『ウソツキスマイラー(仮題)』



泣けるだけ
まだ良いのだ と
言った君が 悲しくて
僕はまた 泣いていた


優しくなりたい 君達が
誰より優しい などと
詩人達が 声高に歌った

そんな音色を なぞっては
届け届けと 手を伸ばす
愚かで惨めな 僕が居た

お願いもう 笑わないで
好きなだけ どうか泣いてよ
強く微笑む君達に
神様 どうか安らぎを

笑えるだけ
まだ平気だ と
言った君が 痛ましい
僕はただ 泣いていた


騒がしいだけの 教室で
誰にも優しい フリの
教師達が 熱弁を振るった

背負った傷跡を なぞっては
痛くないよと 目をそらす
哀れで健気な 君が居た

お願いもう 嘘はやめて
言葉だけ なぞらないでよ
強く微笑む君達を
先生 どうか見破って


誰も彼もが いい子だねって
褒めてそやして まるで幸せ
そんなふうに 決め付けないで
誰か誰でも あの子を助けて
泣いて喚いて まるごと抱いて


泣けるだけ
まだ良いのだ と
笑った君が 悲しくて
僕はまた 泣いていた

笑えるだけ
まだ平気だ と
言った君が 痛ましい
僕はただ 泣いていた




以下ひらがな表記


たきみが かなしくて(6/5)
ぼくはまた ないていた(5/5)

A
やさしくなりたい きみたちが(*7/5)
だれよりやさしい などと(8/3)
しじんたちが こわだかにうたった(6/9)

B
そんなねいろを なぞっては(7/5)
とどけとどけと てをのばす(7/5)
おろかでみじめな ぼくがいた(8/5)

C
おねがいもう わらわないで(*5/6)
すきなだけ どうかないてよ(5/7)
つよくほほえむ きみたちに(7/5)
かみさまどうか やすらぎを(7/5)

S
わらえるだけ まだへいきだと(6/7)
いったきみが いたましい(6/5)
ぼくはただ ないていた(5/5)

A
さわがしいだけの きょうしつで(*7/5)
だれにもやさしい ふりの(8/3)
きょうしたちが ねつべんをふるった(6/9)

B
しょったきずあとを なぞっては(8/5)
いたくないよと めをそらす(7/5)
あわれでけなげな きみがいた(8/5)

C
おねがいもう うそはやめて(*5/6)
ことばだけ なぞらないでよ(5/7)
つよくほほえむ きみたちを(7/5)
せんせいどうか みやぶって(7/5)

D
だれもかれもが いいこだねって(7/7)
ほめてそやして まるでしあわせ(7/7)
そんなふうに きめつけないで(6/7)
だれかだれか あのこをたすけて(6/*7)
ないてわめいて まるごとだいて(7/7)

S
なけるだけ まだいいのだと(5/7)
わらったきみが かなしくて(7/5)
ぼくはまた ないていた(5/5)

わらえるだけ まだへいきだと(6/7)
いったきみが いたましい(6/5)
ぼくはただ ないていた(5/5)