第三十九話 若旦那

 私に研修として言い渡された場所は、≪人間界≫の≪江戸時代≫というところらしい。

 さまざまな文献や資料を参考にして、生活習慣、言葉づかい、礼儀作法、文化、どれもこれも完璧にしてきた。
これで私が人間ではない、もはや≪悪魔≫であるとは、誰にもわかる筈がない。

 
 重苦しい下界へつながる門を抜ける。
そして≪江戸時代≫へ。

 私がこの研修でやるべきことは、人間の男をひとり、悪に陥れること。
どんな方法でもいい、どんな形でもいい。
私はひとりの男の人生を壊しに行くのだ。


 「ここ、か……」


 なんだか変な街並みを抜けて、辿り着いたのは、小さなお店。
店先には「我久屋」と書いていた。
何のお店かは知らないが、私はここで奉公することになっているらしい。

 ……まあ、一番手っ取り早いのは、ここの若旦那を狙うことだ。
きっと近くに入れるだろうし、陥れるのは簡単だ。


 「おや、お前さんだね。今日から奉公に来る『るか』ってぇのは」


 声をかけられたのは、すらりとした男の人。
嬉しそうににこにこ笑っている。

 「俺はここの薬種屋我久屋の若旦那。さあ、中へお入り」

 おっと、どうやらこいつが若旦那らしい。
顔を見れば見るほど、簡単そうな奴だ。



 



 ああ、さっさとこんなの終わらせて、帰りたいなあ。
どうせここでみんなと仲良くなったって、帰れば水の泡。

 私のことの記憶は残らない。








 はやく、帰りたいなあ……。






ライセンス

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ノンブラッディ

ルカさんですねーww
ほぼルカさん回。
でもルカちゃん好きだからいいよ!ww

閲覧数:96

投稿日:2013/03/09 08:38:39

文字数:652文字

カテゴリ:小説

  • コメント3

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  • ハル

    ハル

    ご意見・ご感想

    初めまして・・すみません なんかコメントさせてもらって

    いや、緋色花簪からずっと見てたらもうコメントしたいとこいっぱいあって、
    いや、こんなすごい人の所に私なんかがコメントしていいのかなって思ったんですけど・・

    気持ちが抑えきれなくなってしまって\(^ω^)/

    ルカさん・・ルカさんルカさん
    ルカさん((しつこい  イズミ草さんの書くルカさんは私の好きなルカさんばっかりですw

    これからも応援しています! 才能を無力の私にも分けて欲しい・・

    ・・・これからもコメントしていいでしょうか?あ 長文失礼しましたっ

    2013/03/11 01:13:02

    • イズミ草

      イズミ草

      おおおお!!!! 此方こそはじめまして!!
      いやいや、そいつは私の台詞ですよう
      こんな私なんかに、コメントして貰って……いいんですかっ!!

      わああ!! ルカさんを気に入ってくれたみたいで……
      緋色花簪の巡屋さんは、狂っててアレですけどwww

      はい!! 良ければこれからも、コメントしてください!!
      こんな私で良ければ……

      2013/03/11 14:21:02

  • Turndog~ターンドッグ~

    Turndog~ターンドッグ~

    ご意見・ご感想

    奉公人として雇ってくださいと言いたい←

    ついでにルカさんの後ろをつけt(黙れ変態

    2013/03/09 11:56:17

    • イズミ草

      イズミ草

      江戸時代には既にストーカーというものを、ターンドッグさんという人が、造っていたのか……!

      2013/03/09 13:37:07

  • しるる

    しるる

    ご意見・ご感想

    若きルカさん
    小悪魔ルカさん

    しっぽとかはえてたら、きっとそこが弱点ww←

    2013/03/09 11:13:29

    • イズミ草

      イズミ草

      お、しっぽ生えてたほうが、いいですか?ww
      では生やしましょうぞww

      2013/03/09 13:34:27

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