「ただいまぁ~、ふぅ、疲れた」
リンが帰ってきた。俺の心の中の葛藤も知らずにのこのこと。俺はわざわざ分かりやすいようにテーブルのど真ん中にいかがわしい内容の記録されたディスクを置いた。
「……おかえり。どこ行ってたんだよ、何もいわずに出ていってさ」
俺はソファに仰向ける姿勢を崩さぬまま、彼女に問いかける。リンはいつものトーンで話しながら俺に寄ってくる。
「いいのいいの。私だけの秘密ってことで………え、あっ、なにこれ……??レン…?」
リンはテーブルに視線を落とす。リンの表情がひきつっていた。俺はあくまで平静を装いながら、仮定としていたことをリンに確認してみる。
「リン、もう一度聞くぞ。どこへ行っていた」
「だから……レンには関係ないってば」
「関係ないとかいう問題じゃねぇ。なにしにいってたんだ」
「あーもー、しつこいレン!!女の子に一つや二つ秘密があったっていいじゃない!!」
「いーや、だめだね。俺には知る権利がある。お前と同じ生まれで、運命を共にしてるんだ」
「黙れ黙れ黙れ黙れ!!あんたのためにやってることで何でこんなに責められなきゃならないのよ!!!……あ」
少しヒントをこぼしたリン。どうやら、彼女自身のみの問題ではないらしい。仮定が当たっているのなら、どのような答えが返ってくるのだろうか……少々怖い気がする。
「じゃあ質問を変えよう。そのディスクに見覚えはあるか?」
「さ、さぁ、知るわけないじゃん」
「俺は持ってた覚えがない。第一、そんなようなディスク、うちにあったとは思えない」
「じゃあ、私たち以外が入れたんじゃないの?勝手にミクとかでも入り込んで見っぱなし、みたいな」
……この部分はチェックメイトだ。
「なんで入っていたことを知っているんだ?俺は別に、どこにあったとも言ってない」
「………くっ…!!なによ。レンは私をどうしたいわけ?」
「お前が最終的になにをやっていたのかが知りたいんだ!!リンは最近、異様に家にいなくなったから!!こんなものが家にあたらする事成すこと疑っちまうじゃねーか!!」
「………………………もう、だめか」
リンはうつむき。俺もいつの間にかソファから立ち上がっていた。なにをやっていたのか。知れるわくわくと、いやな事実を伝える内容なのかと覚悟する気持ちが交差している。
そしてリンは話し始めた。
「私は、売春の常習犯だよ。体は売って、心は売らない。惨めだよね。目的は金儲け、今の苦しい家計にはどうしてもお金が必要でしょ?しょうがなかったんだ。第一、いままで彼氏がいなかったことが問題だったんだよ。早いうちに彼氏ができていれば、こんな考えには至らなかった。あ、あとそのDVD。カイト兄さんが悪ふざけでくれたの。思いの外たくさんのプレイがあって勉強になったなぁ。でね、こんなこともわかったんだよ。男のアレってね、…………」
「………まれ」
「?どしたのレン。ムラムラしてきた?」
「黙れ」
俺は拳を握り、思いっきりリンを殴りとばした。右ストレート。ばちんっ!!という音と共に、リンの体が宙に浮き、壁にたたきつけられた。
「ぐはっ……けほっけほっ……」
「リン、お前どんだけボロボロなんだよ……そんなになる前になんで相談しなかった」
「私を殴るような奴に……相談したって意味ないじゃない」
壁に寄りかかるリンの言い訳のようなものに、俺は更なる怒りを覚えた。
「これがただ殴っているように思うのか!?お前は女だろう!!こんなことしなくたって幸せだってあるし、金だって稼げるだろう!!なんでこんな…」
リンが小さな体をゆっくりと立ち上がらせる。
「すべて知っちゃたんだから、ついてきてほしいな。あんたにはもう隠し事はしないことにした」
そう言ってなんだか理解のできない俺の手を引いて家をでるリンだった。
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かたつむり
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・・・!!!レンがついにぶち切れ!!
殴った・・・・!意外と力あったんだな・・・レン(黙
途中まで探偵的な感じだな~と思いました。予想外の展開・・・次が楽しみです。^^
2010/08/29 16:10:39