#「かなりあ荘の幽霊・後編」



庭の桜の木が満開になるのを、病床からじっと見る私

あれから、咳がひどくなり、体の重さや熱などもひどくなっていった

食欲もなく、痩せていく一方

そして何よりも、自分の生きている意味を失った心が一番つらかった



「少しでもなにか食べないと……」

そういって、両親が心配するが……

「いい……いらない。どうせ、すぐに戻しちゃうし」

そっけなく返す私


私の病気は発見が遅く、もはやどうしようもない

ただただ、終わりの時間を待つのみ

周りの気なんて、気にする余裕はどこにもない




そんな日々が続いて、庭の桜が散って緑の葉っぱになったころ……

お嬢様の友人が家に来てくれた

母親は、うつるからといって拒否したが、それを無視して私のそばにやってきた

「こっちにこないで!死にたいの!?」

私は口を布団で隠しながらそういった

「すぐに去ります。ですから、どうか、わたくしの話を聞いてくださいませ。」

友人はそういうと、鞄から一冊のノートを取り出した

「こちらにあなたの思うこと、感じることをすべて書いてください」

私は彼女の言っている意味をよく理解できなかった

「残念ながら、わたくしたちは、あなたを助けてあげることは出来ません。ですが!あなたの想いをきくことは出来ます!」

友人がいつもは出さない大声で私にそういった

「そんなことしたって……」

しかし、この時の私には、それも無駄なことのように思えてならなかった

「きかせてください!わたくしたちに全てをぶつけてください!わたくしたちも定期的に文を書かせていただきます!どうか!わたくしたちに協力させてくださいまし!」

彼女の瞳はまっすぐと私を見ていた

「どうして……そこまでして、私のこと……」
「大切な友人だからに決まっているでしょう?!」

彼女は間髪を入れずにそういった

マスクをつけずに、真剣にぶつかってきてくれた彼女

そして、真剣な眼差し


「わかった……書いておくよ」

私は目に浮かぶものをこらえながらそういうと、彼女はニコリと笑った












外で蛙がなく、梅雨の季節

その日は特に大雨だった

ザーっと降る雨の中、私は生涯を終えた……

最後は意識がもうろうとしながらも、両親がそばにいてくれたのを知っている

私の枕元には、学校に履いて行っていた袴と、友人にもらったノートが置いてあった







>>>>>ノートから抜粋

今日から、これに私の気持ちを書くことにした

私を友人といってくれたことは、すごくうれしかった

まだ、私を友人と言ってくれる人がいるということが、とてもうれしかった





苦しいよ……なんで、私がこんな目に合わないといけないの?

もういっそのこと、早く楽にしてよ!

もう……つらいよ……





この前は、弱気なことを書いてしまった

恥ずかしいな

みんなからの手紙、読んだら元気出た

みんなが楽しそうでよかった

もし誰かが、私の病気うつっていたら、後悔していたから





今日は私なりの宣言をします!

私、病気になってから、たくさんの本を読みました

今の私にとって、布団の上が私のすべて

けれど、本は私の心をどこへでも連れて行ってくれる

そこで、気づいたんだ

自分でお話をかけば、自分の好きなところに、大好きなみんなと一緒に行けるってことに

だから……私はこれから、お話も書いていきたいなって思っています

みんなに笑われちゃうような内容かもしれないけど、これも私の想いだと思ってあきらめて

絶対に一つ!書ききって見せるんだから!





