あなたが傍にいてくれるなら
もうちょっとながく生きていたいと思った。
【ぽルカ小説】そんな感じで。
胸に違和感を感じながらもずっと放っておいた。
だけどだんだん片方の胸だけが
異様に膨らんでいって母さんと病院に来た。
いろんな検査をした。
一度体験してみたかった
CTスキャンなんかもした。
医者がぽつりと言った。
「乳がんですね。」
あ、そっか乳がんか。
母さんなんで泣いてるの?
別に今すぐ死んだりしないわ。
「お父さんになんて伝えれば・・・」
出たよ、お父さん。
いや、お義父さん。
母さんの再婚相手。
お金持ちだから嫌いじゃない。
ちゃんと私たちを愛してくれている。
嫌なのはその人の連れ子で義兄のがくぽ。
病弱でほとんどベッドで寝ている。
お義父さんはそんなあいつを気遣って
あいつの部屋をリビングの隣の部屋にしていて
ドアもとってしまった。
ベッドにローラーもつけた。
独りにしないように。
良い人だ。
なのにその息子は私をこき使う。
でもたまに話し相手になってくれる。
別に私には友達がいない訳じゃないのに。
「寂しそうだね」
「なにかあったの?」
こんな感じ。
嫌に鋭くてうざい。
今日も帰ったら聞かれんだろうなあ。
なんてぼんやり考えていたら
家に着いていたようで。
なんとなくリビングへ行った。
あいつがいた。
車椅子に座っていた。
「ベッドに寝てなくていいの?」
私から声をかけてみた。
「・・・なんかあったでしょ。
顔、いつも以上に笑えてない。」
ほら、ね。
そういうのが嫌なの。
「乳がんらしいの、私。」
素直に答えた。
なんとなくそんな気分だった。
あいつがすっと両手を伸ばしてきた。
「・・・何?」
「来て。」
温かい。
抱き締められている。
抱き締められている。
すごく心地良い。
このまま眠ってしまいたい。
「今日は素直だね。」
「・・・。」
「寝る。ベッドまで連れてって。」
むっとしたが車椅子を押してあげた。
立たせようとすると「いい。」と
言われたので自分の部屋に戻ろうとすると手をひかれた。
「隣で寝てて。」
「は?」
「この部屋クーラー効き過ぎ。」
「弱めとくわ。」
「・・・近くにいてくれ。」
「・・・なんもしないでよ。」
「努力する。」
少し不満だがベッドに入った。
あの心地良さが恋しかった。
「・・・。」
「・・・。」
抱き締めてくれない。
おあずけか?
抱き締めてというべきか?
いや待て。
そもそも私達は義兄妹なのだ。
恋人ではない。
変じゃないか。
抱き締めるだなんて。
「なあ・・・」
「ん?」
「ほんとに?」
乳がんのことか?
「本当だよ。」
「余命宣告は?」
「聞いてなかった。」
「・・・。」
「・・・。」
「なあ・・・」
「ん?」
「もっかい抱き締めていい?」
「待ってました。」
「ははっ」
ああ、温かい。
「俺より先には逝くなよ・・・」
こんなに近くにいるのに
耳を澄まさなければきこえないような声だった。
視界がぼやけた。
あなたがこんなふうに傍にいてくれるなら
もうちょっと長く生きていたいと思った。
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