落ち始めた月の下、私に迫る影が三つ。いいわ、相手してあげる。私は口元を緩める。この瞬間は何度体験してももぞくぞくする。振り返った私の眼に入ったのは三人の男。全員雑魚ね。男達の襟章を見て私はそう思う。さあ、早く出しなさいよ!私はそういう意味をこめて愛しい銃を取り出し、引き金に指をかける。男達はそれを見て刀を抜き、こちらに走ってくる。所詮下っ端、たいしたことはない。私は引き金を引いた。
ドンッ!ドンッ!ドンッ!
バタバタバタ…
私は赤く染まる指を見ながら湧き上がる殺意を感じる。
足りない!足りない!足りない!
________________________________________
満ち始めた月の下、俺の前に立つ三つの影。行き止まりに向かうなんて、愚かな奴らだ。俺は顔をしかめて愛刃を抜き構える。相手は三人、内二人が俺に飛び掛ってくる。
ザッ…
一瞬で片がつく。所詮盗賊なんてこの程度だ。残りの一人がそれを見て震え上がり、卑しく命乞いをしてくる。俺は命令されていただけだって?俺はそいつの首を容赦なくはねる。この世の中には善と悪しか存在しない。それは偶然ではなく必然なのだ。
そう、あの子が死んだのも…
っくそ…
消えろ!消えろ!消えろ!悪、全てだ!!
________________________________________
「ただいま戻りました。」
私はアジト内の研究室の扉を開けて跪く。
「あら、リン遅かったわね。」
彼女の名前はDr.レイコ。事故に遭い瀕死の状態だった私を人造人間にして助けてくれた恩人…そして特殊警察を相手にする巨大犯罪組織の研究者。
「はい、その、雑魚に絡まれまして…」
「ふふ、人造人間になっても男にナンパされるなんて、あの彼が知ったらなんと言うかしら?」
そう、私は彼氏とデートしている最中に自動車事故に遭った。私を助けた彼女も当然その姿を目撃していた。
「それで、ターゲットは?」
「そ、それが、すみません。」
今回の私の任務はある企業の会長の暗殺…しかし、あの雑魚どもに見つかり会長を取り逃がしてしまったのだ。
ダンッ!!
「何ですって?」
Dr.レイコの様子が一変する。机を殴り、私の頭を踏みつける。しかし、その眼には怒りよりも軽蔑のほうが色濃く出ていた。
「あなた、これでターゲットを取り逃がしたのは何度目?」
「申し訳ありません。」
ガッ…
Dr.レイコが私を蹴りさっさと出て行けといわんばかりに手を振りながら、
「貴方ってホントに使えないわね。」
といった。
私は扉を閉め。アジト内の自室に戻り、ベットにダイブする。あの事故以来、彼には一度も会っていない。今頃どうしているかな?
私は、憎んで、壊して、殺して…
ねぇ、私何のために作られたのかなぁ…
教えてよ………レン
月下の二人―からくり卍ばーすと①―
ひとしずくPさんのからくり卍ばーすと(http://www.nicovideo.jp/watch/sm13313111)を勝手に小説にさせて頂きました。
自己解釈全快です。一応、リン→レン→リン視点です。
続きはこちら(http://piapro.jp/t/-Pqt)
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