「きゃっ」
 突然、レンに倒れるようにのしかかられ、リンは布団に仰向けになった。
 自分の上に、レンが見える。
「レン……?」
 なんだかレンが怖い。熱に浮かされたような瞳で自分を見つめている。
 しばらくは、そのまま。お互いの脳裏を探るようにみつめあう。
 先に動いたのはレンだった。リンの手を押さえつけて、うなじに顔をうずめた。
 密着させるように、身体を沈めてくる。
 熱い吐息が耳朶にかかり、その裏を軽く吸われた。
「やっ……んっ……」
 吸われた瞬間、甘い疼きが身体を駆け巡り、思わず声が漏れた。自分が発したとは思えない鼻から抜けた声に、リンは羞恥に身を赤くした。
「やだ……レン、やめてよ……お願い」
 レンの行動に戸惑う。心の準備もしていなかったリンは、どんどんエスカレートしそうな行為が怖かった。泣きそうな声でレンに訴える。
 リンの懇願を聞いて、レンは顔をうなじにうずめたまま、しばらく動かないでいたが、ふと顔をあげた。
「おどろかしてごめん。…リンが嫌なら、もうなんもしないよ」
 微笑み、リンの髪をなでる。
「けど……もう少しだけ、このままでいさせて」
 そういうと、レンはまた顔を首筋に埋め、両腕をリンの身体の下にまわした。
 先ほどよりもぴったりと身体が合わさる。どこも隙間が無いように重ねられた。


 12時を知らせる鐘が鳴る。
 それでもまだ、レンは抱きしめる腕を緩めない。
 レンが呼吸するたび、首筋に熱い吐息がかかる。
 重なった心臓は、鼓動をひとつにさせて、時計の鐘よりも早いスピードで脈打っている。
 いつのまにか、リンの腕はレンの背中にまわっていた。

 心が、もっと、ひとつになりたいと感じている。
 ずっと一緒にいたレン。大切なレン。初めから、自分にとっていなくてはならない存在だった。レンに対する感情が、より強い一体感を求めている。
「……レン、いいよ。」
 レンが少し頭を起こす。戸惑った表情を浮かべている。
「レンなら、いいよ。……レンの、したいようにして?」
 そう微笑むと、一気にレンの瞳が情欲に染まっていく。
 レンは、ネグリジェの紐を解いて荒々しく剥ぐと、あらわになった果実に貪りついた。

 もうずっと前から、心のなかでこうなることを望んでいたような気がする。
 きっと、二人が男と女に生まれた瞬間から、こうなることは決まっていたのだと思う。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【勝手に妄想】アドレサンス【10】

【10】
最後のほうから妄想の爆発が始まりました……
次が問題です……

あの、(最後の方は別として)10話は大サビの部分に掛かるように意識して書いているんですが、
レンの「なにもしない」は、レンが嘘ついたわけではありません。
その言葉を言ったときは、ほんとになにもしないつもりだったんだよ……

つづきます。

閲覧数:1,961

投稿日:2010/10/02 21:40:39

文字数:1,004文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • ゆるい神様

    ゆるい神様

    ご意見・ご感想

    今日、一気に読みました。
    次、待ってます。

    2010/10/07 17:13:32

    • 菜須

      菜須

      こんにちは!ありがとうございます!

      実はグッドタイミングで、今日明日あたりには続きをあげようと決意していたので、早々にあげたいと思います!←

      2010/10/08 13:13:14

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