※諸注意
・カイト×マスター(女性)
・妄想による世界観
・オリキャラ満載
・カイトは『アプリケーションソフト・VOCALOID・KAITO』の販促用に開発されたキャンペーン・イメージロイド(?)機械的な扱い、表現を含む
・女性マスターの一人称が『オレ』
恐らくツッコミ処満載ですが、エンターテーメントとして軽く流して楽しんで頂けると幸いです
上記が許せる方は、自己責任でスクロールして本編へどうぞ
☆☆☆☆☆
最良の判断が、いつだって最良の結果を招くとは限らない。
そもそもこれは、結果論だ。
何が最良だったかなんて。
わかるのはいつも、すべてが終わったあとなのだから。
シャングリラ・第十五話~深淵~
SIED・MASATAKA
「…とりあえず、退いてくれ、」
「あ、ああ…ゴメン、」
つい興奮して、周りが見えなくなっていたけど、気がつけばガラス張りの壁越しから、何人かの研究員がこっちを見ていた。
僕と目が合うと、慌てて視線をはずして逃げていく。
…あー、変な誤解されてなきゃいいけどなぁ。
「で、オレを『マスター』にって話だけど。まず、物理的に無理だろ?だいたいオレは、部外者だ、」
確かに。
篠ちゃんは、臨時に僕が(半ば、無理やり)助手にした、いわば協力者にすぎない。
でも、この施設の人間じゃないからって、なんだというのか。
カイトが籍を置くのは、ここじゃ、ないんだから。
「大丈夫、向こうの会社には僕が話を着けておくから!推薦状だって書くし、面接にも付き合うし、…だから、ね?」
「ちょ、まさか…オレまで一緒に納品しようとか思ってないか!!??オレに向こうの会社の社員になれと!!??」
その通り。
かなりの無茶振りなのは、重々承知している。
「心配しないで。雇用契約は、僕も立ち会って、篠ちゃんの希望通りにするから。相手会社のトップと所長は、古くからの付き合いらしくて、…ぶっちゃけ立場的には、うちが上なんだよね。融通利くよ?」
「…加奈さんと、古くからの付き合い?」
…あれ、食いつくところって、そこ?
怪訝な顔…、いや、むしろ不信感一杯の表情で、篠ちゃんは僕の前に手を出した。
「その会社の資料、見せろ、今すぐ、」
「うん、もちろん!…はい、これだよ、」
まぁ、なんでもいいや。
少しでも興味を持ってくれたなら。
僕は持っていた大きな封筒(簡単な会社説明のパンフ入り)を彼女に差し出して…。
「―――…、」
「…篠ちゃん?どうしたの?」
でも、彼女は僕が持っている封筒に書かれた社名を見た瞬間、弾かれたように手を引くと、その身を強張らせた。
「あれ、…ねぇ。篠ちゃん?」
僕の声も聞こえていないのか、しばらく社名を凝視したまま、瞬きさえもしていない。
もしかして、篠ちゃん…この会社を知ってるのかな?
「…無理だ、」
「…え?」
ぽつりと、本当に小さな声で呟かれた言葉。
「すまない、今回は…本気で無理だ。この話はなかったことにして欲しい、」
「え?え?…なんで!!??」
よく見れば彼女の顔が、それとわかるほどに青褪めている。
「…先に部屋に戻る。カイトによろしく伝えといてくれ、」
「えええええ!!!???待っ…、篠ちゃんっ!!!」
まさに、そそくさという言葉が似合う退場だった。
(カイトを、置いて帰っちゃうなんて、)
初めてじゃないか!!??
立ち尽くす僕を残し、足早に去っていく彼女が部屋を出てどのくらい経ったのか。
「カイト君のメンテ、終わったわよ。…あら、どうしたの?篠武さんは?」
今日、メンテを担当した所長が、カイトを連れて戻ってきた。
「あ、所長…。あの、篠ちゃんは…先に部屋に帰っちゃいました、」
なんて説明したらいいか、頭を掻きながら思考を逡巡させる僕を見て、何故だか所長は薄く笑っている。
「あらあら、貴方がセクハラなんかするからじゃないの?」
「してませんっ!!!」
って、見てたのか!!??
