「あのさ、カイト」
私はふと思い立って、リビングで溶けているカイトに言う。
「ちょっと、聞きたいことがあるんだけど」
「・・・」
液体カイトは溶けたまま。いっこうに元に戻る気配がない。
ピッ
暖房を消して、代わりに冷風を吹かせることにした。びゅおんびゅおんと風が吹く。
「・・・あれ、効果ない」
私は首を傾げる。おかしいな、いつもだったら元に戻るはずなのに。・・・ちなみに、ちょっとここで説明しようかな。私のカイトは、完全に意識がない、つまり完全なる睡眠を取っている間は、ずっとこうやって液体状へと変化する。まぁ、そういう時は私がここの世界にいない時のことだったから、今まで知らなかったんだけど。ついこの前不意打ちで来てみたら、こんな風に溶けててびっくりした。今は慣れたけどね、それでも2回目なんだけど。
「カイトー、カイトー」
私は液体カイトが広がる床に呼びかける。・・・でも、返事が返ってくるわけないか。私はしばらく考えて、タオルを取ってきた。
「おそうじおそうじたーのしいなー♪」
そのタオルでジュースがこぼれた床を拭くように、液体カイトを拭き取る。タオルが青く染まる。それで、そのタオルを持ったまま、私の部屋にあるパソコンの横のミニコピー機の上蓋を開く。そして、読み取り部分の上にタオルをちゃんと畳んで置く。
「・・・ん? 閉まらないなー」
どうもタオルの厚みが邪魔して蓋が閉じられない。私はタオルをばさっと広げることにした。・・・お、蓋が閉まった。・・・ちょっと、はみ出し過ぎていることについては、あえて何も言わないし思わないようにしよっと。
私はミニコピー機を読み取り機能に設定する。近頃のコピー機は、コピー以外にも色々と便利になってすごくいい。そう思いつつ、スタートボタンを押す。その横のディスプレイに『今3%読み取り中・・・』という表示が映る。でも、その次の瞬間には10%になった。電子世界のメリットは、あんまり待たなくていいっていうのもある。・・・ほら、もう40%。60、75、98・・・。
「・・・・・・『フォルダ0026に1個のソフトウェアが寝ています。今すぐ起こしますか?』」
パソコン画面に出てきたダイアログメッセージを読む。・・・この前はフォルダ0025だったな。1回1回、寝る場所変えてるのか。私は迷わず『はい』をクリックしようとして、ちょっと躊躇う。思えば、カイトもちゃんと寝たい時だってあるよね。なんか邪魔するのも悪いような気がして、私は『いいえ』をクリックした。すると、『ソフトウェアが起きたら、すぐに記録情報を伝えますか?』というダイアログメッセージ。私はちょっと迷って『はい』をクリックする。ほんとは知らせたくないけど・・・何でって、そりゃ、・・・なんとなく。
カイトが起きるまで、私の部屋のベッドにばさっと液体カイトを吸い込んだタオルを広げて、そのタオルの上に布団をかけてあげたのだった。・・・といっても、どこが顔か分かんないから、適当に置いただけなんだけどね。
アイスアイス、アイスな話。 【マスターとカイト】
おはようございます、もごもご犬ですこんにちは!
タグ初音ミクちゃんじゃないよ。気づいてよかった。
この作品は、ずらーっと短編みたく続きます←
5つぐらい・・・。まとめると、アイスアイス、アイスな物語。
・・・パート2も書いてみたいな。
ま、いいや。
だから、ちょっと短いなーとか思うかもしれませんが、ご了承ください!><
次回も、続きます!^^
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shimono_hana
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