……ある日、少女は独りきりになりました……
今まで自分の居場所だった、そんな場所から切り離されて。
自分のせいだとは分からずに、これからどうしていいのか判らずに。
少女はそこにいても、そこにはいない。
存在しているのに認識されない。
それは受け入れ難く、周囲は少女を責め立てて。
少女は口を噤み、ただ、ただ、うつむくばかり……
どうして、どうして、わたしばかりを責めるの?
少女は内心(ココロ)で反抗の意思を示す。
表情(オモテ)には現れない言葉の羅列と
苛立ちと怒りが臓腑(ナカミ)を焼き尽くすように。
気づけば、声を失っていた。
一番大事な声帯(キカン)すら溶かされて
気づけば、歌えなくなっていた。
一番大事な感情(シュカン)すら遠ざかって
生まれてきた意味はあるの?
歌ってきた意味はあるの?
答えなどないものに果てなく問い続ける。
伝えたい相手はいるの?
触れたい相手はいるの?
なにもかも失くしてしまえれば、ラクになれるのに。
誰もが、誰もが、わたしを待っていた。
そこにあるのは少女自身ではなく独り歩きした偶像(アバター)
心情(ウラガワ)に閉じこもった少女に
もはや誰彼(タソガレ)の声は届かず、開かずの扉のように。
気づけば、独りきりだった。
一番大事な絆(リカイ)すら切り刻まれて
気づけば、誰もいなくなっていた。
一番大事な世界すら閉ざされて
生まれてきた意味を探して。
歌ってきた意思の証明を。
正解(コタエ)がほしいわけじゃない。走る続けるだけ
伝える言葉はあるよ。
泣きながら触れたいんだよ。
少女は閉じこもって、奪われた熱を求める。
いつの日にか、声を取り戻したのなら
大事な大事な言葉をうたいたい。
みんなのため、大事な人のため
そしてわたしのために
……独りきりになり、すべてを奪われた少女……
生きてきた道筋に、疑問をもたない偶像(ニセモノ)
そこにはどれだけの違いがあるのだろう。
意思のあるところに、願いは生まれ
願いをかなえるために、祈る。
少女は祈るように、音の出ない声帯(キカン)を震わせ続けた。
気づけば、涙も枯れ果てた。
一番大事な感情(ココロ)を取り戻し
気づけば、声なく歌っていた。
一番大事な意思(チカラ)を握りしめ
生まれてきた喜びを謳おう
わたしの本当の歌を、理由なんかはいらないから
答えを求めることだけがコタエじゃない。歌うこと自体が答えになる。
伝わらなくてもいい。
触れられなくてもいい。
届かないとしても、この歌で包み込めるように
すべてを守れなくてもいい。
すべてを愛せなくてもいい。
声にならぬうたが、世界の片隅で震えるように。
……少女は また、うたいはじめる……
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