「くっ…俺らは一粒で二度おいしい双子だってのに…。」
「レン、こうなったら戦線布告よ。」
「…イエス、マイ姉弟。」
下剋上1【自己解釈】
二代目襲名、早三月…
番付もとい殿堂入りは先代ばかり
「先代っていうとなぁんかアイスの人とかお酒の人とかも入ってるっぽいけどさぁ…
ぶっちゃけあの人ら歌う仕事に関しては大したことなくね?」
コタツムリ化しているリンがぱくんとミカンを口に放りこんで言った。
その言葉に僕はかの有名な叫んでいるムックみたいな名前の絵画にも勝らずとも劣らない顔をする
「ややっやめろよリンッ
そーいう各方面に喧嘩売るよーなこと言うのっ
あの人等だって名曲を数多くこなしてるんだっ
大先輩なんだっ」
慌てすぎて腕を振ったせいで、まだ一口しか食べていないバナナがぽっきり折れて宙を舞った。
ぺしゃり、とリンの真横に空しく落ちるも、リンは特に気にする様子もなく、ぼんやりとミカンを頬張っては口を開く
「おかしいと思わない?リン達なら、リン、レン、二人っていう3通りもの歌のバリエーションがあるのよ?」
あ、アイスとお酒の話題はもう終わってるわけね…
なんてゴーイングにマイペースな。
…ていうか、僕のバナナ。南無。
バナナさんに黙祷を捧げて床を拭けば、バナナの房に手を伸ばす。
そんなことをしてる間に、リンは新たに5つのミカンをたいらげて、また皮をむきはじめていた。
「なのにあのネギ…いや、ツインテときたら…」
ブツブツと悪態をついたりミカンを頬張ったりするリンを、僕はただ黙ってバナナを食べながら眺めているしかなかった。
正直、マイワールドに言ってしまったお姫さま(別に、世界で一番お姫さまを利用したわけじゃない。いや、若干意識したけども。)は僕にはどうすることもできないのだ。
…っていうか、ミク姉を素直に呼びたくないんだね…
ネギをツインテに言い直した理由は敢えて訊かないでおこう。多分絶対考えなしだから。
「まぁ…確かに僕ら一粒で二度おいしいのに、ね?」
なんなくそう言葉をかけた瞬間、リンががばっと炬燵から身を起こした
「レン、こうなったら戦線布告よ」
「は…?」
立ち上がってキッと僕を睨みつけて、リンは高らかに言いはなった。
僕はというと、突然のことにバナナ片手にぽかんと口を開けて見上げるばかり。
するとリンはしゃがみこんで乱暴に僕の腕をとり、また勢いよく達上がる
その勢いで僕も立ち上がる…わけもなく、俯せになっていたところにいきなり腕を引き上げられたら、激痛とともに脱臼するだけ。
「ちょっとぉ、レン!早く立ちなさい!」
思い通りにいかなかったのが癪に障ったのか、リンが腰に手をあてて僕を睨む
ちょ、半端なく痛かったんですけど。
ボーカロイドじゃなきゃ今頃何かしら腕殺られてたよ…
痛みに涙を滲ませながら、これ以上リンの機嫌を損ねないように肩を押さえて立ち上がる。
すると今度はぐっとリンが詰めよってきた
「……な、なに…?」
鼻がくっつくくらい詰め寄られて、思わずかぁっと頬が熱くなる
細い眉と大きな碧眼がキッと釣り上がってても…その、可愛い。
…とか、こんな時ですら思ってしまう僕乙。
こんな近いとイケレンだのマセレン発動し――…
「返事は?!」
リンの頬に手を添えようとした瞬間、ギリリとリンに襟を掴み上げられる。
――あぁ、やっぱりそういうフラグ立ててくれないわけね。
わかってましたよ、このツンデレン、ヘタレン信者め。
「返事ってなn」
「戦線布告のっ」
ギリリ、とリンの手にさらに力がこもる
リン…それ以上はいっくらボーカロイドでも死んでしまふ……っ
「……イエス、マイ…姉弟…」
あ…お星さま…
あれが世に聞く天の川……え?三途の川?
どっちでもいい、取り敢えずお花畑見えてきた……
ギリギリと限界まで締め上げられていた手がぱっと離される
途端に僕は尻餅をついて、リンは満足げな笑みを浮かべる
「よしっじゃあ合言葉はぁ…」
ゲホゲホと咳き込む僕をお構いなしにリンはズンズンと言葉を続ける
「待って、それってもしや座右のめ「ハァ?!」
「……何でもありません…」
蛇ならぬリンの一睨みに何も言えない僕って。
ってか正しい言葉に訂正しようとしただけなのに。
シクシクと隅っこで僕がいじけていようと、リンは自信たっぷり、高らかに喋り続ける
「気をとり直してっ
合言葉は緑は敵だっw
はい、復唱っ」
「……おk、緑は敵だ…グスン…」
こうして鏡音一家の下剋上は始まった…
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