羊のタカラモノ
月が輝き お星さまが光る夜に
その羊は生まれました
お父さんもお母さんも
大きく目を開いて 喜びに満ちています
しかし、その子羊は
顔が醜く 口からは牙が生え 嫌な匂いがしました
最初のうちこそ可愛がりましたが
お父さんもお母さんもやがて去っていきました
子羊はそれでもめげず一人で頑張って
ご飯を食べていました
すると
ある日 羊の群れを見つけます
嬉しさから 群れに向かうと
ボスの羊が角を振り上げ威嚇しました
子羊が驚いて立ち止まると
ボス羊は鼻をヒクヒクしました
やがて堪らなく嫌な顔をして
顔を背けました
子羊が悲しげに鳴くと
その顔を見て
下卑た笑いを浮かべると
馬鹿笑いしながら去っていきました
子羊は胸が潰れそうに苦しくなったので
トボトボねぐらに帰ることにしました
干し草を胸いっぱいに抱きしめると
声を上げて涙を流しました
その次の日
素敵な小石を見つけた子羊は
大事に胸の毛の飾り付けると
いつもいつも一緒にいました
そしてある日
あの羊の群れと また出会いました
ボス羊が 子羊の胸の小石に目をつけて
それをくれるなら
吾輩の部下にしてやってもいい
と話しました
子羊は 胸が張り裂けんばかりに
嬉しくなりましたが
どうしても 小石はゆずれませんでした
怒ったボス羊は
角で子羊の胸をつくと
小石はどこかへ飛んでいってしまいました
胸からは血が流れ
割れるように痛みましたが
そんなことよりも
タカラモノをなくした子羊は
餌を食べるのも忘れて
日がな探し続けましたが
ついぞ石は見つかりませんでした
そして 探しているうちに
狼の巣に入り込んでしまいました
足を噛まれ
首から血が止まりませんでしたが
痛みに耐えて
何とかねぐらにたどり着くと
苦しそうに息を吐きながら
そのまま動かなくなってしまいました
身体中から
血が流れ出しやがて乾いていきます
ふと見下ろすと
いつか見た小石が血溜まりの中に転がっていて
まるで真紅のルビーの様な色を放ちながら
どんな宝石よりも
魔法よりも
鈍く けれど しっかりと
輝いていました
おしまい
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