これは、まだ私とカイトが一緒だった頃の話。

「マスター、この漢字って、狂おしいとも読めるんですか?」

私が漢字の本を見ていると、カイトが横からひょこっと現れて言った。

「・・・・『狂』っていう字?ああ、そうだねぇ。ここに書いてある」

「熱狂、狂気、狂い咲き・・・・・なんだか、あの実験の事、思い出しそうです」

「あの実験・・・?ちょ、カイト?それって、何?」

カイトの聞き慣れない単語が混じった言葉に、私は首を傾げる。

「・・・・『博士』はもう、いない。あの『狂った実験』は、終わったんです。・・・・終わった、はずです」

「・・・・・・・・終わった、はず?」

「・・・たちの悪い研究所っていうのは、同じくたちの悪い研究所と『狂った実験』を共有して、共生しているものなんです。だから、いくら潰しても、その『実験』は他の研究所に拾われて研究されるんです。・・・でも、」

カイトは、少し黙ってから、

「『博士』の一番近くにいた助手も、その後行方不明になりましたし・・・多分、大丈夫だとは思います」

「・・・そうなんだ」

「あの場所で起こった事って、今となっては、狂おしい事なんですよね」

そう言って、カイトは遠くを見るように、淡く笑った。

「・・・・・・・・・・・カイトの言うあの場所とさ、ここと、どっちがいーい?」

半ば拗ねたような私の口調に、

「それはもちろん、」

カイトは私に抱きついて、




「・・・マスターがいる、この場所ですよ」




すごく嬉しそうな声と、表情で、言ったのだった。

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  • 非営利目的に限ります
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私とカイトの回想記。(3つ目・狂おしい事)

こんばんは、今日は風が涼しくて青空も見られて嬉しさを隠し切れないもごもご犬ですこんにちは!
無事レポートも書き終わったし、あとは4枚の絵か・・・。頑張ろう。

今回は、3つ目ということで、早くもネタが尽きかけてきているなと久々に限界を感じています←
前書いてた拝啓・マスカイシリーズの隙間を埋められればなと思ったのですが、何個ぐらいいけるのかな?

次回も、お楽しみに!><

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投稿日:2010/08/10 18:57:23

文字数:665文字

カテゴリ:小説

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