6月ハーモニー 未来音符 そのじゅー
先輩と私は走っていく2人を見ながら
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
沈黙の空気が私達の間に流れた
あとは……先輩だけだ……
そう思い、横にいる先輩に2人の時と同じように低い声で
「先輩は……Lilyのイベントに行かなくて……いいんですか?」
「ひぃぃ!?今度はオレぇ!?そりゃそうか!!」
先輩は腕を構えるぐらい、私に対して恐怖を感じてるみたいだ
「いいんですか?……もうすぐ始まるんじゃないですか……?」
「い、いや…初音さんに許してもらえないと……い、行かない…かな?」
「なんで……私が許さないと……行かないんですか……?」
「だ、だ、だって…い、一緒にイベント…見たいから」
先輩は私の迫力にビビりながらも自分の願望を口にする
「そうですか……じゃあここでお別れですね……」
そう言い私が階段を上り始めると
「え?ちょ、ど、どこ行くの?」
背中に当たった先輩の声に振り返らずに
「走ってのどが渇いたから喫茶店に行くんです……ついて来ないで下さいよ?」
「え、えぇ~?喫茶店はLilyのイベントの後に行こうと思ってたのに…」
「そうですか…」
私が2階に戻って、先輩の方に振り向くと
「ねぇ初音さん…?そんなにつむじの事で怒ってるの?じゃあ謝るからさ…」
不安げな瞳の先輩に見上げられた。
私はそんな瞳の先輩を無感情な目で見つめ返しながら
ちょっと……どうしよう?どうすればこの状況を変えられるんだ?
最初はただの冗談で先輩に変態と言ったのだが、先輩が本当に私のつむじを
探したと聞いて引っ込みがつかなくなったのだ。
でも内心はずっと焦っていた
やべぇ…どうしよっかな?
今さらそんなに怒っていませんとは言えないし…
どうしよう…どうするか?
悩みながら私は先輩と見つめ合う
う~ん、ここは喫茶店で私の好きなものを何でも奢ったら許しますって言えばいいかな?
よし、じゃあまずは、まだ私とデートしたいか聞くか…そうすれば先輩は
うん!って言うはずだ
「先輩は…」
と言いかけた途端に
ぴろ~ん
私の携帯がメールを受け取った
ん?誰?
携帯を取り出して画面を見ると
『ミク達はこれからもメゾールを回るの?』
それはミキからのメールだった
ミキ?あれ?だって今アキラ君と映画を見て…
そうか、まだだ…映画まであと15分ぐらいあるか…
でも、なんで?どうゆうこと?
疑問に思ったことと、ミキへの質問に
『そうだと思うよ?でもなんで?てゆーかミキは今どこにいるの?
映画館に着いてるんじゃないの?』
返事をすると、すぐにまたミキから
『エスカレーターに乗って映画館に向かってる時に、ミクと海斗先輩が
走ってるとこを見ちゃったの。それで今、映画館の前からメールしてる。
それでミク達がどうなったかが気になったの。
ねぇミク達がこれからもメゾールを回ったらヤバイんじゃない!?
私達が今から映画を見て出てくるのが2時間後だから、それまでミク達は
メゾールにいるの!?』
ミキのメールで私も危機感を感じた
確かにミキの言う通りヤバイな…昨日ミキと話したときは、ただ会わないように
気を付けとけばいいとしか思ってなかったけど…
よく考えれば、私とミキがどこにいるかのやり取りをしなければ、偶然に
会う可能性は十分過ぎるほどあるじゃん!
しまった~そこまで頭が回らなかったか~どうするか?
一応、ミキにも聞くか…
ミキへのメールを打ってると、先輩が私に近づいてきて
「なに?誰とメールしてるの?」
「いま話しかけで下さい。てゆーか喋らない下さい、忙しいんです」
先輩は私が言った通り、喋らないで顔だけでショックを受けたことを私に
アピールしてきた。
うざったいな~それよりもミキだよミキ…
『確かにヤバイよね?じゃあ、ど、どうしよっか?私達のほうは、
とゆーか先輩のプランだと、この後にLilyのイベントを見るみたいなん
だけど…ミキ達のほうはどうなの?映画の後にどこ行くの?』
するとミキのまたしても早い返信が来た
『そんなの分かんないよ!それにまだアキラ君が来てないから聞けないよ!
