KAosの楽園 序奏-004

投稿日:2010/08/30 20:59:19 | 文字数:3,245文字 | 閲覧数:222 | カテゴリ:小説

ライセンス:

・ヤンデレ思考なKAITO×オリジナルマスター(♀)
・アンドロイド設定(『ロボット、機械』的な扱い・描写あり)
・ストーリー連載、ややシリアス寄り?

↓後書きっぽいもの





 * * * * *
『序奏』終了です。次から漸く本編ですよー! 前置き長くてすみませんm(__)m

出番が少ない反動のように、後半がKAITOのターンでしたね; ひとりでいるから台詞(会話文)が出せず、ひたすらモノローグ。正直、これが一番書くのはラクです。

前半は、会話文は一気に出てきたんだけど間のつなぎに苦労しました。地の文を考えるのが昔から苦手です。全部会話オンリーとかなら、今の半分の時間で書ける。プロットとかネタ出しの時は、そういうの(台詞オンリー)が多いです。そして本文書く時に苦労する(-_-;)

あ、一応補足説明を。本文中に出てきた『ロボット三原則』とは、有名なアシモフのアレです。
 1.ロボットは人間に危害を加えてはならない。
 2.ロボットは「1」に反しない限り、人間に与えられた命令に従わなければならない。
 3.ロボットは「1」「2」に反しない限り、自分の身を守らなければならない。

この場合、『覚醒』しちゃうと「1」に反するから「3」は無効化できるけど、その時には既に『覚醒』済みだからどっちが優先するか判らない、と。『覚醒』そのものは人格プログラムに組み込まれちゃってるので、この制限を超えて発動する……という事になってます。

*****
ブログで進捗報告してます。『KAITOful~』各話やキャラ設定なんかについても語り散らしてます
『kaitoful-bubble』→ http://kaitoful-bubble.blog.so-net.ne.jp/

 * * * * *
2010/08/11 UP
2010/08/30 編集(冒頭から注意文を削除)

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TEXT
 

望木來果(モウギ・ライカ)は4つ年下の従妹で、実家同士が近かった為に子供の頃はよく遊んでいた。
お互い大学入学を機に実家を出て、最近は直接顔を合わせる事は減ったけど、仲は良いままで連絡も取り合っている。彼女が『KAITO』の話をしていたのも、そんな中で交わした雑談のひとつだった。



 * * * * *

【 KAosの楽園 序奏-004 】

 * * * * *



「久しぶりだねー、邦人さん。何か3ヶ月くらい連絡なかったし、心配しちゃってたよ。忙しいの?」

開口一番そう言われ、初めて気が付いた。思い返すと、≪KAITO≫の件に関わってからは電話はおろかメールすら送っていない。

「うーん、先月までちょっと出張してて。教授のお供で某県まで行って、研究放り出すわけにもいかないから大学と往復で」
「日帰り出張×2ヶ月!? よく生き延びたな。意外と研究職の人ってタフだよね」

軽い調子ではあったが、心配したというのは本当だろう。悪い事をしたかと簡単に事情を説明すると、驚きと感心の混ざった反応が返ってきた。それがいかにも彼女らしくて、笑ってしまう。

「体力勝負な面はあるよね、分野にもよるんだろうけど。流石に家に帰る暇は無かったよ」
「しかもカンヅメ?! え、その後の1ヶ月ってまさか入院とかしてないよね」
「ないない。そこまでハードじゃないよ、出張って言ってもホント『お供』だったし。移動だけかな、きつかったのは」

付け加えた言葉でまた心配させてしまい、慌てて否定する。相変わらず、ちょっとした言葉を聞き逃さないな。
彼女なら、KAITOと話してみたら何か分かるだろうか。



丁度良く話の流れが向いたので、早速KAITOの事を話してみた。
動作が安定せず、原因調査のチームが組まれた事。教授について、僕も其処に参加していた事。多くの研究者が様々な調査をしたが、異常は見付からなかった事。

それでも動作不良が続くので、結局プロジェクトが廃止されてしまった事まで話すと、彼女は目を瞬かせて首を傾げた。

「え、でも販売開始してるよね?」
「あれは別ラインで組んだプログラムを使ってるんだよ。人格プログラムのコンセプトが違うんだ。こっちのが動作不良の原因不明だったから、代打で用意したらしい。それでも発売前日まで粘ってたけどね」

肩を竦める僕を見て、彼女は感嘆とも呆れともつかない息を吐く。

「そこまで? よっぽど売れ線になる見込みだったのかな……ちなみにコンセプトって?」
「実際商品化したのは割とシンプルらしいんだけど、『KA-P-01』の方は……確か、『KAITO』の全要素を盛り込む、って」
「はぁ?! ちょ、それ本気で?」

突然目を剥いて喰い付かれた。
僕には何がそんなに大変な事なのか判らず、まごつきながら ただ頷く。

「仕様書にはそう書いてあったけど」
「うわぁ……」

げんなりした顔を見せる彼女に、思わず僕の眉が寄る。

「そんな顔するような事なの?」
「うん……それさ、上手くいく訳ないと思うよ。シロウトが知った口きいて申し訳ないけど」

気まずげな表情になりながら、それでも彼女は説明してくれた。

「“『KAITO』の全要素を”って、すっごい無茶ブリだから。有名どころだけ挙げても、『兄キャラでヘタレでバカイトでヤンデレで卑怯上等』とかカオスな事になるんだよ? あとアイスね。あとマスター」
「! 『マスター』?」

今度は僕が喰い付く番だった。
≪VOCALOID≫にとってのそれ以上に、≪KAITO≫だけに存在する何かがあるのだろうか?

