「あのですね。」
「何?」
「寒いんですが。」
「まぁ、冬だからね。」
そういうことじゃねぇ!!
冬ですし。【何故か異様に多いクオミクモノ】
「だって、冬だよ。雪だよ。冷たいのは当たり前じゃん。」
俺の向かいでグダグダと言っているのは幼馴染みの初音ミク。
俺は、初音ミクオ。いつも『クオ』と呼ばれる。
ちなみに俺らは何の関係も無い。只の幼馴染みだ。苗字が同じなのも偶然だ。
「でもな、ここは室内なんだが。」
そう、ここは室内。俺の部屋。ちゃんとストーブもあるし、厚着もしている。なのに何で寒さも我慢しているかというと…
「何で、俺の部屋に勝手にいるお前に『ストーブを点けるな』と言われないといけないんだ。」
「私は暑いのは苦手なの。」
即答。いや、充分寒いんだが。
「寒くないのか…?」
試しに問いかけてみた。
「寒いわよ。外は吹雪いているのに、寒くない人がどこにいるの。」
寒いならストーブを点ければいいのに…
そもそもミクはここに勉強をしに来てる。充分頭いいのに。
「勉強、はかどるのか?」
問いかける。
「寒さも我慢は出来るわ。それより宿題よ。」
即答。我慢するなよ。
数分経った。
「何でストーブが嫌いなんだ?」
俺は休憩中のミクに問いかけた。
「…買い物に行きましょう。」
全然関係ねぇし。
スーパーの中は寒い。建物の中なのに。
ミクは、晩飯の材料と、塩を買った。
俺はやることもなく、ミクについていった。アイス売り場の前を極力避けて。
外はいまだに雪が降り続ける。勢いが強い。
はき出した息は白く、空へと上っていき、見えなくなる。
ミクは俺の数歩前を歩いている。
俺たち以外、誰もいない道に二人の足音が響く。
「…私ね、ストーブは嫌いって訳ではないのよ。」
ミクが沈黙を破った。
「私ね、昔、石油ストーブで火傷したことがあって、物凄く痛かったわ。」
家のは電気ストーブだが。
「だから、今でもストーブを見ると、凄く怖い。ストーブ恐怖症。」
最後の方は少し笑っていた。
「変でしょ。トラウマが今でも残ってるだなんて。」
部屋はやっぱりストーブは点いていない。
「クオ、寒い?」
静かな部屋にミクの声が響く。俺は頷いた。
「ゴメンね。私の勝手で振り回しちゃって。」
ミクはストーブのスイッチを点けようとし、躊躇い止めた。
「まだ怖いみたい。聞いてもらって少しは軽くなったと思ったのに。」
泣きそうに微笑むミクの手を、俺は自分の手で包み込んだ。
「寒いんだろ。だったら躊躇うことは無い。そもそも、これは電気ストーブだ。大丈夫だ。」
ミクは少し頷いた。
「寒いと勉強どころじゃ無い。暖かい部屋の方がいいだろ。」
ミクは頷き、スイッチを入れる。
暖かい空気が数秒経ってから流れ出る。
やっぱり冬はこれだ。
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