今日、カイくんは東京のビッグサイトで開かれている「雑貨グッズ・ショー」の会場に来ている。
プロの人向けの見本市で、メーカーが流通関係の人やお店のバイヤーを呼んで、新商品を展示して商談をするのだ。

雑貨や文具、ぬいぐるみなどのいろんなメーカーが、会場にブースを出している。
玩具のメーカーも数社出ていて、カイくんはその招きでここにやってきた。

●かわいい雑貨文具を見つけた!

会場をブラブラしているうちに、彼の目にあるものが入った。
文具のペンケースや手帳で、ちょっと大人っぽい、絵本のようなイラストが描かれている。

一つを手にとってみた。おしゃれなフンイキで、なかなか良い感じ。
絵は、何人かのアーチストのデザインで、いくつかの種類がある。

彼が商品を見ていると、ブースの奥から女性が出てきて声をかけてきた。
「これは、うちの新商品の“クリエーターズ・シリーズ”です」
「ちょっと面白いですね」
女性は、商品の説明書を取り出して続けた。
「若い女性たちに人気のデザイナーや、絵本の作家、イラストレーターを何人か選んで絵を使った、文具のシリーズなんです」

●この絵の作者は...

カイくんは説明書に載っているアーチストの写真をながめていて、「あッ!」と思った。
「この人、このあいだ店に来た人だ」
その赤毛でメガネをかけた男の人の写真には“絵本作家・重音テッド”と書いてあった。

彼の視線に気づいた彼女は、
「この人は重音テッドさんです。いま人気が上昇中の作家さんです」
と説明してくれた。
「絵本作家...」
「あたたかい作風の絵本で、派手さはないけれど、若い女性をメインにファンが増えているんですよ」

そうか!このまえ千代紙を買ってくれたあの人は、アーチストだったのか。
カイくんは急に、親しみを覚えた。
「この文具のシリーズ、うちの店でも扱ってみたいんですが」
「Oh! ぜひ、お願いします」

女性は名刺をとり出した。
「ゼロ・ジー文具の、津井田ソニカと申します。商品の企画担当をしています」
カイくんも名刺をとり出した。
「キディディ・ランド原宿店の、甲斐カイトと申します」
2人は名刺交換をする。
「うちの店はおもちゃ屋なんですが、こういう文具もとり入れたいな、と思ってます」
「そうですか、ぜひ、ご検討ください」
快活そうなソニカさんは喜んで、いろいろ詳しい資料を渡してくれた。

「ようし、うちのメイ社長を説得して、お店の売場に文具のコーナーを作ろう。でも...」
カイくんは思った。
「社長はこういう“カワイイ”ものが、よくわからない人だから、説得は大変だけどね...」(-_-)

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
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玩具屋カイくんの販売日誌(17) 見本市で見つけた

さいきんはボーカロイドの他に、UTAU(テトとか)の作品をよく聴いています。お話では、ボカロ達とUTAUのメンバーが交流するようなものが書けたらいいな、と思ってます。

閲覧数:212

投稿日:2009/08/08 13:44:00

文字数:1,109文字

カテゴリ:小説

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