リンはその扉を開けた。
部屋には誰もいない。
リンは、自分の机に座り、イヤホンのコードをグルグルと巻いた音楽プレーヤーをハンドバックから取り出し、再生ボタンを押した。
部屋にはリン以外誰もいない。
『鏡音探偵事務所』は静寂に包まれた。
「新婚旅行、お疲れ様。楽しんできた?」
「「新婚旅行じゃない!そもそも結婚もしてない!」」
さっきまで静かだった事務所はあっという間に騒がしくなる。
部屋にいるのは携帯をいじっているリン、折りたたみミラーの前で髪を結わえているミク、本を読んでいるレン、ノートに何かを書いているルカ、そして、先ほど同時に声を上げていた茶髪の女性――メイコと、青い髪の男性――カイトだった。
「で、今回は何なの?」
メイコは席に着くと、ノートパソコンを鞄から取り出しながら言った。
「今回の依頼者は歌愛ユキ。数日ほど前に行方不明になった弟と妹の捜索を依頼された」
本を閉じて言ったレンの言葉をミクが引き継ぐ。
「依頼者の歌愛ユキは小三。弟はショウタ、妹はアイ。今のところ町内で二人と思われる人物の目撃情報はちらほら。でも、この年となると同じくらいの人がいてもおかしくはないわ」
ルカはシャーペンを走らせていた手を止めた。
「リン、昨日の作戦を二人に話して」
リンは立ち上がり、二人に寄って、話し出した。
「本当にやるの?」
カイトが心配そうに――もしくは嫌そうに言った。
「やるしかないの。ユキちゃんをもっと心配させるわけにはいかないから」
リンは力強くいった。
「ミク、この場所であってるの?」
ルカはミクに尋ねた。
「バッチリ。この場所で多くの目撃情報があったわ。それにほら――」
ミクは手に持っていた小型ビデオカメラの電源を入れ、映像を見せた。
「うわ、こんなのいつ撮ったの…?」
メイコが訊いた。
ビデオカメラに映っていた映像は、ショウタとアイに似ている――といか、本人だった。
「情報を操ることで勝負に勝つことができるのよ。――依頼者の情報を少し取っておこうとおもったら、やっぱり…」
六人がいる場所は――ユキが通う小学校だった。
「ユキちゃんがいつも下校する時間だよ。いつユキちゃんが来ても対応できるように」
リンは携帯電話に向かって小声で話した。
リンの声は他の全員に聞こえている。
「こちら準備おk。皆は?」
ミクの声に全員が返事を返した。
六人はそれぞれ別の場所にいた。
小学校から出る一本の道を挟むようにリンとレン。少し高めの場所にビデオカメラを構えたミク。リンとレンの後衛にメイコとカイト。近くの物陰にルカ。
六人は息を潜め、他の人に見つからないよう、体を隠した。
しばらくして、ユキが校門から出てきた。
六人は動かない。
そして、ユキの近くに黒ずくめの、見るからに怪しい男が近づいた。男は、ユキに覆いかぶさろうとする。ユキは逃げようとした。
ドンッ!!
鈍い音がして、黒ずくめの男は倒れた。カイトが体当たりをしたのだ。
メイコがユキをルカのところに避難させる。
黒ずくめの男は立ち上がり、鈍く銀色に光る物を取り出した。ナイフだ。
黒ずくめはカイトに向かって走り出した。リンが飛び出してきて、黒ずくめに回し蹴りを喰らわす。黒ずくめの体勢が崩れる瞬間に、レンが走ってきて踵落としをする。黒ずくめはよろけながら立ち上がった。リンとレンは目を合わせて一つ頷くと、黒ずくめに向かって走り出した。リンが前に、レンが後ろに。黒ずくめを囲む形になった。二人は呼吸を一つすると、同時に黒ずくめに蹴りを入れた。
黒ずくめはやっと倒れた。
ミクが物陰から出てくる。
「こんにちわ。貴方は、最近街の子供をさらっているという人ですね。さっきの行動はしっかりビデオに撮ってありますよ。さ、子供たちを帰してください」
ミクはにこやかに微笑んだ 。
「ショウタ、アイ!」
ユキは泣きながら二人に抱きついた。
アイとショウタも涙を流している。
「皆さん、ありがとう御座いました」
ユキは目を赤く腫らしながら言った。
そして、晴れた空の様に、笑った。
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しるる
ご意見・ご感想
よかったねぇ ユキちゃんww
きっと、報酬はみかん一箱くらいでいいんじゃないwwww
ユキちゃんって小3だったんだ!
完全にピカピカの一年生だとおもってたwww
2012/02/07 00:30:25
美里
ユキちゃんは大喜びだったと思います。
報酬はネギ一箱とみかん一箱とバナナ一箱だったと思いますww
ユキちゃんは三年生らしいよ!ホームページに書いてあった!小3ってよりか、9歳なんだよ。
いや、一年生ではない!
2012/02/07 17:37:38