ごめんなさい……

もう、こうやって起きているのも辛くなって……

これが最後のページになるかもしれない……

物語……結局、途中までしか書けなかったなぁ……

すごく悔しいや……

最後に……

いままで私の友人でいてくれた大好きなみんな、ありがとう

私を生んでくれて、ここまで育ててくれたのに恩返しできなかったお父さん、お母さん、ごめんね、そして、ありがとう


さようなら……





>>>>>>>>>>



















100年ほどの時が流れて、2013年

私のことを知っている人は、もう誰もいない

けれど、私が好きだった本は、まだ残っている

しかも、この時代は一般庶民が趣味で本を書いているという

私があの時していたことをしている人がたくさんいる


そんな人たちが集まった場所【かなりあ荘】というアパートとかいう複数の人の家

まぁ、お世辞にもきれいとは言えない外見

というより、ここに人が住むってどうなの?って感じさえする

ま、私がいうのもどうかと思うけど


私はここで彼らの作品をみてみたいと思った

私をわくわくさせてくれて、どこへつれていってくれるのかと……

だから、私は勝手にここにとりつくことにした



そして、いずれは完成させたいと思っている

私自身の作品……

それは100年前の友人たちとの約束だから……

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【後編】かなりあ荘の幽霊【byしるる】

かなりあ荘にとりつく幽霊ちゃん

プロフィール
*一応候補の名前はあるものの……絶賛名前募集中ww
*14歳(享年)
*女性
*着物姿(袴姿)
*呉服屋の娘
*読書と裁縫が趣味
*約束の作品を完成させられず、成仏せず
*意識した時代は明治後期


過去には辛いことがあった彼女を優しく迎え入れてくれますか?
【Yes】or【No】


この話の前編
http://piapro.jp/t/q2CZ

閲覧数:153

投稿日:2013/06/18 23:00:02

文字数:2,134文字

カテゴリ:小説

  • コメント3

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  • Turndog~ターンドッグ~

    Turndog~ターンドッグ~

    ご意見・ご感想

    泣ける話をありがとう。
    喜んで受け入れましょう、さあ憑りつけ!(おいこら

    明治後期でしょう?
    だったら日本っぽさを残しながらも華やかな名前で行きましょう。
    「千代」!これでいかが(どこら辺が華やか?

    後下のダブル受験生。
    少しは自分の発言に自信を持ちなさいwww

    2013/06/17 22:35:23

    • しるる

      しるる

      いくら悪意のない幽霊ちゃんでも、憑りつかれたら……

      確かに、っぽいですよねw
      一番、リアリティはありますよねw

      2013/06/18 00:37:17

  • 雪りんご*イン率低下

    雪りんご*イン率低下

    ご意見・ご感想

    な、なんて可哀相なんでしょうか幽霊ちゃん……!(涙が蛇口状態)
    こんな子だったら心温かく迎えますよ! むしろウェルカム!←

    名前、ですか……そうですねぇ……
    幽霊から、「優衣(ゆい)」ちゃんとかどうでしょうか?((名前取ってるトコロェ……
    まあ、こんな名前幽霊ちゃんも喜ばないでしょうね……はい……

    2013/06/17 22:12:44

    • しるる

      しるる

      ウェルカムされてよかったですw
      が、幽霊ちゃんは横文字苦手です
      ウェルカムを知らないかもしれませんよww

      それは幽霊の「れい」ちゃんでもいいのですか?ww
      彼女の本名はなんなのでしょうね?ww

      2013/06/18 00:35:31

  • ゆるりー

    ゆるりー

    ご意見・ご感想

    うあああん…涙が止まらないよ…
    誰かハンカチ持ってませんか?いっそバスタオルを。

    結核って本当に怖い病気ですね…
    幽霊ちゃん、すごくいい子なのに…

    幽霊ちゃん、なんならうちにおいで。
    ほら、みかんあるよ(なぜみかん

    彼女が成仏するのは、かなりあ荘がピカピカアパートになってからなのでしょうか…
    どのへんでこの子をよく見かけるか、情報はありますか?←
    話をしたいですね。

    答えはもちろん【Yes】ですよ。

    名前…「清花(きよか)」っていうの考えたんですがどうでしょう?
    ……私にネーミングセンス皆無なのでスルーですね、わかります。

    2013/06/17 21:59:37

    • しるる

      しるる

      幽霊ちゃんの過去をしってもらいたくて書きました←

      幽霊ちゃんの好きなものは……なんでしょうな?w
      みかんはリンちゃんが釣れるので、たぶん、幽霊ちゃんはつれないのでは?ww
      あ、今、思いついた……が、これはまた別の機会にww

      幽霊ちゃんは、かなりあ荘のどこかにいます
      それは内緒ですww
      さらに話せるかということについては……また別の機会にww←

      あとは誕生日とか、命日とかいろいろ設定は増えそうです


      清香いいですねー
      時代的には新しい感じがしますが、そこはあまり気にしてませんw

      2013/06/18 00:33:40

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