てゆーか、ミクは先輩に聞けるんだよね?じゃあプラン聞いてよ!
つーか早くしないと映画が始まるから早く決めなくちゃ!!』
メールからかなり切羽詰まった感が伝わったので、横の先輩に
「先輩!イベントを見た後にどこに行くんですか!?たしか喫茶店に行くって
言ってませんでした!?じゃあその後です!その後はどこに行くんですか!?
買い物にでも行くんですか!?答えてください!!」
しかし先輩は口をしっかりと閉じて。つまり無言、しかも満面の笑顔で
「…………」
イベント、喫茶店の仕草の後に、おそらくページを捲る仕草をした。なので
「なにやってんだこの馬鹿!!喋って説明してよ!!こっちは時間が無いの!!
早く教えてよ!!このままじゃマズいんだって!!言え!!」
「なんだよ~?喋るなって言うから喋らなかったのn…ゴメンゴメン!!
言うからそんな目で見ないで!!え~っとね、そうイベントを見た後に
2人で喫茶店に行って、その後に本屋にでも行こうかと考えてるよ?
なんか聞いた話によると、初音さんって本読む人なんでしょ?
俺はあんまり本とか読まないから、今どんな本が面白いか教えてもらおうとね。
その後は……それでお終いかな?うん…」
私は先輩のプランをイメージしてみた
…………
…………
……マズイな…それだとイベントの時間を入れて、3時間はかかるな…
3時間後にはミキ達がとっくに出てくるだろうから、会ってしまうな…
だったら…プランを削るしかないな…
じゃあ本屋か……本を読んでるって言っても、私が読んでるのはラノベばっか
だから、この人に説明するのは恥ずか…面倒くさいな…
イベントを見てその後に喫茶店に行って帰ればいいか……いや、待て…
イベントの後にメゾールの外の喫茶店に行けばいいんじゃないのか?
そうすれば会わないだろう…
イベントの時間が2時間だから、見終わって外に出ればちょうどミキ達も
映画を見終わって出てくるけど、同時に出るから会う事は無い。
よし!これだ!!
高速の思考で出た結論をメールに書き込んだ
『私達はイベントを見た後に外に出ることになった。そうすれば映画が
終わるのが2時間後でも、同時にイベントも終わるわけだから会う事は
無いでしょ?なんだったらイベントの途中でも外に出るように先輩に
私が言うから大丈夫!これでどう!?』
ミキにメールを送るとまたしても先輩が
「てゆーかなんでプランなんか聞いてきたの?なんかマズイことでもあるの?
あっ!なんだったら本屋の後にゲーセン行かない?3階のゲーセン!
俺ね~コンビニキャッチャーって知ってる?あれ上手いn…」
「黙れ。喋るな」
こっちは忙しいんだよ!!
またしても先輩は顔でショックを受けてることをアピールしてきた。
うぜぇ…うぜぇよこの人…
先輩に軽い殺意を覚えるとミキから
『分かった。あとアキラ君と会ったので、もうメールできない。では!!』
そうか…幸運を祈る!!
私がミキのデートの成功を祈って携帯をしまうと、先輩が
「あの、今度はしゃべっていい?メールなんだったの?」
私は先輩のことをジト目で見ながら
「先輩には関係ありません…友達からです…じゃ、イベントに行きましょうか?
もう始まるから行かないと…」
私が広場の方に歩き出すと、先輩も歩き出し
「あ、イベント行ってくれるの?やった!なんか初音さんに怒られてるかと
思ってたけど、メールで機嫌が直ったんだね?良かった~」
喜んでいる先輩の的外れな発言に
「ここまで純粋な馬鹿は初めて見ましたよ私…先輩は幸せですね…」
普通だったら、あれ?喫茶店はいいの?行かないの?って思うんだろうけど…
まぁでもそんなこと言われたら、冷めた…って言って帰ってるんだけどね。
だってミキからのメールでもうその空気は流れてるじゃん?
なのにそれを言ってくるのは空気読めない人ってことでしょ?KYでしょ。
すると先輩は口を尖らせながら
「馬鹿ってなんだよ~?まぁ幸せっちゃ~幸せかな?