「ボカロって基本的にマスターを慕うキャラ付けが多いけど、KAITOはちょっと別格なところがあるみたいだから。ヤンデレ設定があれだけ根付いてるのもだからこそかも……何、『マスター』に何かあるの?」

説明を加えながら、そこを聞き返してくるのが流石だ。この流れで僕が反応する事にどんな意味があるのか、彼女にはよく解っている。
もとより僕にも隠すつもりはない。頷き、声を落として打ち明けた。

「マスター登録を拒絶するんだ。そんな事は在り得ないはずなんだけど」
「『ありえない、なんて事はありえない』って、何かの台詞であったけど。『KAITO』らしくない感じだね。他は普通なの? って言うか、そのカオス設定で普段どういう感じ?」

視線を落として口元に手を添えるのは、考えを巡らせる時の彼女の癖だ。
問われた事の答えを探して、僕も少し考える。

「怯えてる、かな」

KAITOの様子を思い起こして、一言でまとめるとこうなった。視線で続きを促す彼女に、考え考え、補足を加える。

「あまり話さないし、閉じ篭りがちで……接触を避けてる」
「――それ、『KAITO』? 本当に何処も異常なく――設計者の意図したとおりの人格で?」
「データ上は完全に正常だったよ。ソフトもハードも」

信じられない、と呟く声が聞こえた。

「だったら、それ……」

言いながら、彼女は真っ直ぐに僕を見る。その目の奥に、とても重要な事を刻み込むように。
そうして続けた彼女の声は、何処か敬虔な響きを帯びて聞こえた。

「それって、相当の“意思”だよ」

まるでKAITOを讃えるように。



 * * * * *



――限界が、迫っていた。

再起動を繰り返すごとに短くなる稼働時間は、既に2日を切っている。
このまま進めば、いずれ起動すらしなくなるんだろうか。
それとも、その前に『覚醒』してしまうだろうか。

『博士』を、あの優しいひとを、僕は殺めてしまうんだろうか。

……あぁ。
電脳が灼き切れそうなほどに恐ろしいのに、何処か奥底に仄かな甘美を感じる。
感じるように、なってしまった。本当に、もう、限界なんだ。

いっそ初期化して、記憶<メモリ>をすべてデリートしてしまえば、何もかも忘れて分からなくなってしまえば、あのひとを守れるだろうか。善いひとだと、優しいひとだと、分からなくなって、『知らない誰か』にしてしまえたら。

……駄目だ。初期化した時、何処まで消えてしまうか判らない。
もしも、この『恐怖』まで消えてしまったら?
『設定』は変わらない、それは僕の人格プログラムを構成してしまっている。
変わらないまま、それを恐れるココロだけ、歯止めだけ失くしてしまったら――。

やっぱり、廃棄してもらうしかないのかな。だけど『博士』は、それだけはきっとしないだろうな。
自分で自分を壊せたらいいのに、アンドロイドに組み込む事が義務付けられた『ロボット三原則』が邪魔をする。僕にはそれを超えられるけれど、それは『覚醒』した時で。それじゃ、何の意味もない。

せめて此処から出て行こうか。
抜け出して、此処から、あのひとから離れて、何処か遠い所へ。
……無理だ、解ってる。内蔵バッテリーはフル充電しても3日程度で底をつく。黙って機能停止するならそれでいいけど、もしも制御を失くして暴れでもしたら。
アンドロイドに責任能力は認められていない。それを問われるのは、あのひとだ。



考えても考えても、救いの光は見えない。
むしろ見えるのは闇ばかりだ。暗い昏い闇。その奥底から、狂気の笑みが覗いている。恐い、怖い、甘い毒。呑まれそうになって、壊れかけた意思で必死に拒絶して、

《システム に エラー が 発生 しました。 VOCALOID-KAITO/KA-P-01 を 終了 します》

あぁ、また。
もうこのまま、目が覚めなければいい。
心からそう思いながら、心からそれを恐れてもいた。

――誰か。誰に願えばいいだろう、アンドロイドも神に祈る事は赦されるだろうか。

誰か、誰か。

救 け て く だ さ い。



<intro-004:Closed / Next:the 1st mov-001>

【お知らせ】テキスト投稿が非常に使い辛いため、こちらでは歌詞や音源のUPとコラボ関係のみに縮小、以後の小説投稿はすぴばる&ピクシブへ移行します。

■小説メイン時々歌詞な字書き……だった筈が、動画編集やボカロ調声、作曲にまで手を出してます。どうしてこうなった。

□ブクマやコメント、有難うございます! 転げ回るほど嬉しいですヽ(*´∀`)ノ
□オールキャラ書くけど9割KAITO。
□使えるものがあればお気軽にどうぞ。使用報告だけお願いします^^ 歌詞については、良識の範囲内であればアレンジや部分使用など改変していただいて構いません。多忙な時期でなければ、ある程度の調整も承ります。

■シェアワールドコラボ主催してます。参加者様募集☆ http://piapro.jp/collabo/?id=15073
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