『宵と夏空』
蝉時雨響く山の中 遠いあの記憶が蘇る間
傾く日が呼ぶ黄昏 揺れる風鈴が風に靡く
いつからか歩幅が増えるたび 前だけを見つめていた
足元に転がる大切なものに気付かぬまま
夕闇の聲 木霊する 街を染めるように
ずっと待ち焦がれていた夜
重なる声が音色が 僕の胸を刺すたび
何故か終わりが来るのが 一層寂しくなるんだよ
思い出が壊れぬように ぎゅと溢れかけた言葉を掴んだ
何度でも いつまでも 続いて欲しいと願う
夏だった
祭りの日 響く人の声
懐かしい日 僕が聴いていた唄は
泣き出しそうな心根を掴み
旋律が空に浮かぶ
大切なものが増えるたび 動く鼓動と震える手
ちっぽけな心に パッと浮かんだ歪な世界
祭囃子が木霊する 夏を叫ぶように
宵と光の花が上がる
目に映る火花の色が 僕の胸を焼くたび
何故か今日が続くのを そうずっと願ってしまうんだよ
この日々が褪せないように 僕の青く淡い言葉で歌おう
消えやしない 褪せやしない
この一夜の物語
僕が僕であること ここで歌い続けること
それがいつか 赤い花を実らせると
そう願っている
月が覗く 帷が上がる 祭りの幕が落ちる
その時まで そばで歌うから
重なる願いと歌が 僕の胸を熱くする
今じゃ終わりが来るのも いっそ淋しくはないんだよ
思い出が壊れぬように いつかここで会うと涙に誓った
何度でも いつまでも
君が君であれる様に 歌うから
いつまでも
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