あ、そういえば初音さんは喫茶店はいいn…」
「それ以上言ったら帰りますよ!!」
立ち止まって先輩の言葉を睨んで止めた
「ひぃぃ!?な、なんで睨んでくるの?な、なんか悪いことした俺?
ごめんなさい!!謝るから帰らないで下さい!!」
本当にこの人は…
「喫茶店はイベントの後に行くんでしょ?そーゆープランなんでしょ?
だったらもう聞かないで下さいね?いいですね?」
まさかKYだったのか…
「えぇ?だ、だって気になるんだもん…」
「気にしなくていいです。さっきも言いましたよね?私が聞かないで下さいっ
て言ってるんだから、聞かないで下さい!
先輩は空気が読めないんだから、人がするなって言ったことをしなければ
いいんです。分かりましたか?」
「わ、分かりました…まぁイベントに一緒に行ってくれるから、いっか?」
先輩はそう呑気に言って、また歩き出した
いっか?って…
前から思ってたけど、この人はあんまり気にしなさ過ぎとゆうか…
そもそも私…とゆうより1つ下の私が先輩にかなり言ってるのに、あんまり
怒ったりしないし……
タメ口…を超えてるな…タメ口を超えてることを言っても怒ってこないし…
馬鹿なんだろうか?それとも優しいのか…
う~~ん…まぁどっちでもいいや…
結論を出して私もまた歩き出し、イベントの広場に私達が行くと
「人が多いねぇ~」
「多いですね~」
さっきは気付かなかったけど、かなりの人が広場に集まっていた
う~~、人のせいでステージが見れない…
多くの人達の外れ、一番後ろに私達はいるのでステージを見ることができない。
そのせいで背伸びをしないと見れない状態なほどに、見ることができない。
う~~見れん…
私が人の頭の向こうを見ようと努力してると
「まだLilyはいないみたいだね~。ん?初音さん?なにやってるの?」
なにやってるのだと?
先輩は背伸びをしなくてもステージが見れてるみたいだ。
私はそんな先輩をジト目で見ながら
「先輩は自分ができる事や、思う事が、人が当然にできたり思ったりするって
思っていませんか?違いますからね?
私は先輩のようにサッカーを上手くできないし、先輩のように身長が高く
無いのでステージを見ることが出来ないんです。分かりましたか!?」
最後だけ強めに、嫌味を言うと
「あ、そうなの…初音さんは身長いくつ?」
嫌味が効かなかった…
「…160です……そのせいでステージが見れないんです…」
くそぅ…
「あ、そうなの…じゃあ……おんぶしてあげよっか?」
先輩は何でもないような顔で言ってきた
「先輩は馬鹿ですか?そんな事されたら、私がLilyよりも目立つじゃない
ですか…みんなが私達のこと見てきますよ?
だいたい明らかに不自然でしょ?怪我したわけでも無いのにおんぶされてるのは」
なに考えてんだこの人?いや、何も考えてないのか…
「あ、そっか…じゃあ肩車してあげよっか?」
「だから!そんな事されたら目立つっていま言ったばかりですよ!!
おかしいでしょ!?いくら見れないからって肩車は無いでしょ!?」
「いや、でもあの人達は肩車してるじゃん?」
先輩がそう言って指差した先にいた人達は
「いやいや、あれはどう見てもお父さんが5歳ぐらいの娘を肩車してる
画でしょーよ!?小さい娘を肩車してるのはおかしくないでしょ!?
でも私達は年が1つしか違わない高校生の男女ですよ!?あり得ないでしょ!?
先輩はホントに馬鹿ですね!?ちゃんと考えてますか!?」
「そっか…じゃあ」
と先輩が考え始めたときに
「みなさーん!!初めましてー!!Lilyでーす!!」
ステージにLilyが出てきたみたいだ
そうしたら会場が一気に盛り上がった
「Lilyちゃーん!」「可愛いー!!」「待ってたよー!」「やべぇ!タイプ!」
色々な声が聞こえてきた。しかし
う~~ちょっとしか見れない…
私は背伸びをしてる間しか、ステージを見ることができない。
すると先輩が
「いまLilyが出てきて右手にマイク持ってて、左手で手を振ってるよ!!」
「いいよ解説しなくて…分かってるって…しかし、背伸びしてると少し
フラフラするな……先輩、動かないでくださいね?」
私は安定するために先輩の左肩に右手を置いて、少しだけその肩に乗るように
すると、さっきよりステージの上が見えるようになった。
よしよし、これならいいかな?
