#7「誤魔化してきたもの」



私は部室にやってきた

ここまで走ってきたので、いくら冬間近といっても体が火照る


「あちぃ……」


私はマスクを投げ捨てる

パーカーの前も開ける


「あ、財布、財布っと……」


私はあたりを見渡す

こうしている間にも、あの二人は仲好くしているのだろう……


「ああああ!腹立つ!!」


誰もいない部室で叫ぶ


「……さがそ」


けど、むなしくなるばかりなので、すぐに冷静になれた


「あ、あった……」


窓枠のところにちょこんと財布が乗っていた

それを手にすると、財布はひんやりとしていた


「……今から行ってもなぁ……映画、始まっちゃっただろうしなぁ……」


その窓から外を見ると、どんよりとした曇り空の下、陸上部が練習している


「……」


遠くの山をじっと見る私……別に昨日と変わりはない

けど……何か物寂しく感じるのはなんだろう


その次に自分の服装を、被服部の全身鏡で見る

薄暗い部室で、黒いパーカーを着た自分……


「……私、何しているんだろう」


そんなことを思ってしまう


「グミは……これで幸せなのに……」


そう思いつつ、視線を横にずらす

すると、グミが作って、アイツが着るはずのものが目に入る


「……」


細かいところまで作りこまれ、ほつれなどはどこにもない

グミは手を抜かない……何に対しても

それがいいところであり、好きなところでもある

そう……好き……な……


「あ……あれ?」


その時、自分の顔を伝わるものを感じた

それをごしごしとふく


「な、なんでだろう……」


そんなのはわかりきっていた……

常識的に考えて、私とグミがうまくいくはずがない……

そもそも、私がカミングアウトしたところで、グミは受け入れてくれるはずがない……

手に入らないなら……せめて、その人の幸せを願うのは当然……

けど、くやしい……くやしい……





「レン君、ごめんね、せっかくの休みに学校なんて……」


その時、廊下からグミの声がした

私は驚き慌てた

な、なんで、グミが?映画にいったんじゃないの?!


「いや、いいんだよ。映画は時間合わなかったし、それにグミさんのつくった作品着てみたいし」


そしてやっぱり、アイツもいるみたいだ

私は部室内でおろおろしていた

い、いま、外に出たら、間違いなく鉢合わせする!

私は仕方なく、衣装をかけておくロッカーの中に入る

中にはグミが過去に作った衣装がたくさん入っているが、小柄な自分一人くらいなら問題なくはいれた

ちょうど目線のところに空気穴があって、外の様子もみれて、いろんな意味で安心


そして……ガラガラと部室のドアをあけて二人が入ってきた


「いま、準備するね。レン君はそこに座って待ってて」


グミがそういって、準備してあった例の衣装を取りに行った



私は……とりあえず、大人しくしているしかなかった……

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

私とアイツとあの子 #7

リンの気持ちとリンクする天気

さぁ、天気と共に雲行きが大変あやしくなってきたw

閲覧数:144

投稿日:2014/01/10 20:07:12

文字数:1,260文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

  • 関連動画0

  • イズミ草

    イズミ草

    ご意見・ご感想

    うっわあああああああああああ!!!!!!!
    怪しくなる雲行き……交錯する思い……
    三人には大変申し訳ないですが、先がきになりますねぇ

    2014/01/12 10:29:05

    • しるる

      しるる

      な、なんだと……
      次回、サブタイトルを当てられただと?!
      イズミさん、こわいわーwww

      2014/01/12 17:57:50

オススメ作品

クリップボードにコピーしました