「わっ！」
　うわっ！
「おっとっと、危ない危ない」
　ＧＵＭＩＹＡ兄の声に驚いて、バナナを落としそうになったけどキャッチしてくれた。
　ふう、助かった。バナナが傷まずに済んでよかった。
「何なんだよ、びっくりしたじゃねえか！」
「まあまあ、可愛いお顔が台無しでちゅよ～あばばばば～」
　バカにしてんのかこいつ。
　ＧＵＭＩのマトリョシカメイクをパクったのか、そういう感じの模様が顔に書かれ、色違いの青いパーカーのフードをすっぽりとかぶっている。
　あばばばばってなんだよあばばばばって。
「……ロードローラーで轢いていいか？」
　何やら勘違いしたらしく、
「なになに、レン君ヤンデレ？　いやあ、萌えｒ(ry」
「さすがＧＵＭＩの性転換、バグってるわ」
「バグミちゃんなんかと一緒にしないでくれる？」
「病んでる奴らなんかと一緒にしないでくれる？」
　しばらく睨み合ったけど、俺が先に折れた。
「んで何か用？」
「可愛い可愛いレンきゅんは何してるのかなって」
「んで何か用？」
「……ＧＵＭＩちゃんにちょっと頼まれてね」
　カメラを構えるＧＵＭＩＹＡ兄。
「さっ、脱いｄ(ry」
「ロードローラー！　WRYYYYYYYYN!」
　後ろの方でリンの声が聞こえたかと思うと、ＧＵＭＩＹＡ兄に体当たりした。
「リンちゃんはロードローラーじゃないよwww」
「あ、ロードローラーありがとうね。レンといっつも乗り回してるよ」
「そりゃどうも。感謝してね、結構高かったんだから」
「感謝してるよぉ～」
「だから今家計が苦しいのね。それに見合うだけのものをと思って。おんなじような事ＧＵＭＩちゃんにも頼まれてたしさ」
「「おんなじような事？」」
　嫌な予感。
「クリプトンみんなの萌える写真撮ってきてだって。さっ、脱いｄ(ry」
「バカ！　阿呆！」
　リンがバールを構える。
　ネギバール……ミク姉がうろたんだーやった時に使ってたやつだ。もらったんだろうか？
　さすがにバールでやられたら痛いだろうという事はバカなＧＵＭＩＹＡ兄にも分かったはず。
「じゃあせめてメイド服だけでも……」
「「だが断る」」
「お願いだ、俺らを助けると思って！　マジでお願い！」
「その写真は家計を救うのか？」
「救われないね。でも売れば結構儲かるから……救われるね、うん」
「ミク姉に言えば？　コスプレ好きだし、喜んで引き受けてくれると思うよ？」
「俺もＧＵＭＩちゃんも鏡音のが見たいんだ。ミクちゃんもイケてるとは思うんだけど、どうしてもってＧＵＭＩちゃんが」
「リン、この変態ロードローラーで轢いてよし」
「らじゃっ」
「え？　ちょっと待ておいおいおいおいおいおいおいおいあｊｒぱ：あま：ｊ」ぱくぁｗせｄｒｆｔｇｙふじこｌｐ――！」




　結局はミク姉がコスしてくれるという事で落ち着いた。
　ＧＵＭＩもミク姉の写真で満足してくれたから、まあ良かった。





　ただロードローラーが少し汚れたのがいけなかったな。後でリンと汚れた部分を洗わなきゃ。