第十四章
『会いたい理由』
不思議な人だった。
「私は宮野香織と言います。
以後、お見知り置きを」
そう言って頭を下げる。
「あ、あの・・・・・・・・「あぁ、言わないでください」
私には見えるからと言って宮野さんは笑った。
「とりあえず、取っときますから」
私の肩に手を触れて何かを掴む仕草をした。
「?」
「・・・・・・・・・・ミクちゃんは良い子ですね」
突如聞こえてきた声に私は「有り難う」と言う。
「がくぽさんも格好良いですね」
和風VOCALOIDなんて珍しい、そう言うとそうですかぁ?と聞こえてきた。
「なんなら今度一緒に合唱なんて如何ですか?
場所は此処の中庭とか」
そう言うと宮野さんは私から離れた。
そして、その右手を着物の袂に戻した。
意味が少しわからない行動だった。
「・・・・・・・・・・・ふぅ」
息を一回吐くと宮野さんは話を戻した。
「そうですね、白石さんと森さんあと・・・・・・・・白石さんって二人いるのね」
クスッと笑われて私は目を向ける。
なんで麻美とか森さんのことを知っているのだろう。
「驚かないでください。
この前会ってきた人ですから」
そう言われてなんだ、と私も思った。
「そういえば宮野さんは何をしているんですか?」
見るからに茶道や華道の先生っぽかった。
年は若いだろうけれど。
「よく言えば実家の神主をしております。
悪く言えばニートです」
その言葉に私は飲んでいたお茶を吹きそうになった。
「だってほかにやる事が無くって。
VOCALOID漬けですよ」
「あ、ははは」
私が笑うとまた宮野さんはのほほんとした表情に戻った。
「では、私はこれでお暇します」
「今度は茶菓子でも用意しますね」
そう言うと「楽しみにしています」と言ってPCでがくぽさんを呼んだ。
戻ってくる間に「疲れはなくなりましたか?」と聞かれて「へ?」と間抜けな声をあげる。
「またしんどそうにしている時に来ます」
宮野さんはそう言って掛けていたコートを着た。
「主!!」
「マスター!!」
出てきた二人を見ながら私は身体を動かす。
少し・・・・・・楽になったかも・・・・・・。
宮野さんは私にもう一度頭を下げると部屋から出て行った。
ミクはお迎えとして部屋の扉から上半身を乗り出していた。
それにしても宮野さんって一体なんだろう・・・・・・・・?
疑問を抱えたがまぁいいやと思い私はミクを呼んだ。
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