自分の部屋でカチカチと携帯電話をいじくりながら、ルカは親友を一瞥した。

「いつまでも机に突っ伏したままとか止めてくんない? 鬱陶しいから。」
「ルカちゃん冷たい!!」

リンはガバッと顔をあげる。
泣きそうな顔でルカをみて、まったく自分の方を見てないことに気づく。

「冷たいよルカちゃん。こっちを見て慰めてほしいんだけど。」
「慰めろって自分で言う人は慰めないようにしてるの。悪いわね。」
「ルカちゃんは私の親友じゃなかったっけ。」
「……私の親友はこんなメソメソしてる子じゃなかったはずだけど。」

そういうとやっとリンのほうを見て頬をムニ、とつまんだ。

「こんな不細工でもなかったはずね。いつもニコニコ笑ってる私の可愛い親友はどこへ行ったのかしら?」
「ル、ルカひゃん……。」
「うん。その感動したような目やめて。イラッとくるから」
「……。」

再び泣きそうになったリンを無視して、ルカは笑った。

「それより、やっと諦めついたの? 鏡音レンのこと。」


何故笑顔。
満面の笑みで言うルカちゃんを見て、私はため息をつく。

「ルカちゃんさぁ…ちょっとその顔はひどくない?」
「私前から言ってたじゃない。鏡音レンは絶っっ対やめとけって。」
「だって優しかったじゃん。好きになるのは当然じゃない?」
「その結果がこれよ。やっぱりただの女好きだった。」
「女好きとは限らないけど。」

するとルカちゃんは怒ったように私を見た。

「ただの女好きよ。あんな奴。リンも見たんでしょ? だから私を呼んだんでしょ?」
「…っっ」
「駅前で、鏡音を見つけて、で、なんで泣くの。電話とったときリンの泣き声聞いて私がどれだけびっくりしたかわかる?」
「……ごめん。」
「謝らなくていい。でも、おかしいでしょ。見たんでしょ。誰かといるの。」

見た。
どう見ても鏡音君だった。隣歩いてたのは初音さんだった。
二人の影が繋がってるのをみて、泣いてしまったのだ。

「初音もさ、おかしいよ。グミだってネルだって、わかってるんだよ。」
「何を。」
「……リン、知ってる? 鏡音一応好きな子いるんだって。」
「!?」

何それ知らない。
もっと泣きたくなった。

「みんな知ってる。なのに、なんで鏡音なんかに付きまとってんだろ。」
「…ルカちゃん、それ誰かしってる?」
「知ってる。けど、これは絶対言わない。」
「教えてよ。」
「絶対やだ。」

なんで。
そういうと、ルカは笑った。

「リンは私の義妹になるんでしょ~!?」
「や、だから、あの、中学の時の話だし、あの、」
「また好きになればいいのに。」
「ルキ君好きな人いるじゃない。」
「…そうよね。見る目ないわあいつ。リンみたいな可愛い子をふるとか。」

ルカの弟のルキ君は、大人っぽくてかっこいい。
私も中学の時好きだったのだ。
まぁ告白して思いっきり振られたけど。

「それより、何で? 鏡音君の好きな人教えてよ。」
「教えて何になるの。」
「諦められるかもしれない。」
「まだ諦めてなかったの!?」

その言葉に思わず俯いてしまった。
そんな簡単に諦められたら苦労しないのだ。
だってずっと好きだったから。

「どうやったって諦めらんない。」
「……。」
「どうしたら諦められるのかすらわかんない。」
「がんばれ。」
「がんばれないから、いやなんだもん。」

ルカちゃんの言うとおり。
鏡音君はすごくモテるから、いつも隣には女の子がいるから、

「見てるだけでいいんだよ。」

本当はそんなのすごく辛い。だけど近づくのはすごく怖い。
時々話しかけてくれる。それだけで充分幸せなのだ。

「…私は嫌だ。リンがこうやって泣くの、見たくない。」
「…ルカちゃん。」
「わかってるけどさ。やだ。なんであいつなの。いつもリン、泣かせて。」
「だって、それは、」
「知ってるけど。でも、だって、あいつと付き合ったらもっと泣くよ、」
「付き合えないからいい。」
「付き合えるかもしれない。リンは可愛いから。」
「…可愛くない。」
「可愛い。顔も可愛いけど、性格が、すごく惹かれるから。」
「……ありがとう?」

顔をあげてもう一回ルカちゃんをみる。少し悲しそうな顔をしてるのに気づいた。

「ルカちゃん?」
「……リン。諦めないの?」
「うん。」
「なら、わかった。いい。」

そういうとルカちゃんは笑った。

「ねぇ、本当に私の妹になる気ない?」
「なりません。」

どうやったら諦められるのか、全くわからなくて、

「告白したらいいのかなぁ……、」

小さく呟く。
その言葉はルカちゃんに聞こえてしまったようで、

「絶対だめ!!」
「え、なんで。」
「だめったらだめ!!」

なぜかすごい勢いで却下された。ひどい。

それでも、ルカちゃんがだめっていっても、いつか私は鏡音君に思いを伝えると思う。
それはやっぱり自己満足で、随分勝手なことだなと思うけど。

「ほんと、なんで好きなんだろうねー。」

他人事のように言ってから、私はルカちゃんの部屋を出た。

「お邪魔しました。」
「はいはい。それじゃーね。」

そのまま、私はルカちゃんの家をでた。
泣いた。すごく泣いたけど、妙にすっきりしてて、
鏡音君に好きな人がいるってきいたし、
これなら案外早く諦めつくかも、なんてことを考えながら、家に向かった。



「……バーカ。馬鹿リン。」

ルカは小さく言いながらリンが出て行った方を見つめる。

「鏡音。馬鹿じゃないの。」

ルカのその声には少なからず怒りがあって、

「一番見られたくない所みられてんじゃん。」

次には、呆れたような声になった。

「…好きな人泣かせんなバーカ。」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

レン出てないけどレンリンだと思う。

勢いで書きました。
続くかもしれなくもないかもしれない。
無駄に長くてすみません!!

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投稿日:2012/02/17 23:32:55

文字数:2,363文字

カテゴリ:小説

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