-密告者-
 犯人。
 犯人。
 誰。
 誰。
 誰。
 まさか、リンが?
 そんな考えが脳裏をよぎり、あまりにこっけいな考えだと、レンはふっと笑いを浮かべて歩いていた。
「玩具が持ち主を裏切っていいはずがない」
 玩具は裏切らない。所詮壊れる玩具は持ち主をしっかり覚えておかなくちゃ、すぐに廃棄処分にされてしまうんだよ?

「…リン」
 すでに来ていたリンに気がつくと、レンは軽く声をかけた。
「どうしたの、レン。あんまり顔色よくないみたいだけど」
「ちょっと、来て」
「え?何、どうしたのっ?」
 この反応なら、リンじゃないな、やっぱり。そう思いながらも、店の裏に出てリンに先ほどのことを報告し、犯人に心当たりがないか、聞いてみた。すると、リンは少し困った様子でいう。
「私は思い当たる人なんて…。だって、知ってるのはレンと私だけでしょ?」
「じゃあ…誰なんだ?」
「兎に角、その人に聞いてみたらいいんじゃない?誰に聞いたのか」
「あ、そうか。明日にでも、聞いてみる」
「そうするといいよ。あ、ほら、今日の依頼、見てみようよ」
「あ、うん…」
 なんだ、この感じは。いつもと何かが違う。まさかりんからこんな明確な案が出てくるとは思っていなかったというのも、以外だったのだが…。いや、こんなことがあって、気が動転しているのだ。玩具に異常はない。
 自分を落ち着かせながら、レンは店のレジに座ってパソコンを開く。メールを確認――。
「!?」
 なんだ、どういうことだ。
 このメール…。発信元はどこかのインターネットカフェだろう。
「どうしたの、レン」
「見ろ」
 メール開いてみせると、リンも驚いたように目を見張った。
『さっさと正体見せろ』
『ばれてないと持ってる馬鹿一名』
『記憶屋なんてもう流行らない』
『馬鹿にすんじゃねえよ』
 どれも最後に一言、
『鏡音レン』
 明らかにばれている!どこかから情報漏えいしているのだ。どこだ?
 『記憶屋』で検索すると、結構多くの量のヒットがあるが、その中でも三番目に出てきた某巨大掲示板のスレッドをクリックした。それは、『記憶屋とは是如何に』と銘打たれ、記憶屋に批判をしようと言うスレッドと言うことになっていて、その中でも一番最近のコメントは『まじかwwww』。そこから少しさかのぼると――。
『記憶屋の正体知ってる?wwww』
『誰よwwww』
『しらねぇしwwww』
『鏡音レンってゆー馬鹿wwwwww』
『顔写真くらい乗せろや(笑)』
『テラ個人情報wwwwww』
 その次のコメントに、レンの顔写真のURLが書かれていて、そこから後のコメントはさらに悪質で、
『今、記憶屋に問い詰めるメッセ送ってきたwww』
『今、記憶屋に問い詰めるメッs(ry)』
『今、記憶屋にといt(ry)』
『今、記憶y(ry)』
『今、k(ry)』
『いm(ry)』
 確かにそのコメントの数以上に同じ内容のメールは来ているのだが、こんな明確に正体を名指しで示してくる相手とは一体誰なのか?
 この世界のすべては俺の玩具なのに、玩具がちゃんと動かなくなってしまったのだ。
 動かない玩具は壊してしまえばいいのに、その玩具がすべて匿名の掲示板でしか分からないというのは、むずがゆくて仕方がない。
「誰なんだ…ッ」
「レン…」
 リンは何も言ってやることができなかった。


 次の日。
 眠い頭を起こしながら校門を通り、自分たちの教室がある三階へと階段を上がっていくと、レンの顔を見た何人もの生徒がひそひそと何かを話しているのが聞こえた。
「――?」
 なんなのだろうと思いながら、レンは教室の前に人だかりができていることに気がついた。人だかりの中からレンを見つけてリンがかけてくる。
「レン!大変!きて!!」
「な、なんだよ?」
 あわてた様子のリンに腕を引かれながら教室の前まで連れて行かれ、背中を押されて人ごみを掻き分けながらそれを見ると、レンの表情は一気にこわばった。
「なんだよ、これ…っ!?」
【記憶屋の正体は鏡音レン】
 そう書かれたポスターは大々的に貼り付けられ、誰の目に見てレンが記憶屋であるということは明白であった。

 どこかに裏切った玩具がいる。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

記憶屋・心屋 7

こんばんは、リオンです。
…また何を書きたかったのか忘れてしまった…。
もう歳ですかねぇ。
だれか、若さをわけてください(まだ中学生だろ
うーん、どうしたら脳が若くなるのでしょうか。
誰か教えてください(汗
それでは、また明日!

閲覧数:221

投稿日:2010/01/30 23:52:24

文字数:1,769文字

カテゴリ:小説

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