<A>
遅れ出(いで)た蝉が
焦がるるは一夏
かへり見すれば
玉響に過ぎ去りし刻(とき)を
繋ぎ止める花の跡
<B>
朧月夜の仄(ほの)灯り
糸を引く様な
研(みが)いた白刃
振り払ひて明日(あす)を待つ
傍らの華を愛せど
<サビ>
黎明、修羅ノ道ヲ往ク
朝焼けの雁(がん)と共に
惑ふほど高く舞えよ
夢にし見ゆる愛しき人
今一度 宴を乞う
<A>
むせ返り 彷徨う
幾多の夜 重ね
かへり見すれば
踊る朽ち葉 肩先に乗せ
吹き抜けるは秋の風
<B>
朱色の鳥居を潜(くぐ)りて
紅葉に紛れて
紅(あか)を散らせし
独り、夜半(よわ)の月を仰ぐ
何時ぞやの日を懐かしみ
<サビ>
黎明、修羅ノ道ヲ往ク
朝焼けの雁(がん)は落ちる
惑ふほど凛と散れよ
愛しき人 我は人かは
今一度 宴を乞う
【和風曲】修羅ノ道
※要約・全訳を掲載しました。
【要約】
<幾多の人間を殺し 幾多の血を浴び
修羅【鬼】の道をひた走る私は
取り返しのつかないほどに汚れてしまった
もう人間とは言えないような私は
愛しい人のところへ戻ることはできない
汚れを知ること無く、ただ愛しい人と共に在ったあの夢の様な日々に戻ることはできないのだ
それでも未だに 戻りたいと乞ってしまう>
【全訳】
晩夏になり鳴き始めた蝉は
過ぎ去ってしまった夏を焦がれている
ふと、振り返れば
夢のように過ぎ去った時間を
確かなものだったと繋ぎ止めているのは
あの頃と変わらない花だけだった
朧月夜の仄かな月光のもとで
研きぬいた白い刃を振り払い
明日<戦>をただ待っている
傍に在る愛しい人のことを思いながら
早朝の時、わたしは修羅<鬼>の道を往く(戦場に出る)
雁の鳥と共に
わたしは 見る者を惑わすほどに高く舞ってみせよう
夢にまで見る 愛しい人
今一度 あの美しい日々を乞う
鼻をかすめる血の匂いにむせ返りながら
たださまようのだ
幾多の夜を重ねて
ふと振り返れば
吹き抜けた秋の風が
朽葉を踊らせて わたしの肩先へと乗せた
神社の鳥居を潜って
紅い紅葉に紛れて
紅い血飛沫を散らした
そしてたったひとりで夜半の月を見上げるのだ
遠い昔のことを懐かしみながら
早朝の時、わたしは修羅<鬼>の道を往く(戦場に出る)
雁の鳥は空から堕ちた
わたしは 見る者を惑わすほど凛と散ってみせよう
愛しい人よ
今のわたしは人間と言えるのか
今一度 あの美しい日々を乞う
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