「はぁ…つかれたぁ」

帰り道。クオと別れて少し、レンさんが隣にやってきた。……現れた?
そういえば、何かクオの様子がおかしかった気がする。気のせいだろうか。

「お疲れ様。でも楽しかったのだろう?そんな顔をしているよ」

「……うん、すっごく楽しいよ!楽しくなきゃダメだし、ね」

そう、彼のために。楽しく、明るく振舞わなければならない。

「……特に、ミクオ君…、かい?彼は本当に面白いね」

レンさんの目には、何か違う感情……懐かしむような…いや、違う。悪意ともつかない、黒くて光のない眼を読むのは難しかった。

「ああ、クオはね。うん、クオは……」

「何かあるの?」

あまり聞かれたくない話だったけど、辺りを見回しても誰もいない。レンさんだったらいいか、と思い、話してしまうことにした。





クオには、双子の妹と弟がいた。
とても仲の良い、元気な姉弟。

でも、ある日。双子の弟は、事故で亡くなった。

いつも元気だった双子の姉……リンちゃんは、元気がなくなって、笑うことも少なくなった。

それを見ていられなかったのは、私や、この頃から一緒に遊んでいたリント、レンカちゃん。

そして、兄のクオ。彼が一番辛そうにしていた。それを表に出すことは、余り無かったけど。
弟をなくし、妹はそれが原因で元気が無くなった。当然だろう。

私たちは、リンちゃんを何とか励まして、でも弟くんの話には触れないように、明るくいようとした。

……本当は、クオもすごい悲しかったはずなのに。

そんなクオも、リンちゃんも、眼に少しずつ光を取り戻していった。隠れて泣くことも無くなった。

けれど、事故から約3年。今から1年位前の、あの日。

リンちゃんが、姿を消した。

事故とか、そういうのじゃない。本当に、いきなり、居なくなってしまった。

レンカちゃんと私の家にいたとき、いきなり連打されたチャイム。

「……クオ、ちょっと、イタズラならやめてよね」

「…………た」

「え?」

「…リンが、消えた。いないんだ、どこにも」

そう言ったクオは、青ざめていて。降っていた雨に、傘を差すことも無く、必死に走って、叫んで、探した。
それでも見つからなくて、数日経っても、帰ってこなくて。あの時のクオは、学校にすらやってこなかった。

生死すらわからず、警察も諦めだした3ヶ月後。毎日毎日探したのに、証拠一つ見つからなかった。

私は、知ってる。雨と、そして涙が混じって、クオの頬を濡らしていたこと。
『あの日、俺が何も言わずに外出なんてしなかったら、もしかしたら』なんて、後悔でいっぱいになっていたこと。それは今も変わってないだろう。

ただ、3ヶ月経っても諦めることは無く、私たちは今でもわざと回り道したり、いつもと違う所を通ったりしてる。

それでも見つからない。だから、私とリント、レンカちゃんは、クオを学校に戻して、少しでも元気になって貰おうとした。

リンちゃんの時と同じ様に、話に触れること無く、少しでも笑ってくれるようにと、励ました。だから、彼の前では明るく、楽しくなきゃいけない。

彼が、悲しみと後悔に押し潰されることが無いように。





「……クオも、全く喋らない訳じゃないし。ほら、今日見たでしょう?何だかんだで乗ってくるからさ」

そのワケが私を弄ることだったのは解せぬ。

「そう。彼は、双子の妹も弟も、どちらもなくしてしまったんだね」

「ううん、きっと……リンちゃんは戻ってきてくれると思うよ。いっつも『クオ兄!』って呼んでたし。兄弟3人、互いが互いを好きで、本当に仲良かったんだから」

『戻ってくるよ』とは、クオの前では言えない。

だって、もう一年。まだ中学生になりたてだったリンちゃんが、わざわざ隠れてクオたちから離れて生きていくか、って考えたら、クオを苦しめるだけになってしまう。


気付くと、もう家のすぐ近くにいた。ふと後ろを見ると、レンさんの姿はない。

「ただいまー!」

玄関のドアを開いた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

夢喰い白黒バク・4

前Pで続き。

神ゲ連投からまた白黒バクです。お久しぶり!!

クオとレンは実際にいたら絶対仲悪いタイプですね……いや、もしかしたら気が合うかも?……いや、ないな!

ココからは私の作品達のお話。読まなくても大丈夫ですww飛ばしてww

人柱Aliceの世界も、神様ゲェムの世界も、短編での世界も、バカとヘタレの世界も、そしてこのお話の世界も、全部重なっているものとして物語を書かせてもらっています。
この色んな世界たちを見て回れるのは、それこそ神様でも無理かもしれません。
その世界ひとつひとつに神がいて、でも白黒バクだけは「夢」の一部として世界を回ることができる、という設定でやってます。

だからと言って、白黒バクが神よりも上の存在では勿論ないです。ただ、そんな神に夢もユメも見せることが出来るのは、きっと彼一人じゃないかなぁ、なんて思ったり。。。

全ての世界を統べる神は、私の物語の中には存在しません。勿論、私自身でもありません。
神ゲではその世界の神を決めようとしているだけであり、総ての神はないものとしてお話を作っています。

私の力では、世界一つ一つをちゃんと、しっかり作ってあげるには全然足りず、未熟ですが、どうかこれからもよろしくお願いします。

人柱Aliceのおまけは、本当の「おまけ」です。あれは例外ですw


……と、中二っぽく語ってみたわけですがwww長くなっちゃいましたねwwwスイマセンww←

夢喰い白黒バクはこのお話での彼だけです。複数人いません!(

原曲様:Nem「夢喰い白黒バク」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm14926860

※原曲様には関係なく、私の世界観なので、動画などへのそういったコメントはお控えください。

閲覧数:326

投稿日:2013/03/29 15:24:32

文字数:1,674文字

カテゴリ:小説

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