあらず
万感のさにあらず根も付かず
何も知らぬまま幼いままで
扉は開かれるというのなら
意識も知識も求むるは怠惰
最後の願いは亡き種の如く
暖かな氷を手に乗せて
悴んだ花びらを目に刺して
すぐ消えゆく足跡に
ほんの少しの呪いと言祝ぎを
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