＃２３



翌日……


「みんな！敵が近くにいる！昨日よりは、数は少ないが油断は禁物だ！」


再び、バグがカイト達に押し寄せる


「もう！どうして、こうも連日！」


メイコが愚痴をこぼすが、それには誰も答えられない


「いい！リンは、あんな状態じゃ出られない！私が前線で戦うから、一歩ひいてレンとミクで援護して！」


そして、メイコが陣形を確認する


「で、でも！メイコさん、一人でなんて！」


ミクが反対する


「いまのままでは、あなたには、前線はキツイの！わかるわよね？」


ミクもそれはわかっている


「だったら！俺がついて行くよ！俺の力をカイトさんにみせてやる！」


レンが前にでる


「だめよ！それじゃ、ミクが一人になるでしょう！」


メイコの目は真剣でレンも無理に進言できなかった





「いいよ、レン。レンは前にいって」


そういって、後ろからやってきたのは、リンだった


「リン！あなた……」

「メイコ姉……いつまでも私を子供扱いしないで。私がここに残るから……」


リンの言葉と決意にメイコがため息をついて、頷いた



「じゃぁ！みんな……くれぐれも気をつけて！」


それぞれ頷き、目で確認する


それが終わるとメイコとレンは前に走っていった















多くの敵を一度になぎ倒すメイコ

一体ずつ、確実に斬りにいくレン

二人の怒涛の活躍により、敵の数は減る

けど……


「おかしい……」


最初にそう気付いたのは、レンだった

いくら相手が前日よりも少ないといっても、こっちも前線が今までより一人足りないのに、まったく苦戦しない

というより、むしろ、メイコと自分だけで押しているほど……


「メイコさん！やっぱり、これはおかしいよ！」

「そうね……あまりにも手ごたえがなすぎる……まるで、時を稼がれているみたい」


メイコも不審に感じていたが、目の前に敵がいる限り、手を休めるわけにはいかない


「カイト！敵の狙いは他にあるのかもしれないわ！」


メイコの声は通信を通して、カイト、ミク、リンにも届く


「僕もそう思って、感知をしているけど、伏兵らしきものは何も感じない」


カイトも敵の狙いを、把握していなかった


「また、昨日みたいな、感知できない親玉がいるんですか……」


ミクが、隣にいたリンに気をつかって小さな声で話す……が、無線でリンに聞こえているので、意味がない


「わからないが……とにかく気をつけてくれ！」


そういって、通信は終わった


「まったく……カイト兄も無茶言うよなぁ」


リンがそういって、笑っていたが……やはり、無理している感は否めなかった










結果、何事もなく

敵の殲滅に成功した彼ら

誰もが考えすぎだったのか





……と安堵したその時だった

リンが血相変えて、みんなが集まるカイトの部屋に走ってくる


「た、大変！」

「どうしたの？リン！」


リンの尋常じゃない慌てように、メイコが驚く


「お、奥にあったルカ姉の体が……ないの！！」

「なんだって！！」


前の戦闘で傷ついたルカの体……供養のためにと着せた白装束ごと忽然と消えてしまっていたのであった