『沈黙の塔』

「美しく残酷な世界が
　孤独な勇者を殺すの」

――魂を捧げた"聖者"は、悪魔を"女神"と崇め

ただ自由を求めた
純粋な涙が
砂の王国を溶かしてく

希望の瞳を閉ざす
幼い日のまま眠る為
暗闇という牢獄が
冒険者たちの行き着く楽園

英雄は天に許しを求めた
心を磔にして牙を抜き
敗戦の犠牲者に彼らができたのは
安らかな死と加護を願うこと

闇雲に祈り続ける教え
誰かの正義を盾にして
陽の光に怯えては
命欲しさに塔へと逃げ出した

――魔物は、かつて"勇者"を見捨てた"聖者"

「この私を
　誰が救い出せるの」

孤独に堕ちる
もしも運命に逆らえるのなら

あなたと同じ聖火台の上で
穢れた魂ごと焦がして散らそう
二度と手を離さぬように
あるいは掬いを求めるように

報いを受け入れた日には
笑顔を思い出そう
白き羽が燻んだ堕天使
魔女を慈しみ神様と呼んだ

――正邪が二人の手を別つとき、"勇者"は裏切り"魔王"となる

「誰かの善悪は異なる
　思想や言葉も違うの」

財宝を世界中に求めても
僕の幸福は僕のモノ

だから何者にも
この王国は譲れない
砂粒のプライド
独りよがりで固めた城を

君は梳かしてく…

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