すると先輩が嬉しさをかみ締めた顔で
「……………ありがとうございます!!」
「は?なにいきなり感謝してるんですか?訳わかんないですね……
………先輩…もしかして私が肩に手を置いてるのが嬉しいってこと…ですか?」
それだけで?いやいや、あり得ないでしょ?
すると先輩は目を閉じて、囁くように
「父さん……俺を産んで育ててくれて…ありがとうございます…」
「いや、どう考えても産んだのは母親でしょーよ…」
「母さん……あなたに教わったサッカーのおかげで充実した人生でした…」
「母親に教わったんだ!?しかも過去形なの!?死んじゃうの!?」
「婆ちゃん……学費を返せない孫をお許し下さい…」
「あ、お婆ちゃんに出してもらってんだ…ふ~ん」
私はその後も囁きながら叔父さんや叔母さん、先祖にまで感謝してる先輩を
無視しながらステージを見ていた。
ステージではLilyが歌い始めた。
私はそのLilyの歌を聴きながら
これが現実サイドの歌なのか…と思った。
コメント0
関連する動画0
オススメ作品
猫猫的宇宙論 なんも知らないまんま
アイラブユーを唱える 尊い感が麻薬的
宙宙に夢中で 前と後は機械的
あー嫌嫌 そんな愛は要らないな
乾乾照りの惑星で ピンクが弾け
脳内報酬系潤って キャンディーも足りない程
パッパッパ 次が欲しくてただ、吐いた
「スキ」なんかじゃ 意味をなさない
にゃんにゃんな...猫猫的宇宙論歌詞

ナユタン星人
[ザザ、ザザ、こちら月面戦線
全周波数の兎たちへ――
おっはようございまぁぁぁぁぁす、月面戦線――――ッ!!!
はーい、これは訓練ではありませーん!
試験放送でも警報装置の故障でもございません!
これはロックンロール!
静かの海から最前線の境界地帯まで、まとめて揺らす時間でーす!
……いま喋ってるの...K.I.A. in the Supermarket

出来立てオスカル
6.
出来損ない。落ちこぼれ。無能。
無遠慮に向けられる失望の目。遠くから聞こえてくる嘲笑。それらに対して何の抵抗もできない自分自身の無力感。
小さい頃の思い出は、真っ暗で冷たいばかりだ。
大道芸人や手品師たちが集まる街の広場で、私は毎日歌っていた。
だけど、誰も私の歌なんて聞いてくれなかった。
「...オズと恋するミュータント(後篇)

時給310円
知ったことじゃないこっちをみんな
罪を吐くことが自分に課された罰だなんて
勘違いをしてるのはだれ?
死ぬまで突き逝け
足を止めても踊りは止まらん
責められはしない冤罪なのかな
気を違えてるあんたはだれ?
放てし遥かに
舞い戻ろうと行き帰ろうと
どうせ同じ意味なのだろう...素励起節

出来立てオスカル
8月15日の午後12時半くらいのこと
天気が良い
病気になりそうなほど眩しい日差しの中
することも無いから君と駄弁っていた
「でもまぁ夏は嫌いかな」猫を撫でながら
君はふてぶてしくつぶやいた
あぁ、逃げ出した猫の後を追いかけて
飛び込んでしまったのは赤に変わった信号機
バッと通ったトラックが君を轢き...カゲロウデイズ 歌詞

じん
君の神様になりたい
「僕の命の歌で君が命を大事にすればいいのに」
「僕の家族の歌で君が愛を大事にすればいいのに」
そんなことを言って本心は欲しかったのは共感だけ。
欲にまみれた常人のなりそこないが、僕だった。
苦しいから歌った。
悲しいから歌った。
生きたいから歌った。ただのエゴの塊だった。
こんな...君の神様になりたい。

kurogaki
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想