「あれは女王様が自分の前で歌いなさいって言うときに歌う歌」
「女王様が歌ったらお城にいってみんな歌を披露するんだ」
「女王様は歌うのが大好き」
「女王様は歌を聞くのも大好き」
「女王様は何でもできる」
「だから女王様を喜ばせたら何でも叶う」
「女王様が喜ぶ歌を歌ったら」
「なんでも一つ願いが叶う」
呆然と女王の歌を聞いていたミクの周りを回りながら二人は説明する。
「「ミクは元の世界に戻りたい?」」
二人に覗き込まれる。
ミクはたじろいて一歩後ずさった。
「それは、もちろん…」
これは夢の世界なんだから、目が覚めなくては。
でも、目が覚めても夢の中でもルカはやっぱりすばらしい歌を歌っていて。
ミクはやっぱり歌がうまく歌えなくて。
目覚めても今も、何も変わらない気がした。
「「だからミク、歌を歌いに行こう」」
あいまいにうなずいたミクを肯定したと見て、二人はお城へ向けてミクの手を引く。
「え? え?」
「女王様は願いをかなえてくれる」
「女王様に歌を聞かせればいい」
元の世界へ戻るために女王に歌を聞かせろと、そういっているのだと気付いた。
「だ、だめ」
二人を振り払ってミクはさらに後ずさる。
「わたしは、歌えない」
ルカの前で歌うなんてできるわけがない。
「でもミクは歌いたいよね?」
「でもミクは帰りたいよね?」
「それは、そうだけど、でも」
怖い、怖くて仕方がない。
だめな自分の歌をルカに聞かれたくない。
今までもルカの耳に入ることがないようにしてきたのだ。
ルカのことが大好きだから、ルカに否定されたくなかったから。
だから、夢の中のルカとはいえその前で歌うなどできるはずがない。
「大丈夫、女王様は気に入ったらちゃんと帰してくれるよ」
「気に入らなかったら……だけど」
「気に入らなかったら?」
二人は顔を見合わせてにへらっと笑うだけで何も言わず、
先ほどまでよりも強い力でミクを引っ張る。
足に力を入れて抵抗したけれど、二人の力のほうが強くてずるずると引きずられてしまった。
お城の前は人だかり。
お城の中からは歌声が聞こえている。
待機列へと連れて行かれ、並ばされる。
ならんだところでリンとレンが解放してくれたけれど、
衛兵が見張っていて逃げられそうになかった。
しばらく待ち、ミクの番が来た。
玉座に座っているのはやはりルカだった。
「さあ、次はお前の番だ。歌うがいい」
そういわれ、リンとレンに前に押し出される。
体が震える。
「ミクの心のままに歌えばいいんだよ」
「ミクの歌いたいように歌えばいいんだよ」
二人が後ろから応援してくれる。
それでも、ルカに対して歌うのだと思うと苦しい。
「早く歌え」
氷のようにつめたい女王の声。
それはまるでルカにしかられているかのようで。
歌わなければ。
義務のようにその思いはミクを縛り付ける。
ミクは滲みそうになる涙をこらえて、口を開いた。
→歌5(http://piapro.jp/t/w3tN)へ
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時給310円
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置ク猫
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おにゅうさん&ピノキオPと聞いて。
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↓「前のバージョン」でページ送りです...【小説書いてみた】 神曲

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「僕の命の歌で君が命を大事にすればいいのに」
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そんなことを言って本心は欲しかったのは共感だけ。
欲にまみれた常人のなりそこないが、僕だった。
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悲しいから歌った。
生きたいから歌った。ただのエゴの塊だった。
こんな...君の神様になりたい。

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