呆れを装ってため息をつく(実際は面白がっているに違いない絶対に、)所長の後ろに控えていた、カイトの目が細められ、剣呑な光が宿る。
「篠武さんに、セクハラ…?一体何をしたんですか?」
「だから違うって!!!」
折角、眠っていたカイトには目撃されずに済んだと思ったのに。
「でも、思いっきりソファに押し倒してたわよね?私、見ていてドキドキしちゃったわ☆…北澤君って、意外と大胆なのね、」
「…押し倒…」
「所長!!!」
わざわざバラさないで欲しい本気で!!
怖い、カイト怖い。
いつの間に、こんな自然な感情表現が身についたのか…今は喜びよりも恐怖心で一杯だ。
「いや、僕はただ篠ちゃんに、カイトのマスターになってくれないかなってお願いをしただけで……まぁ、…断られちゃったけど、」
「……、」
「……、」
あ、空気が凍った。
☆☆☆☆☆
『部屋に戻ります、』
あのあとすぐ、言葉少なに出て行ったカイトを心配しつつも、僕は所長にできるだけ詳しく説明した。
「どう思いますか?」
「そう…ねぇ。篠武さんがカイト君のマスターになるのは、少し難しいんじゃないかしら?」
事情を話せば、顔を曇らせ思案する所長が声を落とす。
「…やっぱり。急に会社勤めしろなんて、無茶振りしすぎですよね。今までの生活スタイルを、全部改めないといけないし、」
時間の使い方だって、大幅に変わるだろう。
築き上げた彼女のサイクルを崩してまで、お願いできる話じゃないし、…そもそも、明らかにその範囲を超えている。
(だけど、彼女以外には考えられないんだよね、カイトの『マスター』は、)
ああ、篠ちゃんに依存しているのは、カイトじゃなくて僕なのかもしれないな。
「違うのよ、そういうことじゃないの。彼女はたくましいから、どんな環境でもそれなりに適応して生きて行けるわ。弱肉強食が鉄則のサバイバルでも、出世争い激しい一流企業の荒波でも、」
「は、はぁ、」
いや、グッと親指を立てドヤ顔されても、返答に困る。
…でも、確かに篠ちゃんは、生命力が強そうだ。それとこれとは全く関係なさそうだけど。
「ただ、今回は相手がねぇ…、」
「相手って…納品先の会社ですか?一体何があるんです?」
再び眉根を寄せる所長の口振りに引っかかり、半ば詰め寄り問いかける。
一企業を相手に、個人が問題を抱えるなんてあるのだろうか…?
けど、確かに彼女は、社名に反応していた。
まるで怯えるように。
(遠縁で、且つ義母である所長なら、事情は詳しいに違いない、)
秘密主義者で自身の話は何もしてくれない彼女を、純粋に知りたいと思った。
「ちょっとね。…あの会社って言うよりも、あの辺全体は、篠武さんと並々ならぬ因縁があるのよ。今はまだ、詳しく話せないけど、」
「え、かなり深刻な話ですか?」
「そう、デリケートな問題なの。この件は、私に任せて頂戴。きっと何とかするわ、」
「はぁ。…わかりました、」
返ってきた答えに、少なからず落胆が隠せない。
苦笑する所長が部屋を出るのを見送りながら、僕は篠ちゃんとカイトを思って天を仰いだ。
もしかして僕…二人にとって、物凄く残酷なことしちゃったんじゃないかな…。
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同じことを何回も繰り返した。
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どうしたら、狂った『夜』が終わるのか。
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そして、この舞台を終わらせるために、沢山のことを試してみた。
だけど…必ず、時間が巻き...Twilight ∞ nighT【自己解釈】
ゆるりー
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