「ごめんね」


 その一言は、私の心を切り裂いた。視界は歪み、気づけば私の体はいつもより酷いことになっていた。

 助けを求めた。この地獄から抜け出したいと願った。
 実は、わかっていたんだ。私に、救いの手なんてものが来ないってことは。
 「それでも」と欲張って、わずかな希望を求めた結果がこれだ。私が得たものは、心が壊れてしまいそうなくらいの、あまりにも大きすぎる絶望のみ。
 その結果、私は悲しみという名の海に沈んだ。その海はとても深くて、底が見えない。もう二度と抜け出せないんじゃないかって思うくらい。
 この海は、私自身で作り上げてしまった、とてもつまらないもの。絶望や悲しみ、後悔や涙でできた、とても黒い海。
 実際に、私は海に沈んでいるのだ。長い長い夢ので、毎日同じ。あれから全てがいやになった私は、夢だとわかっていても、目を開けるのさえ億劫だと思った。このまま、どこまでも海に沈んで、暗闇に堕ちて行けばいい。誰にも見つからなくていい。

 心は海に沈んでいても、この体は地上で生きている。私はいったい、この先どこへ向かい、何をすれば良いのだろう。できれば一人でいたいけど、そんなことはやつらが許してくれないだろう。今日も、私はやつらの人形になるのだ。それが日常であり、現実。
 場所が変わっても、あの存在が見えなくなった時が戦闘の合図。皆、私を傷つける。暴力の雨、言葉の雨。参加しない人たちも、同情の言葉はあっても私を助けようとはしない。やってはいけないと口では言っても、実行には移さない。所詮、偽善者だ。
 両親には、この事を打ち明けていない。どちらにせよ、私を助けることなんてしないんだろうから。ヒトなんて、所詮は自分のこと以外どうでもいいんだ。だったらどうぞ、私のことを操り人形にでもしてくださいよ。もう、私は人生なんてどうでもよくなったから。

 毎日をつまらなく生きていたある日、どこからか何も知らないあなたが現れた。あなたは正義感が強く、すぐ実行に移しちゃうから、あいつらはあなたを警戒した。あの存在に知られたらやばいとでも思ったのだろう。あいつらにも、一応は心があることがわかった。
 私にとってのあなたは、暗闇にふと差し込む一筋の光で。蹴落とされ、地を這う私でも、手を伸ばせば届きそうなほど、光はすぐそばにあった。あなたに会ってからの私は、ちょっとだけ生きたいと思った。でも、あいつらが許してくれるはずもなく、波に拐われて見失った。
 あれは一体、なんだったんだろう。ちょっとだけでも、長く生きたいと思えた。とても小さいけど、希望がもてた。あたたかくて、あなたはとても眩しかった。あなたに話せば、全てが終わると思ったけど、やっぱり怖くて「大丈夫」と嘘をついた。嘘つきは誰?


 深海少女はまだまだ沈む。果ての見えない海の底へ、飽きもせずに沈んでく。暗闇の彼方へ閉じこもる。
 深海少女は、それでも知りたかった。心惹かれるあの人を、希望を見つけたから。


 私にとっては、場所が変わっても、昼も夜も変わらない。ずっと一人なんだから。ヒトを信じることができなくなったから、一人のほうが落ち着いた。それなのに、眠ることができない夜は続く。やっぱり、心のどこかで怖いと思っていたのかもしれない。
 自由という名の羽を大きく広げて、楽しそうに現実を泳ぐあなたは、とても綺麗だった。私もそうなりたかったけど、私には勇気すらなかったから、絶対に無理だと思った。
 そして、また私に光は降り注ぐ。珍しくあいつらからの攻撃がない休み時間、あなたに見とれていたら目が合った。私に気づいてこっちを振り返るあなた。「どうしたの?」って心配してくれる。助けてって言いたかったけど、「なんでもない」といった。いつまでも、嘘つきで弱虫な私。


 深海少女はわざわざ沈む。抜け出せない闇の奥をへ、勇気を出せず沈んでく。
 暗闇のさなかに、少女の赤い頬。
 深海少女は、助けを求めた。でも、ハダカの心を見せる勇気を、彼女自身の黒い海がまだ許すことはなかった。


 気づけば、最初は綺麗だったこの服はとても汚れてしまっていた。私の笑顔も、きっととても醜くゆがんでいるのだろう。だから笑わなかった。
 もう誰にも、正義側のヒトに会わせる顔なんて無い。できれば放っておいてほしかった。そのうち、私は終わるだろうから。


