「パパ?」私はパパに話しかけた。「パパのお仕事って、何をするの?」
「警察と同じようなものだよ」パパはなんでもないように答えた。
「・・・・そうなの・・・・」嘘、ついてる。「じゃあ、差別とかってすごく酷いよね」
「――・・・・そうだな。ほら、もう寝なさい」パパはわざとらしく、話題を変えた。
「おやすみなさい」私はつぶやいた。
「おやすみ、リン」パパはいつもと同じように、私の頭をなでた。
ママは私の額におやすみなさい、のキスをして、照明を消した。
 私は目を完全に開けて、考え込んだ。
 今までパパが何の仕事をしてるのか、よく知らなかった。でも、まさかあんなに酷いこと・・・・。看護師さんから聞き出したけど、あの強制収容所は私たちと人種の違う人たちを閉じ込めているらしい。つまり、“人種差別”。戦争がどんどん酷くなってきているのは知ってる。でもその理由が、まさかそんな小さいことだなんて。だって、同じ人間じゃない!?同じ国で、同じ地球で、同じ時間を生きているのに、なんでそんなことで争うの?なんで人が殺しあったり、何もしてない人が死ななきゃならないの?一人ひとり顔も声も性格も、違うに決まってるじゃない!なのに、人種のせいで差別をするなんて、ありえないわ・・・・。しかもその中心になっているのが、パパの仕事だなんて。涙が出てきそうだ。鼻の奥が痛い。私は差別なんて、無視してやるんだから。パパのことは好きだけど、パパのやってることは、大っ嫌い。
 ・・・・それに・・・・。私のパパが将校だって、彼にバレた。自分をあんな収容所に閉じ込めた人たちの、偉い人が私の父親だって知ったら、何て思う?まだ、二階しかあったことないのに。名前も知らないのに。やっと出来た話し相手なのに。・・・・私、彼のこと好きなのに。嫌われたくないよ・・・・。
 アツいものが一筋、目から流れた。

 次の日、私はまた病院を抜け出す。・・・・私、嫌われちゃったのかな・・・・。
 収容所へ着く。彼の姿は――あった。よかった・・・・!
「こんにちは」少し手を振って、柵に近づく。「――・・・・昨日はごめんなさい」
「しっ――」私が言い終わるか、言い終わらないかぐらいに、彼は唇に人差し指を押し当てて、静かに、と合図した。
 私はなんだろう、と少しドキドキしながら彼を見つめた。彼は悪戯っぽく笑って、どこからともなく紙飛行機を取り出した。
「ちょっと、離れててください」彼は口の形でそう言った。私は柵から少し離れた。
 彼も柵から少し離れて、ひょいっと紙飛行機を飛ばした。紙飛行機はトゲトゲした柵を越えて、私のほうへ飛んできた。私はあわてて手を伸ばして、紙飛行機を取った。
「開いて、読んで」彼はまた、声を出さずに言った。
私は頷いて、紙飛行機を開いた。

For you
昨日、柵ごしで話してたら、捕まりそうになったでしょう?
だから、こういう方法にしたんだ。これなら時間もかからないし。
本当は自己紹介ぐらいしたいんですけど、この飛行機が誰かに読まれる可能性も考えて。君もバレたら、やばいから。
ハンカチ、本当にありがとう。
         Friendship from

私は読み終わって、彼を見た。
「返事、書くね!」
「声、出したら意味ないよ」彼は声を出さずに言って、笑った。
 私はぱっと口を押さえた。そうだったっ。私も思わず笑う――声を出さずにね。
 私は彼に手を振って、大切に紙飛行機を持って帰った。すごく、すごく嬉しい。最後に、“友情を込めて”って書いてあった!こんなこと、はじめて。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

囚人―Prisoner―04#破壁

学校休みでヒマになったので、投稿しましたww

閲覧数:974

投稿日:2009/05/25 14:27:34

文字数:1,485文字

カテゴリ:小説

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  • 華音

    華音

    ご意見・ご感想

    †まどろみ様†
    こんばんは!読んでくださってありがとうございます♪
    パパ、いいですよねー。私も好きです。
    これからオールパパの章がでてくるので。
    楽しみに(?)しててくださいなww

    2009/07/09 01:34:25

  • まどろみ

    まどろみ

    ご意見・ご感想

    こんばんわ!読ませて頂いております><まどろみです!
    私はパパに思い入れが強くて、パパのエピソードが出ると胸が熱くなります。
    あと、このエピソードの最後の部分が好きで仕方なくて、思わず絵まで描いてしまいました。
    素敵なエピソードをこれからも紡いでいってください。楽しみにしております><

    2009/07/04 20:05:31

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