【がくルカ】Liar

投稿日:2014/09/21 23:45:35 | 文字数:2,617文字 | 閲覧数:586 | カテゴリ:小説

ライセンス:

雑な短編ができあがりました。
どうもゆるりーです。

我が家のがっくんは先生率が異常に高いです。
なんででしょうね。

タイトルは「嘘つき」という意味でつけました。
二人とも嘘つきましたからね。多分。

元ネタは診断メーカーのお題から。
「どこか遠くに二人で逃げたい/離れたくない、離したくない/だけど、バイバイ。」
http://shindanmaker.com/a/125562

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TEXT
 

ねえ先生、知っていますか。

どんな人間にも守りたい存在があるんです。

それは形のあるものとは限らないんです。

例えば色褪せた思い出。

目を閉じればいつでも大切な人に会えるんです。

でもそうすると、少しだけ寂しくなります。

やっぱり会いたいんです。


私にとっての守りたい存在。

私はあの時、それを伝えられませんでした。

いや、伝えられたとしても、きっとあなたは笑いながら上手くかわすのでしょう。

あなたから見ればまだまだ子供なのです。

子供の言う事は一時の感情が生んだ、いわば思いつきみたいなもの。

あなたはそうやって、ずっと過ごしてきたんでしょう?

もう会えないあなたにこうして問いかけても、答えなんて返ってこないけど。









「転勤…ですか?」



放課後の教室で、私はその言葉を聞いた。



「そうだ。今度の四月から、もうここじゃないところへ行くんだ」

「普通そういうのって、新学期に公表されますよね?」

「せっかくだし、君には伝えておこうと思って」



今週末で三学期が終わるこの時期に、補習なんてない。

ただ勉強でわからない範囲があったから、こうして先生に教えてもらっていた。

今教室には私と先生の二人だけ。

今日は部活もないから、この校舎のどこを探しても私以外の生徒はいない。



「寂しくなります。一年のときからずっと、先生に教えていただいて…」

「残念だけど卒業まで見届けることはできないな」

「先生の授業とてもわかりやすいんです。だから残念です」

「でも、その授業は明日で最後だ」



先生はさらりと流しながら、目線は教科書から離さない。

その目が私自身に向くことはない。



「でも…なんで転勤のこと、私に教えてくださったんですか?」



この二年間、先生の授業を受けてきて、私の中の何かが変わった。

勉強に対する態度とか、自分の進路のこととか、正面から考えるようになった。

先生は授業以外にも、質問に行けば教えてくれたし、転びそうになれば支えてくれた。

雑用とかも自分から手伝いに行ったし、相談をすれば一緒に考えてくれた。



だからだろうか。

彼への憧れが、いつしか恋に変わったのは。

学校で彼に会うことが、こんなにも楽しみなことになったのは。



やだなあ。

彼から離れるのがとてもつらくなったのはいつから?

生徒じゃなくて、パートナーとして隣にいたいと願ったのはいつから?

バカみたい。彼は私のものじゃない。彼は誰のものでもない。


恋っていうのがこんなにわがままな感情なら、絶対に叶いっこない。

他の結末を探したって、所詮子供には何もできなくて。



「なんでかな。巡音だから?よくわからないな」



彼は思いつきで言っただけなのかもしれない。

例え何かを言われたとしても、大人だから先々はお見通しで。

うまく回避して、最善の答えを導けるのかもしれないけど。

私にはそれができない。



「私だから?期待しそうになるじゃないですか。下手な冗談はよしてください」



笑いながらそう答えられるのは、どうせ叶わない思いだと諦めているから。




「はは、意外と冷たいね。…ああそうだ、質問はもう終わりだろう?」

「おかげで要点をうまく掴めました。春休みもきっと困りませんよ」

「じゃあ問題を出してあげようかな」



私から教科書を取り上げて、彼はそれを閉じてしまった。

きれいな彼の字で、丁寧に解き方のポイントが書き込まれたページは姿を消す。



「どんな問題も答えてみせますよ」

「頼もしいね。じゃあ問題。…冗談じゃないって言ったら、どうする?」



先生が真っ直ぐにこちらを見つめてくる。



「さっき俺が言ったこと。覚えてるだろう?巡音だから伝えたって」

「…何を言うんですか?」

「これが嘘か本気か、君自身で考えて決めればいい」



立ち上がった彼は、私の手を引いて私を腕の中に収める。

引かれた手は彼の服の裾を掴む。

彼の温もりを直接感じて、私はどうしたらいいかわからない。



「…私、好きな人がいるんです。その人は優しくて、時々いじわるで」



もしものことなんてありえない。

叶うのならこのまま離れたくないし、この手を離したくない。

だけど…彼を困らせてはいけない。



「素敵な人です。でも私から思いを伝えても、きっと届かないんです」



胸に抱えているこの思いを、彼に伝えてはいけない。

ものわかりのいい生徒を演じないといけない。



「そしてそれは先生への気持ちじゃない。だから……」



先生から離れて勉強道具を鞄に放り込み、扉へ歩く。



「先生、これ以上嘘をつくのはやめましょう?…私は唯の生徒ですから」



私をからかっていただけなのだろう。

大人は余裕を装って平然と嘘をつくのが上手い。

もしも彼が私を想ってくれていたのなら、ずっと寄り添っていたい。

だけどそれは幻想でしかないから。


だから私も余裕を装って、平然とするしかないんだ。



ねえ先生、知っていますか。

私、こんなにもつらいんですよ?

あなたと一緒にいれたらって、ずっと想ってるんです。



「今日はありがとうございました。じゃあ、また明日」

「そうだな。…また明日」













彼女が教室を出て行った後、俺はため息をついて椅子に腰掛ける。

ようするにあれが彼女の答えだ。

彼女は冗談だと受け取ったのだろう。ならばそれでいい。



転勤なんて真っ赤な嘘。

一身上の都合で退職することを、彼女は新学期に知ることになるだろう。

そのときには俺は居ない。



本当は、彼女を連れて行けたらよかった。

いや、どこか遠くに二人で逃げたかった。

今抱えてる責任とか信頼とか、嫌なことやつらいこと全てどこかへ捨てて、



「君を連れて、二人で未来を紡げたのなら、どんなにいいだろうか」




もしも彼女が了承したとしても、俺は冗談というしかなかっただろう。

そういう事情を抱えてしまっているから、どうせその願いは叶いやしない。

彼女の近くを離れたくない。




「だけど、さよならしなきゃ…いけないんだな」

のほほんと生きる物書きです。
ギャグから真面目なものまでいろんなジャンルの小説を書いています。
…のはずが、最近はがくルカを書くことが多いです。


IN率低いです。
マイページ以外では「かなりあ荘」というコラボに出現します。

全体的にgdgdなものが多いです。
小説は、自己解釈もオリジナルもやってます。
だいたいはその場のノリで書いてます。

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