 ある日、あなたにバレてしまった。声にならない私の気持ちが、溢れてとけた。
 この私を見た次の瞬間、あなたは突然、人ごみの中に姿を消した。やだ、いかないで。わたしを、ひとりにしないで。たすけて。おねがいだから、いかないでよ。ねえったら。


 心配性の彼女はあせった。闇が、希望である彼を隠し、彼女はひとりきり。
 限界少女は、必死にその手を伸ばす。


 その時、あの存在がやってきて、あいつらは逃げていった。あの存在は、あいつらを追いかける。
 一瞬、何が起きたのかわからなかった。助かった?「もう安心だよ」ってあなたは言った。
 「あなたが助けてくれたの?」って、いつのまにか声に出てた。「ほらね。やっぱり、君の声は綺麗だ。君も、素敵な色を隠してた」


 深海少女は、腕を引かれる。唯一の希望だった彼に。誰もいない屋上につくと、とても綺麗な雪が降っていた。それは、地獄から抜け出せた私を歌って祝福するマリンスノーのようで。
 深海少女は、もっと知りたかった。心惹かれるあの人を見つけたから。


 自分自身を閉じ込めていた黒い海を出て、自由の空へ、私は羽を広げて、今飛び立つ。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【リクエスト】深海少女【自己解釈】

Turndog~ターンドッグ~さんのリクエスト、ゆうゆPさんで「深海少女」です。

遅くなってすみません。gdgdですみません。
書き方変えてみた結果読みにくくなりました。ごめんなさい。

とりあえず軽く解説。
なぜか、自分の中では「いじめ」の話になりましたすみません。
「あの存在」っていうのは教師です。すみませんわかりにくくて。
何しろ三時間クオリティーなので。関係ないですね。
解釈って難しいですね。改めて感じました。

いろいろ連載が止まってますすみません。
とりあえず次回の投稿はmemoryの予定です。このシリーズだけ進んでますもう本当にすみ(ry

閲覧数:1,687

投稿日:2012/06/06 23:51:04

文字数:2,303文字

カテゴリ:小説

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  • Turndog~ターンドッグ~

    Turndog~ターンドッグ~

    ご意見・ご感想

    …なんだか、昔を思い出しました。

    昔自分もね、いじめられてたんです。
    助けてくれる人なんか誰もいなくて。クラス総出で追いやって。
    ついには片想いしてた幼馴染にまで雑菌扱いされた時には、もう誰も信じませんでした。
    自分の場合、自ら殻に閉じこもって耐えて心を固く鍛えることで、いじめに耐えるというはっちゃけた方法をとりましたけどwww
    あの時、こんな助けてくれる人が自分にもいたら…少しは人生違ってたのかな…。

    なんかすみません、リクエストして書いて頂いたのにこんな辛気臭い話しちゃって。本当にごめんなさい<(_ _)>
    怒られてもかまいません。

    『ひっく…べっ、別に…ぐすっ…気にすることなんか…ないのよ…?ひっく…あたしが変な話したのが悪いんだからぁ…うわあああああああん…。』
    (『性転換!つんでれ☆どっぐちゃん』発動…しばらくお待ちください)

    踏まれてもかまいません。いやむしろ踏んでくだs(黙れ
    ゆるりーさんが踏んでくれるなら、僕は太陽だって割ってみせるs(真似しつこい

    そんな与太話はともかくwww
    率直な感想はすごく感動しました!
    『あれ…おかしいな…涙が止まらないよ…!』状態に陥り今すごく目がかゆいですwww
    ギャグピエロの方も期待してますね。

    2012/06/07 21:08:09

    • ゆるりー

      ゆるりー

      …嫌なこと思い出すようなもの書いてしまってごめんなさい。

      どんなにつらくても、支えてくれる人や助けてくれる人が一人でもいたら、がんばれる気がします。
      いじめをする人は何がおもしろいのかわかりません。
      いじめが酷い場合、最悪の場合は相手は追い詰められて、その命が失われてしまう…なんてこともあったりします。いじめをした人は、許されない罪を一生背負わなくてはなりませんよね。
      いじめられている人の気持ちを考えてほしいものです。
      もし、突然まわりの人たちから…と考えるだけで泣きたくなります。
      誰かが少しでも悲しまないように、いじめはこの世からなくなってほしいものです。

      …こちらこそすみません。長々と語ってしまいました。そして怒りません。

      おぉ!伝説の『性転換!つんでれ☆どっぐちゃん』をここで見られるとは…!←

      踏みません踏みません踏みません。
      どっかのロリコン科学者の真似ですね、わかりまs

      ありがとうございます!
      涙!?すみません私なんかのために塩水消費させてしまって…!
      おおう、それがあった…が、頑張りますw一応ネタはできてるのでw

      2012/06/08 23:51:04

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